10月11日（日）第89回天皇杯2回戦 札幌 vs Ｇ鳥取（13:00KICK OFF/札幌厚別）
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☆天皇杯特集
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札幌厚別競技場では現在Ｊ２で６位の札幌と、ＪＦＬ５位のガイナーレ鳥取が対戦する。

ある意味で札幌としては、その実力が問われる場面となるだろう。リーグ戦では現在６位。直近の試合では首位のＣ大阪に接戦の末に敗れてしまい、残り試合数から勝点差を考えると、Ｊ１昇格圏内の３位に入るには本当に厳しい状況に立たされている。他チームの結果にもよるが、次節には３位入りの可能性が消滅してしまう可能性もある。しかし「そういう状況だからといって、選手のモチベーションが落ちるとは少しも思わない」。そう、どんな状況になったとしてもチーム強化に終わりはないし、そういった状況でモチベーションを落としてしまったり、ゲームパフォーマンスが低下するようではプロとしては話にならない。他リーグクラブとの対戦ということで難しいゲームにはなるだろうが、しっかりと内容、そして結果で上回ることが求められる。

そんな札幌に挑むのは鳥取だ。ＪＦＬでは現在５位。昨シーズンはＪリーグへの参入条件である４位以上に入ることができず、その悔しさを晴らすべく今シーズンは高い意欲で奮闘中。参入ラインぎりぎりの順位にいることで、リーグ戦に集中したいタイミングだと見る向きもあるかもしれない。しかし、現在の最大目標はＪリーグ参入かもしれないが、やはりその先も必ず見据えなければいけない。その意味では、Ｊ２の６位にいる札幌とのこの試合というのは、現在の力を図るための重要な試合になるだろう。

鳥取を率いるのはドイツでのプレー経験を持ち、母国タイでは指導者として高い評価を得ているヴィタヤ・ラオハクル監督。ハードワークをベースとしたプレースタイルでチームを厳しく鍛え続けている。選手の顔ぶれを見るとＧＫには仙台などでプレーしていたシュナイダー潤之助が。ＤＦには加藤秀典、冨山達行。中盤にも吉野智之、鈴木健児といったＪクラブ経験者が複数名を連ねる。
注目すべきはＦＷ陣か。梅田直哉、阿部祐大朗といった空中戦に強さを持つポストプレイヤーに加え、チョンブリーＦＣ（タイ）やホーム・ユナイテッド（シンガポール）といったアジアの名門クラブでのプレー経験を持つコートジボワール国籍のハメドという俊敏性に長けたストライカーがいる。そして、日本代表としての実績がある岡野雅行はご存知の通りランニングスピードを武器にスペースへと飛び出す。さらにＦ東京から移籍した小澤竜己はクサビのプレーを武器に周囲の選手を有効に動かすことができるし、パスを落とすと見せかけての素早いターンで一気に縦へも勝負できる。バリエーションに富んだＦＷ陣がどこまで札幌を苦しめるのか、注目したい。

そして７日（水）に試合を行ったばかりであることや、リーグ戦と並行してのコンディショニングが求められるため、「天皇杯だからといって、考え方はリーグ戦とまったく変わらない」と石崎信弘監督は話ものの、現実的に考えれば札幌は複数のポジションで若手選手を思い切って起用してくることは充分にありえる。その辺りも注目したいところだ。

「どんな相手でも、気を緩めればやられてしまう。相手に関係なく、自分達のサッカーでいい結果を出したい」と札幌の宮澤裕樹は、初めての天皇杯出場に意欲を高める。そしてこの宮澤の言葉を借りるまでもなく、サッカーでは簡単なゲームというのはそうそうあるものではない。もっと言えば、何が起こるのかわからないのがトーナメント戦の怖さや面白さであり、この天皇杯という大会の醍醐味なのだろう。普段のリーグ戦とは違った意味で、目の離せない一戦になりそうである。

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2009.10.09 Reported by 斉藤宏則