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【2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 バーレーン vs 日本】レポート:ほろ苦さの残る勝点3はあくまでも最低限の結果。しっかりと課題をあぶり出し、次戦までに修正してほしい。(08.09.07)

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9月7日(日) 2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選
バーレーン 2 - 3 日本 (03:30/バーレーン/人)
得点者:18' 中村俊輔(日本)、44' 遠藤保仁(日本)、84' 中村憲剛(日本)、86' サルマン イサ(バーレーン)、87' オウンゴール(バーレーン)
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 この日を迎えるまでにため込んできた心配は、杞憂という言葉と共に溶解していった。難しくタフな試合が予想されたアウェイでのバーレーン戦は、日本のペースで始まった。

 日本は持ち味であるパスワークと個人能力の高さをうまく融合させ、バーレーンの穴を突いていく。開始早々のゴール前の中村俊輔のFKに始まった攻撃は、その後も止まることなく続いた。対するバーレーンは気持ち的に受けに回ってしまったような状態。アドナンを中心とした最終ラインの3枚と、ジャラルとサルミーンが組むボランチの距離の関係が適切でなかったのだろう。多くの時間帯で日本の攻撃を受け続けることとなった。

 そもそも連日のように現地のTVで流されてきたというこの試合に関する報道は、バーレーン代表の仕上がりの良さを伝えていたという。実際、直近の親善試合での好成績や、欧州遠征など、バーレーン代表を取り巻く環境は明らかに上向いていた。今年3月のホームでの勝利も彼らを勇気づけるポイントになったはず。

「04年の中国の時とは違う。もちろん05年の最終予選の時とも違う。俺達は強いんだ」と口にしたバーレーン人サポーターの気持ちは、この日スタジアムを訪れたほとんど全てのバーレーン人の共通認識となっていたことだろう。しかしそれは厳しい現実の前に霧散することとなる。日本代表がパスをつなぎ、バーレーンは受け身になる。さらに日本代表が前へ出る。バーレーンの最終ラインは積極性を失い、中盤に日本が使えるスペースが増える悪循環を招く。自らを窮地に追い込んでしまったバーレーン代表の消極的な試合運びに関しては、指揮官であるミラン・マチャラ監督ですら首をひねるしかなかった。

「大きな敬意を日本に対して払ってしまいました。それがなぜなのかわかりません」

 そして試合が動く。先制点は18分。ゴール前で得たFKの場面だった。影のアシストとも言える闘莉王は「どこに蹴るのかがわかったので、相手をどかせた。いいコースにきてくれました」と壁の中でのつばぜり合いを振り返る。

 低い弾道で闘莉王が空けた穴を抜いたボールは、這うようにゴールを目指す。絶妙なポジションでワンバウンドして加速すると、そのままゴールを割った。ペースは握っていたが、それでもいつバーレーンが彼らの持ち味であるタテへの早さを発揮して逆襲に転じるのかと冷や冷やしていただけに、安堵感を感じさせてくれる先制点となる。

 眠っていたバーレーンが目覚めたのはここからだった。思い出したかのようにボール支配率を回復し、最終ラインを上げて日本を押し込む。負けられないという思いが、前への気持ちとシンクロした時間帯だった。

 時間にして10分ほどだったか。バーレーンに押し込まれる時間帯を凌ぐと、再びペースは日本へと帰ってくる。きっかけは局面での選手個々の持ち味を発揮した崩しである。田中達也がドリブルで持ち込み勝負に出る。また、相手ゴール前へと運んだボールのこぼれ球を、阿部勇樹がミドルで狙う。そうした攻めの意識が2点目を呼び込む。前半も終わろうかという41分のこと。敵陣深い場所での相手ボールのスローインの場面。そこが狙い目と見た日本代表が囲い込みに入りボールを奪取。玉田圭司が積極的に縦方向に勝負するとバーレーンはファールでしか止める事ができなかったのである。

 ペナルティエリア脇のポイントで、遠藤保仁がキッカーとなったFK。遠藤に近づいた闘莉王は、中村俊をターゲットとしたグラウンダーのボールを蹴るようにと指示したのだという。

「練習でもやっていなかったんですが、闘莉王が言ってきたのでやりました。ああやって突然決めてもできたのは大きい」と中村俊。ダイレクトで蹴った中村俊のシュートは、相手DFの手にあたりPKの判定を得る。キッカーの遠藤はいつものように相手GKの動きを見て、逆を突いて追加点を奪った。時間は前半終了間際の44分だった。

 自信が落胆に変わったその瞬間。スタジアムを訪れたサポーターの多くが帰途につき始める。あまりの切り替えには少々驚かされた。

 前半の大半を寝て過ごしたバーレーンは後半の立ち上がりから目を覚ます。チーム全体で積極性を回復して試合を支配すると、一気に日本を攻め立てた。前へとボールを運ぶことでCKを奪い、長身選手による競り合いに持ち込む。もちろん日本もそう簡単にはやられるわけには行かず、しっかりとした守備組織でこれに対応した。時間にして20分ほどだったか。バーレーンの攻撃は脅威ではあったが、日本ゴールを奪うほどには決定的でもなかった。

 日本の追加点は、攻撃的な姿勢から生まれる。たとえば75分の長谷部誠、田中達の連続シュートの場面のように、それまでにもチャンスはあったが、なかなか日本はゴールを決めきれずにいた。そんな中、85分に途中交代の中村憲剛が見せた。

「阿部ちゃんからパスが出てきた瞬間に打とうと決めてました。相手も出てこなかったし、よかったです」と振り返るそのシュートはバーレーンの闘志を完全に殺すはずだった。しかし、そうは簡単に行くことはなかった。がむしゃらにゴールを狙うバーレーンは、87分にサルマン・イサが1点を返すと、そのわずか1分後にロングボールの処理を闘莉王がミス。

「ギリギリでした。触らなくても良かったかもしれない。ただ、FWも後ろからきていたので、触らなくてやられるよりは触った方がいいと思った」という判断でヘディングでのバックパスを選択。これが熱狂のサポーターの声援に後押しされるかのように無人のゴールへと転がった。3点差が1点差にまで縮まったことで、俄然盛り上がるスタジアム。勝点1が見えてきたバーレーンは、66分にモハメド・ハサンが2枚目のイエローをもらい退場しており、一人少ない状態だったにもかかわらず攻勢を強める。ああいう状況になるともう人数は関係ないということだろう。3点目を目指して激しく日本を攻め立てるバーレーンのダイナミックな攻勢は、ロスタイムの3分をあっという間に過ぎ去らせた。

 ほしかった勝点3は、ほろ苦さと深いため息と共に転がり込んできた。あの極限状態の中のことである。この際スコアは関係ないと言いたいところだが、改めて時間帯によるリスクマネージメントについては精査しておく必要があるだろうと思う。特に闘莉王が口にした「あの場面は出所にプレスに行かないところがダメだった。一人多いのに、フリーで蹴らせてしまった。フリーで蹴らせると距離も出るから下がらざるを得なくなる」という言葉の意味は大きいと感じた。本来であればフレッシュな選手が、前線で相手にプレッシャーをかけなければならない場面だったはずである。

 日本は06年のドイツ・カイザースラウテルンで、リードした終盤に同じようなミスをしてしまっている。あの悲しいミスを繰り返しかねない展開に持ち込まれたことについては猛省すべきだろうと考える。

 確かに勝つには勝った。しかしアジア諸国が、国際舞台で全く結果を残せていないのは、勝負にこだわり内容をおろそかにした結果だったはず。勝って兜の緒を締められるこの試合を十分な反省材料として今後に生かしてほしいと思う。日本が手にしたこの成果は、あくまでも最低限のものでしかないのである。

以上

2008.09.07 Reported by 江藤高志
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