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【2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 バーレーン vs 日本】プレビュー:プレスの使い分けがポイント。3月の屈辱を払拭する勝利を期待。(08.09.05)

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9月7日(日)2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 バーレーン vs 日本(03:30KICK OFF/バーレーン)
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TV放送:テレビ朝日系列/NHK-BSにて全国生中継
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 2010年ワールドカップ南ア大会に向けた最終予選の初戦となるバーレーン戦を前に、岡田監督の準備は入念に進んでいる。そして、選手たちは高い意識を維持してそれに答えている。

 岡田監督が「初日にしては動けてたと思います。明日、明後日ときつくなると思う。キャンプは3日目くらいがピークになりますからね」と述べていたバーレーンへの移動初日。湿気を帯びた空気が、日没後でも30度を超えるような気温の中で、体中にまとわりつくような不快感を与えていた。低温のサウナだと言われれば妙に納得するような、そんな気候の中、選手たちは声を出しながら全力で練習に取り組んでいた。座るだけでも大量の汗が噴き出してくる悪環境の中でも彼らが真剣に練習に取り組んでいたのは、もちろん3月の屈辱を払拭するために他ならなかった。

 3月の敗戦は、確かにショックだったが、当時の日本代表がいくつかの重要なピースを欠いていたのも事実である。たとえば最終ラインの闘莉王の不在は、守備時における安定感と、セットプレー時の攻撃性の両面において結果的に日本にダメージを与えていたし、良質なラストパスの起点となりうる中村俊輔を始めとした欧州組の不在もまた、日本の戦力に影響を及ぼしていた。

 つまり逆の言い方をすれば、当時組み込めなかった戦力を手にした日本代表は、現時点で岡田監督が考える最強メンバーを編成していると言っていい。そんな日本代表はどのようにバーレーンを迎え撃つのか。

 まず気になるのが阿部勇樹の左サイドバックでの起用の可能性である。パスの出所になるとの判断でウルグアイ戦で試し、国内合宿でも引き続き試されていたのは記憶に新しいところ。ウルグアイ戦で見せていた阿部の動きの中で特徴的だったのが、ある程度守備に重点を置いたポジショニングである。この試合では1〜2回のオーバーラップを見せていたが、ほぼポジションを崩さず。国内合宿でもそのスタンスは変わっておらず、ボランチの中村憲剛と監督を交えた話の中で、左サイドにできたスペースを中村憲がスライドして埋める、というような具体的な守備イメージも語られていた。相手の攻撃を封じるために、サイドバックからの攻撃をある程度犠牲にして、守りを重視しようという考えが、これまでの練習の中から見えてきている。

 また全体の戦い方自体も、守備を意識した発言が多く聞かれるようになっている。たとえば、5月に名古屋でスタートした合宿で岡田監督はいわゆる「コンセプト」という基本的なチーム戦術を提唱。ボールを奪われたその瞬間に攻守を切り替え、より高いところでボールを奪い返し、そして攻撃のチャンスを広げようというサッカーへの転換を図ってきた。実現すればかなり攻撃的なサッカーが展開されるのは間違いなかったのだが、その一方で体力の消耗も激しいものとなる。この暑さの中でどこまでやれるのか、という不安があったが、この合宿ではその「コンセプト」が微妙に修正されてきているように感じられる。

 たとえば4日の練習後に岡田監督が「コンセプト以上に自分たちがやらないとだめというところがある」と発言。コンセプトはもちろん大事なのだろうが、それ以上に「自分たちがやるべき事」つまり勝点3を取るための戦いがある、という事を示しているように聞こえた。そしてそんな岡田監督の言葉を裏打ちするように選手の口からも「暑さの中でのサッカー」という現実路線を感じさせる発言が増えている。

 たとえば長谷部誠は戦い方について「コンセプト」に従って「相手の陣地で取られても、すぐに取り返すということ」と発言しつつも、バーレーンの気候に合わせた「こういう暑い中、全部前から行けるわけではない。それをチームで確認してます」という言葉も口にしていた。

 同じように中村憲は「(暑い中)90分、ずっと行ったり来たりはできないだろうし、引いてコンパクトな時と、11人が連動してやるときの判断が大事になる」とし、敗れた流経大戦を引き合いに出して「個々で行くところがバラバラになるとだめ。時にはしっかりとブロックを作ってやった方がいい」と述べていた。要するに、運動量をベースとしたプレスを封じ、時には枚数をかけてしっかりと守るべき時間帯もあるという事である。

 こうした守備戦術の使い分けを決断したのは岡田監督なのだが、実際にどの局面でそれを切り替えるのかはピッチ上の選手に委ねられているという。そしてその判断の最終決定者は「(プレスは)前が勝手に行くのではなく、後ろの声が大事になる。前が出て行き過ぎると、剥がれてしまう」という中村憲の言葉に従えば最終ラインという事になりそうである。

 ベンチからの声に頼り切るのではなく、複数の選択肢をピッチ上の選手たちが判断するという方向性は非常に大事だと考える。日本サッカーが世界の壁に跳ね返されてきた歴史の現実として、選手自らが試合の流れを読む力を持っていなかったということが上げられてきた。アジアレベルでは勝ち抜けたとしても世界の舞台では、ベンチの声に頼っていては勝ちはおぼつかない。そうした背景を考えれば、このバーレーン戦は岡田監督と日本代表選手にとって新たなチャレンジになるという事が言えそうだ。

 ちなみにFWの組み合わせだが、4−2−3−1のシステムを前提にした場合、1のポジションに収まるのは、ポストタイプの巻誠一郎ではなく、激しくプレスに行ける大黒将志なのではないかと推測する。それはたとえば、ウルグアイ戦を前にした会見で岡田監督が「パワープレーをするわけではないので、長身選手は選んでいない」と述べている事からわかる。つまりウルグアイ戦時点での話ではあるが、岡田監督の戦術の中では、ターゲットとなれる長身選手はパワープレー要員としてとらえている事を示している。

 具体的なイメージを持ってもらうには、たとえばフランサ復帰以前の柏のサッカーというものが岡田監督の完成形に近いように感じる。つまりポポの強烈なプレスからリズムを作る、というスタイルである。そして大黒は東京Vで、ポポに比肩する積極的なプレスを見せている。「全てのボールに対してプレッシャーをかけなくてもいい」、というお墨付きを得た選手たちは、体力を温存しつつ、ここ一番の時間帯をかぎつけて、すさまじく攻撃的なプレスをかける時間帯を見せるはずである。そしてそれが実現した瞬間は、かなりのスピード感を伴ったサッカーを展開するものと思われる。ぜひ、その瞬間を見逃さないようにしてほしいと思う。

 さて、対戦国のバーレーンだが、3月の対戦とは打って変わり、ポゼッションサッカーを指向し、実際に実現しつつあるという。中東らしく、また3月の対戦でも見せていたようにロングボールの放り込みサッカーというイメージは彼らのサッカーを正確には表さなくなってきている。その点岡田監督は「ゲームを見た感じではつないできている。組織的にやっていると思います」と述べて警戒していた。ただ、彼らがボールをつなぎ、攻撃の形を作って攻め崩す、というサッカーを実行してくれれば、それは日本にとっては戦いやすくなるようにも思う。しかしここで注意しなければならないのは、彼らが応用力のないロボットではないという事実である。日本がそうであるように彼らも試合展開によって戦い方を変えてくるに違いない。蹴り込みサッカーも想定した上で、試合に臨むべきだろう。

 注意すべき選手は、月並みながらアラー・フバイルの名前を上げておきたい。3月の屈辱を味あわせられた選手であり、その得点力の高さは中東でも随一のものがある。この試合でも日本を苦しめる可能性は高い。また、中盤を司るサルミーンという選手も忘れてはならないだろう。彼は3年前の日本での最終予選で、オウンゴールを献上した選手である。あの試合が1−0で日本の勝利で決着したことを考えれば、この試合に対して特別な思いを持っていて不思議ではない。また、バーレーン人のサッカーファンも、サルミーンのオウンゴールを今でも覚えており、そういう意味でも彼にとっては非常に重要な位置づけの試合になりそうだ。

 夜明けから日没までの間、絶食しなければならないというラマダンの期間に当たることもあってか、この試合の開始時間は現地時間の21時半である。気温の事を考えれば、西日が残るオマーン戦と比較してはるかに戦いやすい状況にある事は間違いない。しかし、通常の日本国内での試合時間としては、W杯本大会を含めてもなかなか経験したことのない時間であり、試合までの時間をどう過ごすのか、という点も重要になる。

 話は変わるが、現地に駐在する日本人にとって中東での日本代表の試合は、最高の娯楽なのだという。そして彼らは一度敗戦で悔しい思いをさせられているともいう。

「日本人学校は金、土が休みで、日曜日から子供たちは学校がありますがそんな事は言ってられないです。家族総出で応援に行きます。とにかく勝ってほしいです」というバーレーン在住の日本人のみなさんの気持ちを汲んで。そして長いワールドカップ最終予選の初戦を勝利しいい船出ができることを期待している。

以上

2008.09.05 Reported by 江藤高志
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