10月3日（土）J2 第43節 湘南 vs 岡山（16:00KICK OFF/平塚）
スカパー！生中継 Ch183 15:50〜（解説：川本治、実況：中村義昭、リポーター：安田美香）
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前節、厚別に臨んだ湘南は立ち上がりから敵を圧し、中盤で主導権を握った。だが優勢な展開とは裏腹に先制を許すと、後半には相手のPKもあって0-2で敗れたのだった。試合の入り方は悪くない。ただ反面、ミスを恐れずにチャレンジしてきたチームが、ひとつふたつのミスに引っ張られたことも否めなかった。目には見えぬ昇格争いのプレッシャーなのだろう。

「選手たちが躍動感をもっていきいきとプレーしてくれたらうれしい」とは、折に触れ、反町康治監督が口にする言葉である。キーワードの「モーションとエモーション」もつねに語られている。「サッカーを楽しむ」という表現も然りだ。どんな状況下にあっても、指揮官のもとで培ってきたマインドは変わらない。逆に言えば、その湘南のマインドが今後の扉を開く鍵となろう。

札幌戦を終えてから、チームはあらためて結束を固くした様子だ。その高揚は木曜に行なわれた非公開練習にも表れていたようである。「うちらしくできていると感じた。下を向いてる選手はいない。皆おなじベクトルに向いてますよ」そう語るのはGK植村慶である。

湘南にあって、これまでの43戦でフル出場しているのはGK野澤洋輔だけである。また時にベンチスタートはあったものの、フィールドプレイヤーでは寺川能人が唯一、全試合に出場している。そしてもうひとり、すべての試合に名を連ねているのが、サブGKとしてつねにベンチに控えている植村である。今季一度もリーグ戦のピッチを踏んではいないが、トップのゲームからサテライトやトレーニングマッチまでもれなく間近で体感してきたわけだ。

その植村は言う。
「一戦一戦というスタンスは第1クールから変わらない。僕らはしっかり闘ってきたし、いままでどおり力まずにやればうちは大丈夫です。これまでもそうして結果を残してきているんだから。最後に笑うためには、さらに気力とかすべてを表に出して闘っていかなければいけない。試合に出ている選手はもちろん、そうでない選手も」

今節平塚に迎える岡山とは、第18節以来の対戦となる。およそ4ヶ月のあいだに、岡山は補強もあって様変わりしている。すなわち湘南の2戦2勝という戦績も、例に漏れず有利と言うことはできない。足下巧みに自ら仕掛けてゴールを狙う青木孝太やシュート意識の高い喜山康平、また妹尾隆佑ら2列目からの飛び出しには注意したい。

連敗を食い止めたい岡山としては、昇格争いの渦中にある、しかも一度も勝っていない相手に対し、モチベーション高く臨んでくることだろう。後手を踏む展開は不利になるため、本来の堅守で失点を防ぎつつゲームをつくりたい。対して湘南は、リーチを抱えたままではあるが田村雄三の出場停止が解け、入れ替わるように帝京高校の後輩DF山口貴弘が出場停止となる。総力戦のいま、メンバーは興味深いところだ。そしてなにより敵の出鼻を挫き、機先を制したい。

一戦を前に、反町監督が言う。
「相手うんぬんではなく、自分たちがしっかりできるか。いま一度、『湘南の暴れん坊』を意識しないといけない」

指揮官のもと培ってきたサッカーは裏切らない。冒険心に満ち溢れる湘南らしさを観る者に届けたい。

以上

2009.10.02 Reported by 隈元大吾