1月29日(木)AFCアジアカップ2011カタール 予選Aグループ第2戦 バーレーン代表 vs 日本代表(00:15KICK OFF/マナマ)
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それが順調なのかどうかは別にして、日本代表はマイペースかつ着実にチーム作りを進めてきている。26日の練習後に岡田武史監督は「自分たちのプレーをやる中で、特に戦い方を変えるわけではない」と、日本のサッカーいわゆるコンセプトを、このバーレーン戦では相手に合わせて変えることがないと発言。もちろんバーレーンという相手はくせ者ではあるが、今の彼らとの力関係を考えれば何かを特別に変えるまでもないというのは妥当な判断だろう。
この合宿には欧州から稲本潤一(フランクフルト)と本田圭佑(VVVヘンロ)の2選手が招集され、GKの菅野孝憲(柏)と共にコンセプトについての理解を進めている。その一方で25日に行われたイエメン戦を編集したビデオを使ったミーティングについて、内田篤人(鹿島)は「コンセプトは、オレは初めてではないですし良くやっていること」と述べていた。つまり昨年5月の名古屋合宿からの常連組にはコンセプトはかなりのレベルで浸透していると判断していいと思われるのである。もちろん理解と実践とでは隔たりがあって当然で、今後は試合での応用のレベルを上げていくことが目標となる。
戦術の浸透については、練習でも確認することが可能である。たとえば指宿からの合宿では4人1組のシュート練習時に、ミスした組が以前よりも全力で帰陣しない場面が増えている。岡田監督もそうした状況に対し、体の向きを自陣の方に向けること、つまり攻撃から守備への意識の切り替えを徹底させるところに指示を落ち着かせている。そしてその先のステップとして、自陣に向けて走る・走らないはその選手個々の判断に任せているのである。
局面の判断に限らず、試合全体の流れをある程度選手の判断に任せるという方向性は、鹿屋体大との練習試合(1/15)ではっきりしており、特に相手との力の差がある試合では有効に機能しているように感じられる。試合では、攻撃から守備への意識の切り替えと、その局面で実際に失ったボールへとアタックするか・しないかの判断が選手に委ねられつつある。たとえば、それは「守備へのスイッチ」というようなキーワードで選手の口から発せられている。
内田の発言やシュート練習時の設定の変遷から推測すると、現時点で日本代表チームの核となる選手たちの間にはコンセプトに基づく守備が実用レベルまで到達していると見ていいだろう。あとはそうやって奪ったボールをゴールに結びつけるまでの過程に道筋を付ける作業に取りかかればいい。
ここに来て日本代表チームは、シュート練習のバリエーションを増やしている。4人1組で行われてきたシュート練習が、3人1組になったり2人1組になったりしているのである。パターンもクロスボールに合わせるシュート練習は当然のこととして、相手ゴール前での密集から裏へ抜け出すパターン練習、つまり遅攻の設定を試したりショートカウンター的な縦への早い崩しを意識させる練習、つまり高い位置でボールを奪った後の攻撃の練習も取り入れられている。バーレーン代表がどのような布陣や戦術でこの試合に臨むのかはわからないが、こうした練習の成果が一つでも出るように。そしてピッチ上で選手たちが自律的に判断するサッカーを見せてもらえればと思う。
今回のアジアカップ予選の組み合わせは、日本にとってそれほど難しいものではない。イエメンとバーレーン、そして香港と同組になった日本は、この4チームのうち上位2チームに入ればアジアカップへの出場権を確保できるのである。もし仮にこのバーレーン戦で勝点を落とすようなことがあっても、イエメン、香港(ホーム11/14、アウェイ11/18)との戦いで勝点を積み重ねることができれば、リーグ戦の大局にそれほど致命的な影を落とすことはない。
2月11日(水)@横浜国のワールドカップ最終予選・オーストラリア戦に向けて。そして6月の決戦3試合に向けて、共通の理解を持つ選手の層に厚みを持たせ、攻撃のパターンを増やし、状況に応じた対応を臨機応変にできる選手を作っていく。そうした過程の一つとして、この試合が持つ意味は大きい。川口能活(磐田)の負傷離脱や試合出場が危ぶまれている遠藤保仁(G大阪)の状況は痛いが、彼らの穴を埋める選手の登場によって日本はさらに活性化していくのである。
ただ、だからといって負けたくはない。相手はホームで戦う意地があり、勝つために全力を尽くしてくるはず。そうした相手を倒してこその、代表チームである。「日本強し」の印象を相手に与えるためにも、立ち上がりから「コンセプト」を徹底し、相手を圧倒してほしいと思う。
以上
2009.01.27 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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