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【第89回天皇杯準決勝 G大阪 vs 仙台】仙台側レポート:感じた力の差を、来季への糧に。仙台の素晴らしき2009年は、国立を包んだ大歓声の中、天皇杯準決勝で終わりを告げた(09.12.30)

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12月29日(火) 第89回天皇杯準決勝
G大阪 2 - 1 仙台 (15:03/国立/25,878人)
得点者:3' ルーカス(G大阪)、58' 中原 貴之(仙台)、65' ルーカス(G大阪)
天皇杯特集
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今年最後の戦いから一夜明け、12月30日。我が家では朝から大掃除がけたたましく始まった。
本来であれば前もって少しずつ片付けておくのが良かったのだろうが、この街でサッカーを愛し、ベガルタ仙台というクラブを追ってきた者たちにとって、そうはいかない事情があったのは言うまでもない。
昨日、国立競技場で繰り広げられた戦いと、会場を包んだ熱気を思い出しながら、黙々と手を動かす…そんなサポーターも多いのではないか。決勝進出を逃したのは残念だが、これはこれで、贅沢な年の瀬の風景なのかもしれない。

クラブ史上最も注目を浴びた一戦のひとつとなった、今回の準決勝。実は戦いは、キックオフの前から始まっていた。コイントスで勝ったG大阪は、エンドの交換を要求。
その瞬間、手倉森誠監督は「しまった」という思いとともに「さすが国立や、決勝(のような大きな試合)に慣れてるな」と感じたという。仙台は、アウェイ側ゴール裏後方に沈みゆく西日を正面に受けながらの戦いを強いられることになった。
そしてG大阪は、目をくらませる仙台の守備陣に対し、積極的にクロスを打ち込んでくる。3分、右サイドの安田理大が縦に突破した後、鋭いセンタリング。「きっと陽が目に入ったと思う」と指揮官はかばったが、今季ここまで鉄壁の守りを見せていたGK林卓人のパンチングは、目測がずれて真上に上がってしまう。ペナルティーエリア内正面に落ちたボールの先には、準々決勝までで5ゴールと大会の得点王であったルーカスがいた。混乱のゴール前の中、見事なオーバーヘッドでのシュートがネットを揺らす。仙台は試合開始早々、重い十字架を背負うことになった。

その後も仙台はペースをG大阪に握られ続ける。不安定な出来だった朴柱成のサイドは安田理にしきりにえぐられ、さらにMFの4人と、中盤まで降りてポストプレーで絡むルーカス、その逆にライン裏を狙ってくる山崎雅人が織りなす細かなパスワークでの崩しに手を焼く。攻めても前線になかなか起点は作られず、奪ってから素早く狙う意図を持っていたカウンターも、ラストパスが上手く通らずなかなかチャンスとならず。頼みのセットプレーでは好機を作り出したが、梁のCKにニアで合わせた中島裕希のヘッドはファーポストに跳ね返る不運も。

それでも前半を1失点に抑えたことで、仙台は打開への展望を失うことのないまま、後半を迎えることが出来た。仕切り直しのこのタイミングで押し返すことが出来なければ、いよいよノーチャンスとなり得るだけに、後半立ち上がりから攻守に積極性を強めて前へ出る仙台。
それが実る、クラブにとって歴史的な1シーンとなったのが58分の同点弾だった。渡辺広大の出場停止を受けて、センターバックを務めていた、今季限りで仙台を去ることが決まっている木谷公亮。相手のチェックが薄らいだことで、フィードを供給する余裕が遂に生まれた。高精度のキックを持つクレバーなセンターバックとして、5年間クラブに貢献してくれた木谷らしい美しいロングパスが、前方のスペースへ入っていた、ピッチに投入されたばかりの右サイドバック田村直也へ。その田村を経由して、右サイドの深くへ入り込んだ関口訓充へパスが出る。関口は飛び込んできた山口智をワンステップでの切り返しで見事置き去りにして、右からペナルティーエリアに侵入した後、低いセンタリング。それに合わせて、マークを外しゴール前に飛び込んできた中原貴之が、チームの思いを乗せたシュートで豪快に蹴り込んだ。
その瞬間、国立競技場は仙台のための空間となった。右エンドのゴール裏から響いた歓声、その後の声援は、場の空気を一気に変える。漂い始める「もしや」の予感。

だが、空気は変われどピッチ上の状況を変えられなかったことが、未だG大阪との間にある実力差を悔しいまでに浮き彫りにすることとなった。
今季のJ2、それからJ1勢をなぎ倒してきた天皇杯での戦いでは、相手にボールを回させても動じることなくブロック守備で凌ぎ、そして後半、相手を勝る運動量とスタミナを発揮して流れをつかむのが仙台の戦い方だった。しかしこの日のG大阪のパス回しは、そんな仙台の選手からも体力をじわじわと奪っていた。変幻自在の中盤に対し、ボールの奪いどころを絞れなかった仙台の守備は、リードを奪われている時間が長かったこともあり、回される間にスタミナを消費させられていた。よって同点に追いつき、さらに国立を包んだ1万人を超える仙台サポーターの後押しがあっても、仙台は流れを変えられなかったのだ。
同点ゴールから7分後、65分に決められたルーカスの2点目は、今季の仙台があまり見せることのなかった「崩されての失点」だった。仙台の右サイドで丹念に回された後、スピードの上がったボールがゴール前へ。守備の選手に当たってコースが変わる不運があったが、ボールは正面に完全なフリーの状態で入ってきたルーカスの足元へ収まってしまった。
その後、反撃の術を持ち合わせていなかった仙台にとって、このゴールが致命傷となった。仙台の2009年は、天皇杯準決勝でようやく終わりを告げることに。

「休める、休める!」
手倉森誠監督はこう叫び、取材陣の笑いを誘いながら会見場を後にした。本当に長いシーズンだったが、クラブ史上最も充足感に満ちたシーズンだったことは確かだろう。
そんな思い出を胸に、2009年は暮れていく。さあ、7年ぶりのJ1での戦いとなる来年を迎えるために、年越しの準備を急がねば。
来年もきっと、今年以上の興奮の1年になる。そう願いながら、メモリアルイヤーの残りを過ごすとしよう。

以上
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