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【J1昇格への道】J1昇格レースもいよいよクライマックス!横浜FCのここまでの道のりを振り返る。(06.11.09)

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「夢に蹴りをつける」
これはシーズン前、横浜FCが今季に向けて抱えたスローガンである。この「夢」とは、「J1昇格」のこと。 今からもう8ヶ月前の3月、このスローガンが現実のものになると思ったファンは、今シーズンが開幕した当時、決して多くはなかったに違いない。

アウェイ・愛媛で行われた今シーズンの開幕戦。Jリーグに昇格し、初めて「J」の舞台で戦うこととなったチームを相手にまさかの敗戦。その「夢」へのスタートは、思いもよらぬ黒星での発進となってしまった。この敗戦を受け、誰もが予想しなかったであろう わずか1節での監督解任。シーズンスタートからチームに加わっていた高木コーチ(当時)が監督に昇格となり、慌てる暇もなく再出発。チームはその後、いくつかの引き分けを挟み、一時は去年の終盤と同じくらいまで順位を落とすこととなった。

しかし、徐々に息を吹き返し、気付けば15戦負けなしという新たな記録まで打ち立て、見る見るうちに順位を上げていった。それは、横浜FCでずっと戦い続けている選手、去年シーズン途中からチームに加わった三浦知や山口などのベテラン勢、そして今年新たにチームに加わった選手・スタッフが全員が一丸となり、全員の力で勝ち得たものといって良いはずだ。今年わずか1節でチームを去った足達前監督だが、その彼が 去年1年間指導し続け、めきめきと力をつけた選手の活躍も、チームの「底力」となっていることは言うまでもない。

横浜FCの今シーズンの「安定した守備」からの試合運びは、チームに着実に勝点をもたらしている。たとえ「1」であれ、確実に一つずつひとつずつ勝点を積み重ねられていることは、今のチームの大きな強みの一つでもあり、そしてそれが今の順位に繋がっていると言えそうだ。また、そんな戦いぶりが故の失点の少なさは、今年のチームの大きな特徴だろう。特に得点が多いわけではないものの、相手からの大量失点が全くと言っていいほどなく、47節、これまでの全ての試合を見ても2失点、1失点…というゲームばかりだ。先日行われた3位・柏との今季最後の対戦(第47節)では今シーズン初の3失点。1試合に於ける失点数としては、シーズンワーストを記録してしまったものの、逆に3得点を決め、なんとか同点に持ち込むことが出来た。

最終クールに入っても、横浜FCの戦い方、そして選手や監督それぞれの気持ちに大きな変化があることは感じない。どんなに注目度の高い試合を目前にしても「いつもどおりにやるだけです」と、高木監督をはじめ、多くの選手がそれを口にする。その顔に不安や迷いは一切見られない。それぞれが チームとしてのやり方を理解し、それに常に自信を持ってピッチに立っているのだ。そんな精神面でのタフさも、今年のチームの強さを支えている理由の一つなのだろう。

ほぼ「三つ巴」となった昇格争いだが、勝点差がそれほど大きくないだけに、その行方はまだ分からない。今の上位3チーム(神戸・横浜FC・柏)はもちろんのこと、4位の仙台、勝点ではその仙台と並ぶ鳥栖にも、自力だけでは難しいもののまだチャンスはある。去年の入れ替え戦の座がそうであったように(仙台が最終節で福岡と引き分けたことにより、3位の座を甲府に譲り渡してしまった)、最後の最後まで何が起こるかわからないのがJ2なのだ。

横浜FCにとっては、上位との直接対決は、首位・神戸(49節@神戸)を残すだけとなった。前節の柏との対戦は、リードされながらも、最後の最後、見事な形で同点に追いつき、勝点1を全員でもぎ取った。「勝利」への執念、そして選手それぞれに宿る強い気持ちが、その結果へと導いたと言えよう。横浜FCの背中を追う柏にとって、2位との直接対決となるこの試合は、「自動昇格圏内」に入るためには、大事な大事な一戦でもあっただけに、引き分けで終わったこの試合だが、勝点2を落とした感が強く残る悔しいドローとなってしまった。神戸も、同じく前節引き分けで試合を終えていたため、横浜FCはそのまま神戸にピッタリとくっついて行っているかたちだ。

そして最後に、横浜FCの残り5試合の対戦相手を見てみよう。今週末(第48節)昇格の可能性が消えてしまった東京Vと、そして次週には首位神戸との直接対決。それを終えると徳島、そして中2日で、36節(第3クール途中)からの10試合で、神戸に黒星を許しただけという調子の良さで5位までいっきに浮上してきた鳥栖、そんな対戦が続く。そして注目の最終節は、開幕戦で黒星を喫した愛媛をホームに迎える。愛媛は第4クールに入り、既に柏・神戸と対戦。柏には3−1で勝利し、神戸にも得点を許さずスコアレスドローで試合を終えるなど、何も失うもののない愛媛の果敢な戦いぶりに上位陣が苦しめられ、貴重な勝点を取りこぼしてしまっている。何の巡り合わせか、神様のいたずらか、開幕戦での敗戦が記憶に鮮明に残っている横浜FCにとっては、シーズンスタートでの借りをここでもう一度キッチリ返してからJ1に昇格したいところ。本当に最後の最後まで何が起こるかわからない、そして決して気を抜けない戦いが繰り広げられそうだ。

去年、シーズン・44試合を戦っての横浜FCの勝点は45、そして順位は11位だった。現在、チームは47節を戦い終え、43試合を消化した。これまでに得た勝点は83。首位・神戸の背中を勝点1差で追う状況に、夢が夢でなくなる瞬間が近づいていることは、もしかすると、選手・スタッフ以上に、横浜FCを何よりも愛し応援し続けてきたファンがそれを一番感じ、そんな日を今か今かと待ちわびているに違いない。

ここ2年は、J2優勝チーム・準優勝チームが早い段階で決まっていたこともあり、「自動昇格」、そして入れ替え戦に進出する「昇格圏内」も含め、最終節までその行方がもつれ込みそうな今年のこの大混戦には、これからのラストスパートでJ2ファンだけでなく、多くの人の注目が集まりそうだ。

最後まで変わらず戦い抜いたその先に、歓喜の瞬間は訪れるに違いない。「夢」にたどり着くまであと一歩。早くその瞬間を味わいたい。

以上

2006.11.07 Reported by 浅野有香

★横浜FC:今後の対戦カード
48節:11/11(土)14:00vs東京V@三ツ沢
49節:11/18(土)15:00vs神戸@神戸ウイ
50節:11/23(祝)13:00vs徳島@三ツ沢
51節:11/26(日)14:00vs鳥栖@鳥栖
52節:12/02(土)14:00vs愛媛@三ツ沢
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