11月3日（土）ヤマザキナビスコカップ 決勝 川崎Ｆ vs Ｇ大阪（13:35KICK OFF/国立）
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　川崎市の協力を得て、等々力競技場で行われた1日の完全非公開練習の直前。選手やフロントスタッフなど関係者105人が集まって決起集会が行われた。その中で伊藤宏樹主将がこんな事を口にしていた。

「去年も今年も『初めての決勝進出』という事を言われました」

　ご存知の方も多いとは思うが、川崎Fは2000年に一度ナビスコ杯では決勝戦に進出している。しかし、J2降格の危機にさらされていた事もあり、当時の川崎Fの存在感は非常に小さいものでしかなかった。それは2000年にチームに在籍していた選手からの「あのときの決勝進出はまぐれだった」という言葉からもわかる。
　しかし今年の川崎Fはひと味違う。シーズンスタート時からタイトル奪取を目標として掲げ、代表選手不在の中、厳しい甲府戦を勝ち上がり、リーグ戦で2連敗していた横浜FMに2連勝し、実力で決勝戦にまでたどり着いた。目標だったタイトルまであと一つという状況の中、チームは十分な準備を続けている。

　前述した通り非公開練習が行われたこの日は、川崎Fの練習スケジュールで言えば対戦相手を想定した紅白戦が組まれる日である。川崎Fはナビスコ杯準決勝第1戦の横浜FM戦以降、4バックでの戦いを続けてきているが、その中でも微妙に選手の配置やメンバーを入れ替えてきている。水曜日の紅白戦でもフォーメーションを微妙に変えて戦っていたが、そこで見えた課題をこの日の紅白戦で煮詰めているものと思われる。

　また、相手チームを分析し、弱点を見つけ出すスカウティング能力に長けた関塚監督以下のチームスタッフは、G大阪の注意点と突破口の両方を見つけているはず。この非公開練習の中でそのポイントに的を絞った練習が行われているはずだ。

　監督に言われるまでもなく口を閉ざしている選手たちからは、詳細な話は一切聞き出せなかったが、守備的に行くのか、攻撃を意識するのかで最終ラインの選手構成や中盤の並びが変化してくる。そしてそのポイントは寺田周平の先発時のポジションになるのではないかと考える。また、水曜日の紅白戦中に腰を痛めた村上和弘のポジションに誰を起用するのかにも注目したい。着実に成長している久木野聡になるのか。森勇介を左で起用し、井川祐輔を右で先発させるのか。それともここにきてフランシスマールを使うのか。関塚監督がどのような采配を振るうのか、楽しみなところである。

　ちなみに選手たちは2日前になって徐々に気持ちが入りつつあるようで寺田などは「楽しみというか、ワクワクしています」と話していた。エリート選手のいないチームなだけに、ほとんどの選手は全国規模の大会での優勝をかけた大一番を経験したことがないという。そうした経験のなさが試合に影響を及ぼすのかどうかにも注目したい。ちなみに選手たちはACLのノックアウトステージでの負けられない戦いの経験がプラスになっているとも話してくれていた。川崎Fは3年前はJ2でプレーしていた。その選手たちが、この決勝でどのような姿を見せてくれるのか。楽しみである。

以上

2007.11.02 Reported by 江藤高志