9月20日(水) 2006 ヤマザキナビスコカップ
千葉 3 - 2 川崎F (19:00/フクアリ/9,560人)
得点者:'3 坂本將貴(千葉)、'11 山岸智(千葉)、'55 マギヌン(川崎F)、'62 ジュニーニョ(川崎F)、'119 阿部勇樹(千葉)
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頭ではわかっていても、毎試合最終ラインが変動してきた川崎Fにとって、立ち上がりの攻勢をしのぐのは難しいことだったのだろう。開始早々の3分にわずかなギャップを突かれ、坂本將貴に先制点を献上。さらに11分には、阿部勇樹からのクロスを逆サイドから飛び込んできた山岸智に押し込まれた。
準決勝第一戦の試合終了直後にもみ合って退場処分を受け、この試合が復帰戦となった佐原秀樹は「乗り切れないうちに失点してしまった」と悔しそうに前半を振り返ったが、攻撃的なサッカーを展開してきたチームに失点はある程度織り込み済み。もちろん無失点で乗り切れればそれに越したことはないのだろうが、敵地でリードを許す展開にも心が折れることはなかった。
千葉に油断がなかったわけではないだろうが、前半を終了しての0-2というスコアは対外的には楽な展開である。そうした状況の中、千葉がマンツーマンで対応してきた事も重なって川崎Fのチャンスが広がる。
川崎Fサイドが中2日での試合間隔(の難しさ)を強調していたが、同じように千葉は中3日での連戦を強いられており、ちょうど1週間前にはU-19日本代表との練習試合も組まれていた。コンディション的にきつい状態のはずの千葉は、後半に入ると前半に見せていたレベルでの戦いができなくなっていた。
相対的に運動量の落ちた千葉に対し、川崎Fが攻勢を強める。後半の55分にはバイタルエリアにわずかなスペースを見いだしたマギヌンが強烈なミドルシュートを叩き込む。
「1点取れれば追いつけると思っていた」と攻撃陣への信頼感を口にした佐原の言葉通り、その7分後には、千葉が最も警戒していた中村憲剛がマンマークに付いていた佐藤勇人のプレスをかいくぐり、ジュニーニョへラストパス。同点ゴールが決まる。試合のペースは完全に川崎Fのもの。アウェイゴールルールもあって、3点目の行方が非常に意味を持つ事となったが、ここで川崎Fは落ち着いてしまった。佐藤が証言する。
「(トータルスコアで4-4の)振り出しに戻っただけという意識でした。アウェイゴールは気にしていなかったが、あそこで川崎Fが出てきてたらきつかった」
川崎Fがもし仮に3点目を先に奪った場合、千葉はアウェイゴールルールがあるため、勝ち抜けのために2点が必要となる。一方の千葉が3点目を奪ったとしても、川崎Fは同点に追いつけば勝ち抜ける。ルール上の優位は明らかに川崎Fにあった。もう少しリスクテイクしてもいいのかとも思ったが、川崎Fはここでバランスを重視した。それが延長戦に突入する遠因ともなっていた。
いつの間にか因縁の対決になってしまったこのカードだが、延長後半ロスタイムというまさに土壇場で、森勇介がハンドを取られても仕方のないプレーを。いや、手を使った。川崎Fの猛抗議によって試合はしばし中断。その中で集中を切らさず、呼吸を整える阿部。そしてPKを決めた後の泣き崩れそうな顔が印象的だった。試合が再開したときの「まだまだ」という叫びが、この試合の激しさを雄弁に物語っていた。
その責任の重さに、試合後に泣き崩れた森の姿が切なかった。今季の目標をベスト4に設定した川崎Fは、この敗戦を糧にしたい。これを次につなぐ事で、このチームはさらに強くなれる。
以上
2006.09.21 Reported by 江藤高志
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