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【第85回高校サッカー:決勝戦 盛岡商業vs作陽】最後まで走りきった盛岡商業が見事な逆転勝利。岩手県勢初の優勝を飾る(07.01.08)

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第85回全国高校サッカー選手権大会 特設サイト »
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●決勝
盛岡商業(岩手) 2-1 作陽(岡山)
1/8(日)14:05 キックオフ/35,939人/国立
得点者:56' 桑元 剛(作陽)、71' 林 勇介(盛岡商業)、85' 千葉真太朗(盛岡商業)
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盛岡商業のこの時期は、いつも真っ白なキャンバスの上でボールを蹴っている。ピッチはぐちゃぐちゃで、使えないこともある。そんなときは狭い体育館の中でフットサル。
「広いピッチでやりたいと思うことはありますよ」(中村翔)

白銀の世界から、フルカラーで彩られた現実に目を向ける。1月8日。真っ青な空と大きな緑色のピッチ。約36000人の観衆が盛岡商業を待っていた。
「やっとここまで来た」(藤村健友)

盛岡商業対作陽の一戦となった第85回全国高校サッカー選手権大会決勝戦。どこが勝ってもおかしくないこの大会で、一戦ごとにたくましくなった両チームが決勝で顔を合わせた。

堅い守備をベースに、2トップとサイドの速さを生かし一気に相手ゴールまでつめよっていく盛岡商業と、組織的な守備と攻撃での高い連動性を武器にする作陽。先にペースを握った作陽は、得点王を走る左サイドの小室俊之とサイドバックの桑元剛が駆け上がってチャンスを作る。中盤からワンタッチやツータッチの早いパス回しで盛岡商業のDFを翻弄し、得点は時間の問題だろうと思われた後半11分。途中出場の村井匠がゴール正面でDFを振り切ってシュートを打つと、バーにあたり跳ね返ったところを桑元がつめて先制。流れが一気に作陽に傾くかと思われたが、盛岡商業の粘り強い守備に苦戦を強いられ、シュートは打ってもゴールは遠く、ペースをつかみきれないでいた。「(シュートを打っても)ゴールに入らなきゃ意味がない」(石崎晋也)。

一方、防戦一方だった盛岡商業も成田大樹や林勇介らの縦へのスピードをフル活用しながら作陽陣内に攻め入ると、後半18分。千葉真太朗が左サイドを突破しペナルティエリア内に進入したところを作陽DFがたまらずファウルしPKを獲得。同点に追いつくチャンスが訪れる。しかし林のキックは「狙いすぎた」と左方向へそれていく。「あー」というため息と「キャー」という歓声。その中で林は心を決めていた。「(ゴールを)決めなければいけない。人一倍頑張らなきゃいけない」。

運動量が落ち始めた作陽を横目に「走りなら絶対に負けない」といい切っていた盛岡商業は、後半の20分を過ぎてからも走る量が減ることはなく、1点ビハインドの状態でもペースを完全に引き寄せていた。そして迎えた26分。左サイドをドルブル突破した大山徹のクロスに林が合わせて同点に追いつくと、さらに40分。またも左サイドから成田の突破に千葉が合わせて逆転に成功。「チームみんながつなげたボールを決められて良かった」(千葉)。5分後、タイムアップのホイッスルが鳴った。

「自分は前を向いて走るだけですから」成田は準決勝を終えたあと、決勝への意気込みを語っていた。右には“全国制覇”。左には“国立”と自らが記したスパイクを握り締めて。

千葉はいう。「ゴールにつながるプレーをすることしか考えていなかった」。
初めての決勝戦。3万人以上の観衆が見守る中、緊張して当たり前の状況の中で、盛岡商業の選手たちは、今やるべきことを心に刻み、それを実行して見せた。

11〜3月は雪ばかりで、サッカーを満足にできることはなかっただろう。体育館の中で小さなボールを使って練習することも多かったと聞いた。それも、他の部活が終わってからだという。地域的なハンデもある中で、それをマイナスではなくプラスに持っていける強さが盛岡商業のベースとなり、このチームを作り上げた。

「いつも雪を使って、雪の上で練習してるから」(成田)
鍛えられた足はその賜物。最後まであきらめずに走れるのは、広いピッチで思いっきりサッカーを楽しみたいから。美しい緑の芝の中で、赤と白のユニホームは、うれしそうに笑っているかのようだった。

優勝旗を手にして、盛岡商業の選手たちは、また白銀の世界に返っていく。そこが自分たちの原点で、そこからまたフルカラーの世界に戻ってくるために。

以上

2007.01.08 Reported by 青柳舞子
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