9月17日（日）J2 第40節 山形 vs 湘南（18:00KICK OFF/山形県）
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前節、ともにロスタイムのゴールで引き分けに持ち込んだ山形と湘南。同点弾を生んだものが、最後まであきらめずに戦う姿勢だったことは言を待たないが、昇格争い圏からは遠く離れた場所で、勝ち点を０から１にしたことに大きな意味があると証明するための戦いは、これから始まる第４クールの12試合。今節はその第一歩となる。

前節、ホームに神戸を迎えた湘南は、中盤の両サイドにアジエル、佐藤悠介を配し、菅野体制後のテーマである『攻撃力』をさらに高めて連敗脱出を図った。サイドで起点ができれば逆サイドからゴール前に加勢するなど、ゴール前での厚みが増した時間帯もあったが、今後ポゼッションの確実性を高めることでその得点機を多くしていきたい。

その攻撃でキーマンと言えるのが石原だ。主にクロスボールからのヘディングで得点を稼いできたこのFWは、神戸戦の先制シーンでは、カウンターの起点となったアジエルとゴールを決めた佐藤の橋渡し役をスピーディなドリブルとともにこなしている。石原はその１節前の鳥栖戦でも、クロスをたびたびアジエルの頭に合わせるなど、ラストパサーとしての能力も高い。さらにはポスト役もこなし、奪ったボールを石原がどう捌くかによってゴールまでのチーム全体の道筋が決まってくる。

一方で、高い攻撃性を実現するために設定した高めのDFラインが、自陣ゴール前のリスクを高めていることも事実。そのライン裏を攻略されたことが神戸戦で逆転を許す大きな要因となったが、ボールへのアプローチに固執するあまり、バイタルゾーンにすっぽりと大きなスペースを空けてしまうケースも見られる。また、攻撃への意識が強すぎれば、中盤でボールを奪われたときのカウンターでも一歩遅れをとることになる。ボランチにニヴァウドを戻した前節では中央のスペースは埋まってきたが、積極的な守備をリスク管理のなかでどう実現させていくか、注目される。

ホーム山形は休み明けで臨んだ前節・草津戦で、立ち上がり１分に失点。第３クールに悩まされた前半の先制点献上癖は克復したと思われていたが、クール最終戦でまたも繰り返された。失点はカウンターの場面。ドリブルでハーフウェイラインを越えたチカには渡辺が付いていたが、切り返しでかわされフリーにしてしまったことが決定的なスルーパスを呼んだ。山形も湘南と同じく、ライン設定は高め。それだけに、ボールにプレッシャーが効いていなければリスクは飛躍的に増すことになる。先制されたあとはGK清水の好セーブもあり追加点を許さなかったが、守備のゾーンの間隔を保ちながら積極的に潰しも行く集中力を90分間持続させたい。

さらに大きな問題は攻撃面。17得点を挙げているレアンドロが前節に続いて出場停止となるが、「エース不在」で相手を安心させることも、山形サポーターの期待値が下がることも、日本人FWのプライドが許さないだろう。その意地と意気込みは「ゴール」という形で表現するしかない。草津戦では４人のFWがピッチに登場したが、原のゴールが生まれたのは後半ロスタイムも終わる頃だった。この原に加え、途中出場の根本もサイドを突くいい動きを見せたが、確実に勝ち点３を手にするためにも、余計にハラハラしないためにも、ゴールは早めに奪っておきたい。

その山形では、新潟から完全移籍した宮沢克行が、早くもユニフォームに袖を通すことになりそうだ。山形でのプレーは04年に次いで２度目。正確なテクニックと高い戦術眼は、ポゼッションを志向する山形のスタイルにフィットし、シーズン途中で期限付き移籍した前回は第３〜第４クールの22試合すべてに先発出場した。今回はJ1・J2入れ替え戦を懸けて最終節まで戦った当時よりも厳しい状況での移籍となったが、「まだ可能性があるし、応援してくれる人もいる。最後まであきらめない」と前向きだ。

８位と９位の対戦。昇格するには奇跡の力も借りなければならない順位同士の対戦だが、これは断じて、消化試合ではない。そして、それを証明する試合でなければならない。

以上

2006.09.16 Reported by　佐藤円