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【J2:第38節 横浜FC vs 水戸】レポート:見た目は劇的。後半終了間際に点を取り合う派手なゲームは、一方で悔しさと反省点を残すドローに。(09.09.07)

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9月6日(日) 2009 J2リーグ戦 第38節
横浜FC 1 - 1 水戸 (18:03/ニッパ球/2,648人)
得点者:89' 荒田智之(水戸)、89' 中野裕太(横浜FC)
スカパー!再放送 Ch183 9/7(月)17:30〜(解説:川勝良一、実況:野村明弘、リポーター:湯本久美)
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 公式記録的な見方をすれば、この試合は次のような感じになる。

「試合はスコアレスのまま進むが、後半終了間際の89分57秒に、まず水戸の荒田智之がゴールを決める、しかし、第4審判が提示した目安4分という長いロスタイムのラストプレーで、途中出場の横浜FCの中野裕太が豪快にミドルを叩き込んで同点に持ち込む」

 ドローで終わったゲームには、「勝点1を拾った」と「勝点2を失った」という2つの見方がある。大抵の場合、片方のチームが前者の見方、もう片方のチームが後者の見方に傾くことになる。しかし、試合終了後、両チームの監督、選手から出た言葉は、悔しさと反省ばかり。両チームとも後者の見方をしていることになる。この試合を見た両チームのサポーターも、前者の見方をする人もいれば、後者の見方をする人もいるだろう。それぐらい、見方の分かれる試合である。しかし、監督、選手ともに反省を基調とした見方をしていて、また横浜FCは「リベンジの第3クール」、水戸は昇格争いへの参入を目標としているだけに、このレポートも反省的な見方で進めていきたい。

 試合は3分、荒田が裏に抜け出し大久保択生と1対1になるが、この場面を大久保が冷静にストップすると、その後は横浜FCの荒田と高崎寛之の2トップ封じが機能する。「正直言ってほとんど何もやらせていない」と樋口靖洋監督が振り返ったように、八田康介と吉本岳史のコンビが水戸の2トップの駆け引きに勝利するだけでなく、ポイントとなるセカンドボールをボランチを中心として拾い続けた。さらに、横浜FCのバランスの良い守備ブロックが、水戸のボール回しを封じた。水戸の中盤での守備の出足も悪い中、横浜FCが効果的な攻撃を展開。9分、23分と、池元が決定機を迎え、36分には安がミドルシュートを放つが、ゴールには至らず。横浜FCがほぼ90%はゲームを支配している印象ながら、その優位を生かすことができずに前半は終了する。

 そして、キムテヨンを下げて中盤の立て直しを図って入った後半、水戸はペースを引き寄せるべく、前半よりも早いタイミングで2トップにボールを入れるようになる。さらに58分に切り札の吉原宏太を投入し、1点をもぎ取りにくる。この交代は効果を挙げるものの、横浜FCがロングボールを冷静に耐えてショートカウンターを繰り出していくという、全体的な試合のベースは変わらず。そして、終盤に近づくにつれ、水戸は8人を低い位置に人垣のように配置する一方、攻撃は2トップ頼みになる。そのため、横浜FCの攻撃はその人垣に阻まれる形で得点に至ることができないまま、時間だけが過ぎていく。そして、スコアレスドローで終了かと思われた89分、水戸のカウンター攻撃が見事にハマり、荒田が決定的な先制ゴール。しかしゲームはここでは終わらなかった。ロスタイムの中でも横浜FCは冷静にゴールの機会を求め続けると、ラストプレーで吉田正樹からのクロスを、西田剛が落とし、最後は途中出場の中野がミドルシュートを突き刺し同点。最後の5分に2ゴールが集中する劇的なゲームはドローで終了した。

 横浜FCの反省点は2つ。1点目は完璧な試合運びを続けながら、その時間にゴールを挙げられなかったこと。「3-0、4-0で終われる試合だった」と安孝錬が振り返るように、前半で決めなければいけない試合だった。前半のシュートは4本と内容に比べると少ないだけに、前半で決める執念、ミドルシュートを打つ姿勢が必要。2点目は、試合の大きなテーマだったリスクマネジメントにおいて、最後の最後でミスをしてしまったことだ。一番警戒していた失点の形だっただけに、一瞬の隙を作ってしまったことで、それまでの集中がフイになることを再認識することになった。完璧な試合運びをしていただけに、あまりにももったいないという悔しさが、試合後の監督、選手からはあふれていた。ただ、控え組の中野の劇的なゴールは、横浜FCに勢いを与えるはず。2度とこの思いを繰り返さないためにも、次節栃木戦では、この反省を生かすサッカーを見せたいところだ。

 一方の水戸の反省点は、勝点2を失ったこともあるが、それ以上にリスクを恐れるあまりFWと中盤の距離が空いてしまい、攻撃がどうしても2トップの個に頼る形になってしまうことだ。ある意味、伝統的なJ2の戦い方とも言えるが、この試合のように絶好の時間にゴールを奪っても勝ちきれないようだと、勝点3には遠くなってしまう。残り13試合で昇格を実現すべく、どのように攻撃にプラスαを加えていくのか。戦い方の整理という岐路に立たされていると言って良いだろう。

 横浜FCは調子を上げつつあり、水戸は昇格を狙う位置にいるからこそ、両チームから漏れてくる反省の声。ともに自らの武器は出しながら勝点2を失ったと思える展開だけに、次の試合で反省点を克服できるか、プロとしての仕事の質が問われることになる。

以上

2009.09.07 Reported by 松尾真一郎
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