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【J2日記】甲府:「48-FORTY EIGHT-」PART3(09.09.09)

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(C)松尾潤

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★「48‐FORTY EIGHT‐」PART2はこちら

 淡路サービスエリアは予想以上に充実していて半日くらい過ごせそうな充実振りだったが、休憩時間は1時間。杉様に寿司をご馳走してもらったのだが、その頃にはビールが飲めるまでに回復していたのでジョッキ1杯だけ飲んだ。ビール臭い息をして報道受付に行く根性はないからセーブしたのだが、3杯は飲めたと思う。昔ほどではないが、まだ僕の身体にも回復力があることを実感できて幸せだった。不動産会社・社長の杉様からは、甲府の選手がアルバイトをしながらJリーグで戦っていた頃の話を聞かせてもらった。練習時間外は駐車場の係りをしていた選手もいたそうだ。みんなお金が無くて、アパートを借りるための敷金がなくて、杉様が立て替えた選手もいたそうだ。選手がチームを去るときにちゃんと返したのかどうか心配だが、杉様のように自分の専門分野で力を貸してくれた人は少なくないんだろうと思う。そういう力が集まると、出来ることが大きくなるんだろう。そんな話をしていると、続々とバス仲間が寿司屋に集合してきた。淡路サービスエリアには幾つかのレストランがあったのだが、旅先では名物を食べ尽くすことを身上とする「甲州イナゴ軍団」の多くは、瀬戸内の魚の握りを食べることが出来る寿司屋にやってきて、結局はプチ宴会のようになってしまった。

 気分良く淡路サービスエリアを出た車内では、2005年の入れ替え戦の第2戦(柏対甲府)が始まった。阿部おじさんは、何処で仕入れたのかみんなにイチゴを配ってくれた。凄いホスピタリティ。イチゴを食べながら見ていると、寿司で満腹になったお腹に、ビールのアルコールがいい具合に馴染んで寝てしまい、気がついたら前半の41分で、藤田健がシュートを外していた。勝つことが分かっているから気が抜けていたのだが、バレーのゴールを2つ見逃した。後半になると柏はフランサを出してきた。しかし、50分に永田充が2枚目のイエローで退場になってしまい、柏は10人になった。こんなことがあったのも忘れていたが、直ぐにレイナウドがゴールを決めて2−1になってしまう。なんか大勝したイメージしかなかったけれど、52分までは競っていたんだと思うと変な気分になった。でも、その1分後からバレー祭りが始まった。53分のゴールは右サイドからニアをぶち抜くゴールで、これでハットトリック達成。68分のゴールは藤田のこぼれをバレーが決めて4点目。バスの中も勢いが出てくる。完全に目が覚めた。69分のゴールのときはみんなが「バレー、キター!」って叫んだ。85分を過ぎるとアナウンサーが「ヴァンフォーレ甲府、J1昇格に向けてあと5分」なんて言っている。その後すぐに宇野沢祐次に1点入れられたが、大きな問題ではなく、87分にはバレーがドリブルで独走してダブルハットトリックを達成。バスの後ろからは「マジかよ〜」なんて酔っ払いの声が聞こえてくる。そしてタイムアップになると「ヴァ〜ンフォ〜レ」コールがバスの中に響き渡る。テレビの中では号泣しながらバレーが「マイボンタージ、コメモラ、コメモラ、ドドムン」とポルトガル語で感情を搾り出していた。甲府のJ1昇格を見届けた頃にはバスは高速を降りていて、ニンスタの手前にあるローソンで最期の買出し。後援会の重鎮・バモおじさんはローソンに甲府の応援歌をでかい声で歌いながら入ってきたけれど地元の客のフリをして知らん顔した。戦いが近づいて戦闘モードになっているんだろう。サポーターは12人目の選手だというのは伊達ではない。腹から声が出せないライターはどんなに頑張っても煩悩たっぷりなので108人目くらいだ。

 ニンスタに着いてからはバス仲間とは別々になった。「甲州イナゴ軍団」は早速屋台に群がる。そして、静かに見たい人はメインスタンドに座り、激しく見たい人はゴール裏に別れていった。――試合の結果は0−2と残念だったので無視して――試合後。バスのメンバー全員で選手のバスを見送ってからホテルに向かった。時間は夜10時過ぎ。ホテルに着いてゆっくり出来るかと思ったら、「ロビーに11時30分集合」と体育会の先輩から号令が掛かる。ホテルの部屋で10分間だけ横になって、渋々と身体を起こそうとするとシーツと背中が剥がれるときにベリベリと音がした。しかし、ホテルからタクシーに分乗して松山の繁華街に出てみると元気が出てきた。ビールを飲み始めると更に元気が出てくる。人間って勝手なもの。反省会ではバモおじさんが「選手に『気持ちを切り替えろ』って言ってるんだから、俺たちも切り替えないと駄目だ。アウェイなら30分で立ち直らないといけない」って素晴らしいことを言う。名言。褒めると「28分27秒で立ち直らないといけない」と照れて言い直す。愛媛に結構無残な内容で負けて、それなりに落ち込んでいたけれど、「アウェイなら30分で立ち直らないといけない」ってのは本当に名言だと思う。でも、シリアスだったのはそこまででその後は普通の宴会に突入。何時まで飲んだのかは忘れたけれど、元気な人はその後も2件目に出動したみたいだった。杉様とタクシーでホテルに帰って、翌朝の出発時間までゆっくり眠れると思っていたが「甲州イナゴ軍団」の辞書に「ゆっくり眠る」という文字はなかった。よく朝早くから新たな試練が待っていた。

〜「48‐FORTY EIGHT‐」PART4 につづく〜

以上

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2009.09.09 Reported by 松尾潤
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