第36節岡山戦2日前の練習後、あるサポーターが大和田真史のもとへ駆けつけ、こう声をかけた。「新しいゲーフラを作ったので、一言書いてください!」
サポーターが差し出したゲーフラを見た瞬間、大和田は目を輝かせ、「この言葉を待っていたんだよ!」と喜びをあらわにした。
そのゲーフラに書かれていた言葉は「思いは一つ。もうJ1しか見えない」。大和田が言う「この言葉」とは、もちろん「J1」である。そして、サポーターからペンを受け取った大和田は自分のサインをゲーフラに書き込み、その横に太く「J1」と綴った。水戸にとって「J1」が夢から現実的な目標に変わった瞬間であった。
第37節終了時点で3位と勝点差5の5位。J2参入10年目で初の昇格争いに加わることとなっている。クラブ史上最高のシーズンを送っていることは言うまでもない。昨年まで毎年のように下位に低迷し、苦しい思いをしてきただけに、チーム加入6年目となる大和田は「昨年から来た選手には分からない思いが僕らにはある」と感慨深く語る。数々の苦難の道を乗り越え、やっとたどり着いた昇格争いの道。「今の状況を思いっきり楽しんでいる」と大和田はまぶしいほどの笑顔を見せた。
9月2日、第37節札幌戦を取材しに行くために羽田空港で札幌行きの飛行機を待っていた時、後ろから肩を叩かれた。振り向くと、そこには沼田邦郎社長と萩原智久強化部長が立っていた。話を聞くと、普通に航空券を取って移動するのはお金がかかるため、2人とも旅行会社が企画している格安ツアーで札幌に向かうという。沼田社長は「スパ入り放題らしいけど、そんな時間ないんだよな〜」と冗談を口にしていたが、日本広しといえども、「格安ツアー」でアウェイに帯同するJクラブの社長は水戸だけだろう。それほど困窮した資金面の中で、チームは昇格争いを戦っている。それは本当にすごいことだと素直に思う。
札幌戦は引き分けに終わったものの、まだ3位と勝点差5。十分可能性はあると言えるだろう。札幌戦で同点ゴールを決めた吉原宏太はこう語った。「水戸は自分がワクワクできそうなチームだと思って入ったチーム。選んで間違いなかったと思っているし、本当に楽しめて戦えている。最後まで1試合1試合必死に戦うだけですよ」。
果たしてどんな結末が待っているのか。考えるだけで胸が高鳴ってしまう。選手、フロントスタッフ、そしてサポーター――水戸に携わる誰もがそんな思いをしていることだろう。水戸の快進撃はまだまだ終わらない。
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2009.09.03 Reported by 佐藤拓也
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