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【J1:第27節 清水 vs 神戸】レポート:勝負強さの増した清水が、10人で粘る神戸に価値ある1勝。これで鹿島とは勝点1差に。(09.09.28)

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9月27日(日) 2009 J1リーグ戦 第27節
清水 1 - 0 神戸 (13:04/アウスタ/17,294人)
得点者:82' 市川大祐(清水)
スカパー!再放送 Ch181 9/29(火)08:30〜(解説:山野孝義、実況:田中雄介、リポーター:真鍋摩緒)
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 今季前半までの清水であれば、0-0で終わっていたかもしれない流れだった。しかし、今の清水はそこで勝ちきる力を身につけつつある。それも含めて、清水にとってこの勝利は本当に大きな1勝だった。

 試合展開は、ほぼ予想通りのものだった。清水のスタメンは、ここ3試合まったく変更なし。神戸のほうも、出場停止の河本裕之の代わりに小林久晃、茂木弘人に代わってケガから復帰の古賀誠史が先発した他は前節と同じ。両チームとも、自分たちのスタイルを一切変えることなく試合に臨んだため、やはり序盤から守備優位の試合展開になった。
 ホームの清水は、強い日差しの中で立ち上がりから積極的に仕掛けていったが、縦の攻撃ばかりで横への変化が少ないため、神戸の守りが落ち着いてくると、徐々に通用しなくなってくる。神戸の守備陣は、ヨンセンや岡崎慎司に当ててくる縦パスに対して可能なかぎり2人で対応し、そのセカンドボールにも細心の注意を払ってカバー。それでもヨンセン→岡崎と落として基点を作れるのはこの2トップのすごいところだが、その回数はいつもよりも確実に少なくなった。サイド攻撃でも、深い位置からのクロスは少なく、アーリークロスを入れても神戸のゴール前の守りは強く、なかなかチャンスにつなげられない。
 また清水としては、もっとサイドチェンジを多くして神戸の守備ブロックを横方向に揺さぶると同時に、体力も奪っていきたいところだったが、神戸に前線からプレッシャーをかけられてパス回しに余裕がなく、縦に大きく蹴るシーンが多くなった。ここは、長谷川監督も「リスクを恐れているというか、前半は硬さが目立っていた」と振り返る。勝てば首位・鹿島と勝点1差になるゲームで、これまで以上に試合の重みが増してきた中、選手たちに自覚はなかったが、メンタル面の影響も多少はあったかもしれない。
 前半は、主導権を握った清水がシュート3本、カウンター攻撃主体の神戸が4本で、決定機の数も両者とも1、2本というところ。自分たちのサッカーを普通に貫いた神戸にとってはほぼ思惑通り、清水にとっては攻撃面で少し物足りなさのある45分だった。

 後半に入ると、「エスパルスが少し横に横につないできたので、前半よりも少しディフェンスが後手後手に回るところはあった」と神戸のボランチ・宮本恒靖が振り返ったように、清水が修正を図って横に揺さぶりをかけるシーンが多くなってくる。それでも神戸は守備面で破綻を見せてはいなかったが、後半10分にボランチの金南一が2枚目のイエローカードを受けて退場処分。ここは清水のボディブローが徐々に効いてきた成果でもあった。
 ただ、これで神戸はシステムを4-4-1に変えて、「勝点1を取るということに徹する形になった」(三浦監督)という展開に変化。神戸が前線からプレッシャーをかけられなくなったこともあって、清水はサイドへの展開を増やして攻勢を強めていくが、ゴール前では神戸が集中力と強さを見せて、清水のクロスも精度がもうひとつ。清水が押しこむ時間は多くなったが、シュート数は相変わらず少なく(後半は5本)、数的不利の神戸がイメージする展開になりつつあった。
 これまでの清水は、相手が10人になったところでなかなかうまい試合運びができないという課題があり、残り時間が少なくなって焦りが増し、攻撃が単調になってしまうという悪循環に陥りかねない状況だった。だが、今回は「途中から入った選手も含めて、全員でもうひとつギアを上げることができた」(伊東輝悦)という部分が、これまでとは違うところ。22分に伊東輝悦→山本真希、兵働昭弘→藤本淳吾と一気に2人を交代し、藤本と山本真が積極的に仕掛けて、攻めの鋭さを増した。山本真の長い距離のサイドチェンジも効果的で、神戸ゴールに迫る場面は確実に増えていった。
 それでも神戸はよく耐えていたが、こうした展開ではセットプレーも重要なカギとなり、その回数も清水が徐々に増やしていった。そんな中での37分の右CK。藤本のキックからセンターバックの岩下敬輔が高いジャンプでGKよりも先に触り、こぼれたボールから市川大祐が右足ボレーシュート。「とにかくボールから目を離さないで、ボールを落としてなるべく低い位置を捉えることを意識していた」(市川)というジャストミートのシュートが低く鋭い弾道でゴール左に決まり、清水がついに先制点を奪うことに成功した。

 その後の清水は、落ち着いてボールをつなぐことができず、10人の神戸に押しこまれる時間を作られたことは今後の課題のひとつとなる。ただ、イヤな雰囲気になりつつあった中で、攻撃に変化をつけて決勝点を奪ったことは大きな成果。3分間のアディショナルタイムに入ってからは落ち着いて時間を使い、3試合連続の1-0で勝負強く3連勝を果たした。
 これでホームでは21戦、アウェイを合わせても12戦無敗。鹿島に勝点1差まで迫り、勢いでは完全に上回っている。あとは、ここから試合の重みが加速度的に増していく中で、自分たちのサッカーをやり続けられるかどうか。そこはチームとしてのさらなる“芯の強さ”が問われることになる。

以上

2009.09.28 Reported by 前島芳雄
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