3月25日(水)ヤマザキナビスコカップ 広島 vs 浦和(19:00KICK OFF/広島)
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「史上もっとも悲しいVゴール」という伝説が、ある。
1999年11月27日。2万42人と超満員のサポーターを飲み込んだ駒場スタジアムがその舞台だ。悲劇の主役は、浦和レッズ。相手役は、サンフレッチェ広島だった。
この試合の前まで、浦和は勝点26で年間14位。90分で勝てば、文句なくJ1残留が決定する。一方の広島は既にJ1残留を決め、さらに負傷でエースの久保竜彦や藤本主税(現大宮)など、主力を5人欠いている状況。モチベーション的にもコンディション的にも、浦和が有利と思われていた。
真っ赤なサポーターの大声援を受け、浦和は広島を攻め立てる。しかし、ラストパスやシュートの精度を欠き、どうしてもゴールできない。63分に盛田剛平(現広島)、81分には福田正博を投入するも広島のゴールネットを揺らせない。
後半終了のホイッスルが鳴った直後、スタンドがざわつき、やがてシンと静まり返った。異様な静けさの中、延長戦のホイッスルが鳴る。106分、ショートコーナーからチャンスをつくり、福田がゴールを流し込んだ。しかし、浦和のエースに歓喜はない。勝点で並んだ福岡との得失点差、わずか1。しかしもう、どうやってもその差はひっくり返せない。
J2降格。福田も、そしてサポーターも、延長に入った段階でその冷たい現実を知っていた。大粒の涙をこぼす福田を、広島のボランチ・森保一(現広島コーチ)が抱きしめる。日本代表でも共に闘ってきた盟友の耳元で、森保は「必ずJ1に戻ってこい」とささやいたのだ。
しかし、この伝説の試合をスタートとして、まさか広島が浦和にまったく勝てなくなるとは、この時点で誰も想像しなかったはずだ。
2001年に浦和がJ1復帰を果たして以降の対戦戦績は、リーグ・カップ合わせて2分12敗。1999年以前は11勝1分12敗だから、傾向の変化はあまりに顕著だ。広島はその間、2度にわたってJ2降格を経験し、浦和はJリーグを制しACL王者にも輝くなど、日本を代表するビッグクラブへと成長。10年前とはまるで立場が逆となってしまった。
ホームでもアウェイでも、打ち合いでも守り合いでも、広島は浦和に勝てない。2004年のファーストステージで引き分けて以降、公式戦7連敗中。この間の失点は21点を数え、4失点以上の大敗が4試合。2005年、佐藤寿人がハットトリックを決めても、3−4で敗れてしまう。何かに呪われたがごとく、浦和には勝てない。
明日のナビスコカップ開幕戦において、浦和は4人の日本代表(都築龍太・闘莉王・阿部勇樹・田中達也)を欠く。しかし、抜群の層の厚みを誇る浦和は、びくともしない。FWには高原直泰、DFは堀之内聖、GKには山岸範宏と経験のある選手が控え、ボランチにはF東京戦プロ初アシストを記録したルーキー山田直輝が、活躍の機会をうかがっている。今年はカウンター型からポゼッション型への切り替え期で、ややもたついている感もあるが、F東京戦での快勝が象徴するように「ポゼッション型」のチームには強さを見せる。広島も同じスタイルだけに、浦和にとってやりにくさはあるまい。
広島にとって相性以上に心配な材料は、リベロのストヤノフがブルガリア代表に選出され、この試合には出場できないこと。代役として起用が予想される中島浩司は、2006年のナビスコカップ決勝で出場停止のストヤノフに代わって出場、鹿島を完封して優勝に大きく貢献した。広島でも落ち着いたプレーを見せているが、ストヤノフの存在感が絶大だっただけに、不安を消し去ることはできない。ペトロヴィッチ監督は、中島をボランチにあげ森崎和幸をリベロに下げるプランも持っているようだ。
前節の鹿島戦では、自分たちのサッカーがまったくできずに完敗。持っている能力の半分も出すことができず、屈辱にまみれた。大宮戦での教訓から槙野智章・森脇良太が攻撃参加を控え気味にしていたわけだが、それが広島の奔放な攻撃サッカーの良さを失い、主導権を手放してしまう結果となってしまった。ややショックが残る負け方となった広島だが、そこから中2日でどこまで精神的に盛り返すことができるか。
「集中して、勇気を持って、闘ってほしい。我々は浦和と比べても、弱いチームではない。勝利を祈っている」
スコットランドで母国のために闘っているストヤノフのメッセージに応えるために、そして何より、10年間も浦和の前に屈辱を味わい続けたサポーターのために、広島の選手たちは強い気持ちを振り絞って、ビッグクラブに挑戦する。1999年3月27日、広島ビッグアーチで4-1と勝利して以来の対浦和戦勝利を目指して。
以上
2009.03.24 Reported by 中野和也
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