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【J2日記】栃木:「闘」病記(09.12.02)

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(C)大塚秀毅

負傷離脱から全体練習に合流した頃の佐藤悠介選手(写真右)。

グリスタに、栃木SCに、背番号7が、闘将が帰ってきた。

後半15分、向慎一に替わり、5月17日のロアッソ熊本戦(15節)以来、半年ぶりに古巣・東京ヴェルディ戦で佐藤悠介がピッチに立った。

後半5分に米山篤志が、この日2枚目のイエローカードで退場。数的不利に陥った栃木は東京Vにポゼッションされ、劣勢に立たされる。そこで、「スタジアムの雰囲気をパッと変えてくれる」と松田浩監督は、佐藤を送り出した。

久々にピッチに立った佐藤だが、期待されたゴールに絡む活躍はできなかった。不運なことに交代直後、失点を喫してしまう。さらに1点を失った栃木は石舘靖樹のゴールで詰め寄るも、追い付くことは叶わなかった。

「追い付けるチャンスはあった」

復帰戦、それも今季ホーム最終戦でサポーターと歓喜を分かち合えなかったことから、佐藤は悔しさを色濃く滲ませた。だが同時に、復帰できた喜び、待っていてくれたサポーターへの感謝の言葉を口にもした。

東京V戦前に長く険しかった復帰までの道程と思いを、佐藤に聞いた。

――右足が痛み始めたのは?
「痛みが出始めたのは4月くらいですね。昨年の終盤から痛みがあり、トレーニング後は常にアイシングをしていました。痛くても次の日には痛みが治まり、トレーニングには出ていましたが、昨年は試合間隔が週1回だったので、うまく痛みを誤魔化しながらやっていた感じですね」

――今季のハードな日程により、ついに右足が悲鳴を上げたと。
「日程というよりも、今まで溜まっていたものが(痛みとして)出たと思います。尋常ではない痛みに襲われたのが熊本戦(15節)でした。プロ14年間ずっとグラウンドに立っていた選手でしたし、大怪我をしたことがなかったので、例えば大きな怪我をした選手だったら、どれくらいリハビリをすれば戻れるなどの目途が立つと思いますが、自分はそれが分からなかったことで戸惑いがありました。
ウォーキングに入るまでの2ヵ月半は精神的に厳しかったです。初診で『8週間何もしてはいけない』と言われ、実際に3カ月も掛かりました。新幹線で神奈川や静岡に治療に行く時の移動だけで足が腫れたので、『このままサッカーができないんじゃないか』と思うくらいでした。眠れない日々が続きました。久々にボールに触れた時には新鮮な気持ちがありましたが、試合に出るとなるともうひとつ壁があり、コンディションを戻すまでは大変でした。気が付いたら11月に入っていて、半年が経っていました」

――戦線離脱中、家族の支えが大きかったのでは?
「家族は自分たちが暗くなると悪いと思って、気を使ってくれました。『足は大丈夫?』とは敢えて言わなかったですね。仲間が自分を気にかけてくれたことも嬉しかったですね。『焦っても仕方がない。なるようにしかならない。悠介にできることをやればいい』と、服部さん(年宏)や名波さん(浩)からの言葉やアドバイスはありがたかったです。正直、サポーターから『大丈夫ですか?』と声を掛けられた時には重圧も感じましたが、やっぱり励ましの言葉などは嬉しかったですね」

――怪我をしたからこそ気が付いたこともあるのでは?
「今までは試合に出られない選手のこと、怪我をした選手の気持ちは分かりませんでしたが、自分が怪我をしてみて分かるようになりました。たくさんの人の力を借りていることも。グラウンドを離れたからこそ感じられたことがたくさんありましたね。
感謝の気持ちも強いですね。監督には『悠介の納得するようにやらせてやれ』とトレーナー陣に言ってもらったことで、チームのメディカルから離れて治療を受けられました。チームから離れて治療を受けることを許してもらえない場合もあると聞きますが、監督とトレーナー陣には自分のわがままを許してもらい、本当に感謝しています。
軸足の右足にも、感謝の思いが強いですね。自分が一番自分の体を分かっていると思っていましたが、実際に怪我をしてみて気が付いたのは、これまで左足を華やかに魅せるために軸足の右足が頑張ってくれていたことです。左足に頼ってプレーしていたことで右足に物凄く負担が掛かっていました。今思えば悲鳴を上げてくれてよかったなと。治療してもらった先生には、『車でも3年で車検なのに、生身の人間がケアを怠ったら怪我に繋がるよ』と言われて、『そうだな』と思いました。『自分へのいい休暇だな』と思えるようになってからは、精神的に楽になりましたね」

――今季はなかなか結果が出せずに苦しんでいます。
「今季はサポーターを裏切ったと思っている。プロは結果でしか評価されないから。いくらいいサッカーをしてもシーズンが終わった時に、『いいゲームをしたから勝点をあげるよ』とはならない。だから、俺は結果が全てだと思っている。勝ったチームが強いチーム。お金を払って観に来てもらっている以上は、今季の結果に対しては本当に申し訳ない気持ちが強い。いい結果で終わることがサポーターへの礼儀だし、そのために全力を尽くしてプレーするしかない。俺は負けて納得はできない」

東京V戦後のミックスゾーン(取材エリア)で報道陣が今季の総括を求めたが、佐藤は拒んだ。まだ、今季は終わっていないからだ。ザスパ草津とのリーグ最終戦、初代・北関東王者を懸けた決戦が残っているからだ。佐藤は今季、「北関東ダービー」の舞台に一度も立っていない。草津戦は第1クールも、第2クールもスタンドから戦況を見守っていただけだった。それだけに、「北関東制覇」に向けた思いには、並々ならぬものがあるに違いない。

草津戦では試合勘などの問題で東京V戦と同様に途中交代が濃厚だ。前節、ゴール前で得意のFKを蹴る機会が巡ってきたが、壁に阻まれてしまいゴールは割れなかった。しかし、実戦での感触は掴めたはずだ。最終戦、それもタイトルマッチでレフティは必ず魅せてくれる。サポーターを湧かせてくれる。クラッチプレイヤーだからこそ、敢えて過度な期待をしたい。

以上

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2009.12.02 Reported by 大塚秀毅
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