9月13日（日） 2009 J2リーグ戦 第39節
愛媛 0 - 1 徳島　（19:04／ニンスタ／12,851人）
得点者：46' 六車拓也（徳島）
スカパー！再放送 Ch185 9/14（月）15:00〜（解説：大西貴、実況：堀本直克、リポーター：重橋秀香/藤原美佳）
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過去2戦の雪辱に燃え、ホームで気迫をぶつけてきた愛媛の戦いには確かに苦しめられた。ヒヤリとする場面をたびたび作られ、チームは前節までの2戦と比べてなかなかテンポよい組み立てや崩しを許してもらえなかったと言えよう。しかし、漲る闘志とあくなき勝利への執念で引けを取ることは決してなかった。そして激闘の末に掴んだ勝利─。徳島は今季ついに愛媛戦3連勝、四国ダービー完全制覇を成し遂げた。

立ち上がりこそ自らのミスから危険なシーンを迎えた徳島だったが、逆にチームはそれを薬に集中力を高め、攻撃のギアを入れる。6分に羽地登志晃が振り向きざまに思い切ってミドルを狙えば、続く7分には左サイドからいい形を創造。タッチライン際を抜け出た徳重隆明からの折り返しを、羽地がスルーし青山隼がフィニッシュというアイデアある攻めで愛媛ゴールへと迫った。さらに徳島は愛媛の左サイド裏スペースに隙があると見るや、積極的にそこを突いていく。14分には青山が麦田和志との連携から際どいラストパスをゴール前に送ったが、徳島にとってはそのスペースが最初の狙い目であったと言えるだろう。
ただ、そのように仕掛ける徳島も前半はややセカンドボールを拾えない印象。そのため攻撃は波状的なものとならず、それによって本当のシュートチャンスと呼べるほどのシーンまでは作り出せなかった。「バイタルエリアを締めているし、サイドに出た時のスライドも早い」（美濃部直彦監督）愛媛の守りを崩しあぐねていたのは間違いない。

しかしながらこの特別な一戦にトンネル（前節まで5戦勝ち星なし）脱出も懸かっていた徳島。「勝って帰ろう！」という指揮官のゲキを受け、さらに集中を増したチームは迎えた後半いきなりその部分を修正し、喉から手が出るほど欲しかった先制点へと結び付ける。右サイドで得たFKを徳重が中央へと入れると、それは愛媛DFに跳ね返されたものの、こぼれたセカンドボールに六車拓也がいち早く反応したのだ。そして難しいバウンドのボールであったものの六車は上手く膝をかぶせて右足を振り抜き、低く抑えた弾道のフィニッシュでネットを揺らした。

その後徳島は、1万を越えるホームサポーターに意地を見せたい愛媛の猛攻を受けることとなるが、選手たちは粘り強い守備を披露。「パワープレーをかけられた時も羽地さんが最後尾まで引いてきてくれた」と青山も振り返ったように、まさにチームは全員一丸となった守りで愛媛の猛攻に対抗し、それを最後までことごとく凌いでいった。さらにこの日の徳島には運も味方したと言えよう。三田光が与えてしまい同点を覚悟したPKのピンチがゴールポストに助けられたのだから。もちろんマウス内で構えてぎりぎりまで動くのを我慢していたGK上野秀章の気迫が蹴った内村圭宏の足元を微妙に狂わせたことも大いにあっただろうが。

こうして気持ちのこもった闘いにより徳島は勝利を手にした。これで今季の四国ダービー3連勝、しかも昨季の最終戦から数えると4連勝である。結果が何より重要視されるダービーマッチにおいて、その成果は素晴らしいとしか言いようがない。

加えて、徳島には内容でも評価すべきところが見られた。それはチームが立ちはだかっていた決定力不足という課題を乗り越えてこの白星を手繰り寄せたこと。前々節、前節に比べると数多くないチャンス（前々節、前節はそれぞれ18本のシュートを放ち、決定的というシーンも多かった）だったにもかかわらずその中でしっかりと得点を挙げたのは賞賛に値するところだ。さすがに美濃部監督は「最後は愛媛も締めてきたり、引っかかったりしていたので手放しでは喜べない。改善できたとはまだ思ってないし、もっと詰めないとまた点が取れない状況になるかもしれない」と手綱を緩めなかったが、とは言えこの前進はきっと今後の戦いにも繋がる積み上げとなろう。それだけにもう今から次節が楽しみでならない。

以上

2009.09.14 Reported by 松下英樹