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【J1昇格への道】J1昇格レースもいよいよクライマックス!神戸のここまでの道のりを振り返る。(06.11.09)

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昨年の神戸は、低迷の道を自ら選んだかのようなシーズンだった。現キャプテンであるMF三浦淳宏というビッグネームの選手獲得に成功したものの、3度にわたる監督交代、チームの支柱だったFW三浦知良(現横浜FC)の移籍、ビジョンの見えないチームづくり…。その結果、待ち構えていたのは『J2降格』という屈辱だった。11月20日の第31節。ホームで行われた大宮アルディージャ戦での敗戦後、人目をはばからずに大粒の涙を流した三浦淳宏をはじめ、選手に浴びせられた激励の拍手の一方で、当時、クリムゾンフットボールクラブ社長として挨拶に立ち、声を詰まらせながら「必ず1年でJ1に復帰します」と話した三木谷浩史氏にはブーイングの嵐。その言葉がかき消されるほどサポーターがむき出しにした怒りの声は、昨年1年間を通したクラブ体制に異議を唱えるものだったと言える。
 
そうして迎えた06年シーズン。クラブは早々にバクスター監督の就任を決め、チームづくりに着手。『戦う集団』への変貌を誓うと共に『育成・発掘型のクラブ』として再出発を遂げる。当時のGMであり現代表取締役社長である安達貞至氏は「バクスター監督のもと、神戸に愛情の深い選手たちによって『戦う集団』へと変貌を遂げる準備が整った。1年でのJ1復帰を大命題として戦い抜く」と決意を示したが、バクスター監督を中心とした意識の高まり、開幕前のキャンプからチームに感じられた緊張感は、確かにその言葉の実現を予感させるものだった。

だが、確固たる自信を抱いて挑んだはずのホーム開幕戦は草津を相手に0-3と完敗。まさかの黒星スタートとなる。しかも、2節・愛媛戦で初勝利から3連勝のあと、5節・徳島戦での敗戦にはじまり、8節まで4戦白星がなく、チームづくリは暗礁に乗り上げたかのような雰囲気が漂う。「戦術を頭では分かっていても、それはまだ身体に染み付いたものではないだけに、試合の中でオートマチックに表現しきれない」とは当時のバクスター監督の言葉だが、若い戦力が多いチームということもあってだろう。個々に戦術理解の差が見られ、かつ、その差が試合の中でチグハグさを生む中で突きつけられた5勝1分6敗で7位という成績。今になって思えば「産みの苦しみ」と言える第1クールだったが、当時の神戸の戦いぶりに、危機感を唱えた人も決して少なくはなかった。

だが、第2クールに突入し、徐々に変化が感じられるようになる。それは『結果』のみならず、『内容』にも、だ。機能しなかった中盤が機能し、迫力ある攻撃展開の中からゴールを奪う。あわせてメンバーが固定していったことも戦術の充実に拍車をかけ、神戸は目覚ましい勢いで白星を積み上げていく。結果、第2クールは7勝4分1敗の首位。第3クールも8勝3分1敗の首位。これにより当然ながら順位も上げていった神戸は第3クールの30節・水戸戦に勝利して以降、3位の座をキープ。さらに35節・鳥栖戦の勝利でその順位を2位にあげる。

とはいえ、順調に見えたチームづくりは、ここで再び荒波にさらされる。上昇気流に乗った最中に伝えられた『バクスター監督の家庭の事情による帰国』のニュース。これを受け、キャプテンであるMF三浦は「僕たちはバクスターのチーム。最初はなかなか結果が出なかったけど、監督の戦術を信じてここまで積み上げてきた。その中で、試合を重ねるごとに本当にいいチームになってきたという手応えがあっただけに残念。だけど、グラウンドで戦うのは僕たち選手。これまでやってきたことを崩さず、ペドロコーチを中心にしっかりまとまってバクスター監督の帰りを待ちたい」と気丈に話したが、それが簡単なことではないことを一番理解していたのも、三浦自身だったのだろう。

それは、氏の帰国後の38節・札幌戦、39節・湘南戦を引分けた中で漏らした彼の「目に見えないところに潜む危機感をしっかり感じなければいけない」という言葉にも表れている。確かにペドロコーチ体制になっても戦術が変化する訳ではなかったが、最も大事な、選手の『心』の部分に見え隠れし始めていた“マイナスな変化”。ただ、それを見逃さなかった三浦キャプテンに引っ張られ、選手は再び強い結束力で歩みを進めていく。選手同士で行ったミーティングで三浦が話した「自分たちは、どれだけ悔しい思いをしてここにいるのか。目標は何なのか。誰かに任せるのではなく個々が責任を持って戦っていこう」という言葉をそれぞれの胸に秘めてーー。

以降、第4クールに突入した40節からの戦いは見ての通りだ。43節の東京V戦でこそ大敗したが、ここまで7試合を終えて5勝1分1敗。首位の座で残り5試合を迎えようとしている神戸。待ち受ける敵は、48節の柏にはじまり、横浜、草津、湘南、仙台と難しい相手ばかりで、中でも柏、横浜との直接対決は、大きな正念場だと言える。だが「相手云々ではない。

自分たちが強い気持ちをしっかりと抱き、持っている力を毎試合、100%出していくことに集中してやっていく」と話す三浦を中心に、もはや選手の心に揺らぎはない。進むべき先に見据えた、今季の唯一無二の目標『J2優勝』に向かって最後まで、全力で戦い抜くのみ、だ。

以上

2006.11.07 Reported by 高村美砂

★神戸:今後の対戦カード
48節:11/11(土)15:00vs柏@神戸ウイ
49節:11/18(土)15:00vs横浜FC@神戸ウイ
50節:11/23(祝)13:00vs草津@群馬陸
51節:11/26(日)16:00vs湘南@神戸ウイ
52節:12/02(土)14:00vs仙台@ユアスタ
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