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【J2日記】岐阜:西川優大、ブレイクの裏にある恩師の言葉と指導。(09.09.25)

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ここ6試合で5得点と、好調を維持している西川。一時期はベンチからも外れることがあった彼が、ここに来て一気にブレイクしている。
このブレイクぶりは、決して偶然に起こったものではなく、彼が自分のプレーを信じて貫いてきたからこそであった。彼のプレースタイルを語るのに欠かせないのが、昨年の1年間の出来事であった。

昨年、筑波大の4年生だった彼は、その年に監督に就任したサッカー解説者の風間八宏氏のサッカー理論に大きく感銘を受けた。風間氏のサッカーは、スペースの捕らえ方が違う。風間氏が言うスペースは、僅かな隙でも正確な技術があれば、スペースになりうるという発想だ。例えば、DFとFWの間に1mスペースが出来たときに、いかに正確なパスを足元に出すか。それを受けて、いかにそのスペースを有効活用して、DFと駆け引きして勝負できるか。いかに正確に足元に繋いで、バイタルエリアを切り崩していくか。サイドを使うというが、サイドは最初から使うものではなく、中央で仕掛けた結果、生まれたスペースを使うという感覚でプレーする。つまりサイドを空けるために動くのではなく、中を崩すために動いた結果、スペースが生まれたら使うという発想だ。

現に彼のプレーは大学4年生になってから大きく変わった。オフ・ザ・ボールの動きの質が上がり、よりファーストトラップや、パスの質にこだわるようになった。長身に頼ったロングボール処理に徹するのではなく、徹底して足元に来るパスに対し、自分の動きと繊細なボールコントロールでスペースやポイントを作り出す。よりきめの細かなプレーが出来るようになり、ゴール前での存在感は大きく増した。
「風間さんと出会って、サッカーに対する考え方が大きく変わりました」。
まさに彼にとって、衝撃の出会いであり、自分のサッカー観が大きく変わったことで、よりサッカーというスポーツの深み、そして魅力に気がつくことが出来た。このことが彼のサッカー好きにより拍車をかけていった。

だが、岐阜に来てからは、彼のプレースタイルと周りが合わず、彼は思い悩む日々が続いた。彼の特徴は187cmの長身で、前線で体を張ってポストプレーに徹したほうがいいではと、プレースタイルを変えるべきなのかとも思ったこともあった。しかし、彼は迷いながらも、自分のプレーを貫くことを選択した。ただ躍起になって貫くのではなく、地道な自主トレと、日々のトレーニング、そして実戦をこなしていくことで、周りとすり合わせていくことで、「周りが自分をよく見てくれるようになった」という。
チームが試合を重ねるごとに成熟していったことも手伝って、彼のパフォーマンスも急激に上昇していく。それがここ6試合の活躍に直結した。
中でも富山戦のゴールは「今までで、なかった形」(西川)だった。1−0のリードで迎えた56分、センターライン付近中央で彼がボールをキープすると、高木和正が距離を縮めに来る。高木は彼からボールを受けると、そのまま裏に飛び出していった彼へ、ピンポイントのスルーパスを送る。これに抜け出した彼が、GKとの1対1を冷静に沈めた。ようやく自分が思い描いていた形で生まれたゴールは、チームの成長を如実に表していた。
続く第40節の水戸戦でも2ゴールを挙げ、好調ぶりをアピールし続ける彼。「風間さんが見ているのはあくまで世界。狭い視野ではなく、広い視野でやらないといけないことを教わった。サッカーの根本を教わったからこそ、自分の原点として、それを失いたくない」。恩師の言葉、指導を自分の原点とし、信念として貫く強い気持ちがあるかぎり、彼のプレーは決してぶれないだろう。それ以上にサッカー選手としても、これから先、ぶれることなく前進していくことを期待したい。

以上

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2009.09.25 Reported by 安藤隆人
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