こういう時に起爆剤となるのは、活きのよい新戦力、若手と相場が決まっています。前節の栃木戦では、昨シーズン帝京高校から加入したGK大久保択生が、J2デビューを果たしました。GKというポジションは、通常なかなか代えづらいポジションですが、こういうチーム状況はそのいいタイミングになります。樋口監督も「空気を変えたい」と思い切って起用しました。
大久保は、高校時代から年代別の日本代表に選ばれており、今年1月に行われたカタール国際親善試合では4試合に出場しました。菅野孝憲(現・柏レイソル)が抜けた後に加入した大久保は、年代別代表経験者として、いつかは横浜FCを支える守護神になると期待されています。その大久保のデビュー戦後のコメントは、非常に堂々としているものでした。
田北雄気GKコーチから「堂々とやれ」と指示を受けた大久保は「ゲーム前は緊張していましたが、ゲームに入ったら緊張というより楽しかった」と、精神的にストレスのかかるチーム状況の中での強心臓ぶりを発揮。「ファーストプレーが納得いくキックだったので、そこから落ち着いたと思います。後半になったら、本当に落ち着いてできたので、自分の良さは大体出せたんじゃないかなと思います」と、スムーズなデビューを果たしたようです。「コーチングは先輩後輩は関係なくできましたが、もっとシュートを撃たれたところも指示が出せたんじゃないかな と思いますし、もっとコーチングは必要だと思います」と冷静に反省点も挙げています。このふてぶてしさと冷静な分析力に、今後期待できる素質が垣間見えます。ディフェンスの集中が途切れたこともあり、2失点は結果だけを見ればほろ苦いデビュー戦ですが、これから出場を重ねることができれば、横浜FCの空気を変える、新しい柱になるでしょう。
栃木戦の横浜FCのゴール裏には「09横浜もう終わり?」というゲートフラッグも掲げられました。サポーターからの強烈な激励です。若手も含め、個々の選手は一定のパフォーマンスを出しています。大久保のような若手が台頭することで、一つ導火線に火がつけば、チームが良い方向に導かれることは間違いありません。「09横浜これから始まる」。そうなるはずです。
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2009.05.14 Reported by 松尾真一郎