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【第89回天皇杯準決勝 名古屋 vs 清水】名古屋側レポート:強運が呼び寄せた劇的な幕切れに歓喜が爆発。名古屋が清水との壮絶な接戦を制し、10年ぶりの天皇杯決勝進出を決めた(09.12.30)

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12月29日(火) 第89回天皇杯準決勝
名古屋 1 - 1(PK 5 - 3)清水 (13:06/エコパ/19,578人)
得点者:16' 岡崎慎司(清水)、56' 玉田圭司(名古屋)
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ストイコビッチ監督が率いる名古屋は過去2年間で2度、トーナメントの準決勝に駒を進めている。1つは昨季のヤマザキナビスコカップで、もう1つは今季のAFCチャンピオンズリーグだ。名古屋にとってベスト4はひとつの鬼門であり、高くそびえる壁ともいえるもの。3度目の挑戦に向かう意気込みは、試合後の指揮官の「そろそろ決勝に行かなければならない時期だった」という言葉を聞けば、相当のものだったことがうかがえる。

しかしキックオフからペースをつかんだのは清水だった。前回対戦で難のあったビルドアップは、サイドハーフの兵働昭弘が中盤の底に移動し、ゲームメイクを担当することで解決を見ていた。守備ではFW以外の8名がバイタルエリアに戻り、ゴール前を固める守備を展開。ケネディへのマークを複数名で担当するとともに、サイドアタッカーへのケアも二重、三重に張り巡らせた。このことで名古屋は思うような攻撃を構築できずに主導権を握られてしまう。さらには「芝が深くてクロスがうまく上がらなかった」(名古屋・中村直志)「芝が長くてパスも意識しなければいけなかった」(同・吉田麻也)とピッチの芝の長さが、名古屋にはマイナスに働いたことも見逃せない。そしてそれは、清水にはプラスに働いたことも。
前半16分、ボランチの本田拓也が送ったロビングに抜け出した岡崎慎司が、飛び出してきたGK楢崎正剛より一歩早くボールに触る。ループシュートとなったボールは無人の名古屋ゴールへと吸い込まれていった。ボールの勢いが消される長い芝は、両者の感覚に少なからず影響していたはずだ。清水はそのまま試合を支配し、リードを保ったまま前半は終了。名古屋も決定機を作ったものの、同点に追いつくことはできなかった。

名古屋も黙って手をこまねいてはいなかった。芝の長さにも慣れた後半は開始から縦への圧力を強めていく。起点となったのはケネディだ。長身とリーチを生かしたポストプレーで基準点となると、48分にはヘディングシュートをバーに当て、清水DF陣に改めて恐怖心を植えつける。その効果はてきめんで、54分、左サイドからのクロスに走りこむと、対応が遅れた清水DFのファウルを誘いPKを獲得。これを玉田圭司が冷静に決め、後半早々に試合は振り出しに戻された。タイトなマークに負けず、体を張り続けた長身FWの、苦闘が演出した同点弾だった。

ここからゲームはアグレッシブかつ膠着していくことになる。名古屋が2点目を狙い攻勢を強めると、清水も負けじとカウンターを繰り出す。後半頭から出場していたヨンセンが起点となり、岡崎が次々と裏のスペースを突いていった。ストイコビッチ監督は前線のカンフル剤にと杉本恵太を投入したが、効果は上がらず。清水もまた決定力を欠き、追加点が生まれないままに試合は延長戦へと突入していった。

名古屋にとっては今大会初、清水は2度目の延長戦は、まず前半に大きなヤマが訪れた。開始1分のCKと、10分のFKからヨンセンが強烈なヘディングシュートを放つもゴールマウスの外。12分と13分には立て続けに岡崎が至近距離からシュートを放ったが、こちらは楢崎のビッグセーブに阻まれ得点にはならなかった。絶体絶命のピンチをしのいだ名古屋は、延長後半で大逆襲を見せたがこちらも得点はならず。FW巻佑樹を投入し、4−4−2でのパワープレーにも打って出たが、決勝点は生まれなかった。

そして勝負はPK戦へ。先攻の名古屋が1人目のケネディから三都主アレサンドロ、玉田、小川佳純と確実に決めたのに対し、清水は1人目の市川大祐がバーに当て、4人終了時点でスコアは4−3。名古屋の5人目のキッカーは、ストイコビッチ監督が「(田中)隼磨に決めていたが、直前で変えた」杉本恵太だった。右足を振り抜いたシュートはバーに弾かれたが、倒れたGK山本海人の背中に当たり、ゴールマウスへ。強運が呼び込んだ『決勝弾』で、名古屋が10年ぶりの天皇杯決勝進出を決めた。

双方が攻守に高い集中力を見せ、結果的にシュートにつながらなかったゴール前での攻防も多かった一戦は、スリリングでサッカーの醍醐味に溢れたものだった。試合を優勢に進めた清水は後悔が残る負け方だろうが、名古屋の執念が上回った格好だ。
楢崎が言う。「タイトルを取りたい、その先にあるACLにチャレンジしたいという気持ちが相手より少しだけ上回ったんじゃないかと思います」。名古屋が見せた粘り強さは、まさにそのACLでの激闘により今季培われたもの。タイトルを獲得するだけの地力を身につけたことは、この日の結果と内容が如実に物語っている。

積年の課題であった勝負強さを見せつけた名古屋は、これで久々のタイトルへと王手をかけた。決勝戦の相手は今季2戦2勝と相性のいいG大阪。風は名古屋に吹いている。チーム生え抜き最年長の中村の言葉も、チーム状態の良さを表している。「最後はリラックスしてやりたいです」。揺るぎないスタイルとメンタルを手にしたチームが、元日決勝の舞台でどのようなサッカーを見せてくれるか、楽しみだ。

以上


2009.12.30 Reported by 今井雄一朗
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