11月4日(日) 第87回天皇杯4回戦
横浜FM 4 - 1 佐川急便SC (13:00/三ツ沢/6,358人)
得点者:22' 狩野 健太(横浜FM)、31' 御給 匠(佐川急便SC)、52' 坂田 大輔(横浜FM)、53' 大島 秀夫(横浜FM)、75' 坂田 大輔(横浜FM)
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横浜市三ツ沢公園内では午前中、マラソン大会や、隣の補助競技場でジュニア年代のサッカー大会も催され、スポーツの秋にふさわしい日和。そんな日曜日、同球技場では天皇杯4回戦『横浜F・マリノス−佐川急便SC』が行われた。佐川急便は公称3500人の応援団(地元・滋賀県からは少ないながらもサポーターも参加)がバックスタンドとゴール裏を埋め尽くした。飛脚のマークでおなじみSAGAWAドライバーが着用する横縞のTシャツに身を包んだ東京本社の“社員サポーター”が、トリコロール色に彩られた横浜FMサポーターに負けないほどの、熱い声援を送り続けていた。
試合は前半、横浜FMが先制すれば、佐川急便も現在JFL得点王のFW御給匠(元C大阪、草津)が同点ゴールを決め、1−1のまま折り返す。後半、横浜FMはスピードのある坂田大輔、清水範久を投入すると、にわかに中盤は活性化。J1のパスワークに翻弄された佐川急便を相手に得点を重ねて、終わってみれば4−1で、横浜FMが快勝した。
元Jリーガーも多いとはいえ、佐川急便は現時点でJリーグ入りを表明していない。だが、チームのポテンシャルは高く、今シーズンのJFLでは首位を独走し、優勝まであと勝点1というところまできている。得点力の高さ(72点/JFL1位)と守備力の強さ(失点24/同2位)が、どこまでJ1のチーム相手に通用するか。
試合は、序盤から佐川急便が積極的に横浜FMゴールへと迫った。前半6分に早くもチャンスをつかむ。右からMF嶋田正吾がクロスを上げると、ファーサイドでMF堀健人が左足ボレーで折り返し、中に一人飛び込んだが、わずかに合わなかった。9分、再三右サイドからの突破を試みるFW山本正男に対して、松田直樹がたまらずラフプレー、イエローカードをもらってしまう。10分、横浜FMは右サイドから狩野健太、田中隼磨のコンビネーションで切れ込みを図るが、佐川急便の粘り強いマークに阻まれる。
13分には佐川急便がカウンターから、DF高橋延仁が攻め上がる。右から嶋田のクロス。中でフリーの選手に合わせたが、こぼれて高橋がここに飛び込む。だが、シュートは打てずクリアされてしまった。
そして22分、佐川急便のゴール正面で横浜FMがフリーキックを得ると、狩野がこれを直接蹴り込んでゴール右隅に突き刺した。GK森田耕一郎が横っ飛びでボールに触ったが、ゴールネットを揺らされた。これで勢いに乗るかと思われた横浜FMだが、今度は逆にFKから同点ゴールを許してしまう。
31分、佐川急便はゴールに向かって右の位置でFKを得ると、堀が左足で相手DFの裏に素晴らしいボールを入れる。ここで、中澤佑二のマークを外して飛び込んだ御給がキレイなヘディングで合わせて、1−1の同点に追いつく。
後半、立ち上がりから横浜FMは2枚の交代カードを切る。マルケスに代わり坂田、吉田孝行に代わり清水。この交代が功を奏した。佐川急便の中口雅史監督は「相手の交代選手が入った攻撃陣を確認する前に2点を取られてしまった。あそこが勝負どころだったろう」と、試合後に振り返った。DFの影山貴志も「横浜FMはスピードのある選手が多く、後半に入った清水さん、坂田さんが入ってから勢いが変わった。前半と違うサッカーをされた」と、格の違いを見せ付けられた格好だった。
まず7分、清水が右からゴールに向かって切れ込んで、GKの至近距離でシュート。GK森田は右手一本で弾き出したが、左から飛び出した坂田に決められてしまう。さらに1分後、左から小宮山尊信が中に切れ込んで、右足でフワリとロビングを上げる。右に飛び出した狩野にボールは渡る。狩野は軽く折り返すと、中に入り込んだ大島秀夫が難なく右足で押し込んで、3−1。「2点目が入ったところで、流れも良くなった」と大島。とどめは30分、最終ラインの松田からロングボールが送られ、飛び出した坂田が受けて大島へ。大島がドリブルで相手を引きつけ、再び坂田へ。中に切れ込んだ坂田が相手DFをかわして、右足でキレイに対角線のシュートをゴール右上に決めた。
終わってみれば、4−1と横浜FMの圧勝。攻めては前半9本、後半10本ものシュートを浴びせ、守っても前半の被シュート3本、後半は何とゼロに抑えた。横浜FMはこの試合、従来の4バックから3バックに変えて臨んだ。スタートポジションこそ4バックだが、攻めに行くときは右の田中隼、左の小宮山は中盤に押し上げた。ボランチの河合竜二は、ビルドアップのときは3バックの右に入り、中盤の攻防では河合がプレスに行き、狩野がカバーに入るというオプションを見せた。
「3バックにしたことで、より前へ前へ行かなきゃというメッセージが伝わった」という小宮山は、前半の大島へのクロス(ヘディングシュートはGKの好セーブに遭う)や、3点目の起点となった狩野へのパスなど、持ち前のオフェンス力を発揮した。横浜FMは、攻守ともに復調の兆しを見せた。
一方、ジャイアント・キリングはならなかった佐川急便だが、前半はある程度“やれる!”との自信をつかんだはず。だが、後半「あそこまでパスを回されては、自分らのサッカーはできなかった」と御給。まずは目の前に迫ったJFL優勝を決めて自信を深め、「今度Jリーグのチームと対戦するときは、この試合を糧にしたい」と、リベンジを誓っていた。
以上
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