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【国際親善試合:日本代表 vs マルタ代表レポート】不完全燃焼で本番に不安を残したマルタ戦。本番前に向けてメンタル、フィジカル両面を修正できるか?(06.06.05)

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■日本代表 国際親善試合
2006年6月4日15:00(日本時間 同日22:00)/ドイツ・デュッセルドルフ

日本代表 1-0 マルタ代表

得点者:'2 玉田 圭司(名古屋)
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「収穫はない。どういうプレーをするという以前にもっと走らないといけない。根本的なことだ。他のことをやろうという段階ではない」とピッチ上で最も輝きを放った中田英寿(ボルトン)はばっさりと切り捨てた。

彼が言うように、マルタ戦の日本代表はわずか4日前に強豪・ドイツ代表を凌駕する内容のゲームを演じたチームとは思えない不甲斐なさを見せてしまった。FIFAランク125位の相手に奪ったのはたったの1点。圧倒的にボールを支配しながら追加点が奪えないその姿は、1次予選のシンガポール戦や最終予選の北朝鮮戦の苦闘ぶりを彷彿させた。最も気になったのは「絶対に勝ちたい」というに闘争心が欠けていたこと。いくら大会直前の準備試合とはいえ、気の抜けた試合をしていたら意味がない。「本番でこんなことをやっていたら負ける」と3度目のワールドカップに挑む川口能活(磐田)も自らを戒めた。
初戦・オーストラリア戦(カイザースラウテルン)まで8日。日本代表は今一度、しっかりと気持ちを引き締めるしかない。

ドイツ大会前最後のゲームであるマルタ戦が4日、15時からデュッセルドルフの「LTUアレナ」で行われた。このスタジアムは地元クラブ「フォルトナ・デュッセルドルフ」のホーム。ドイツ最大の日本人町として知られるデュッセルドルフだけに、在留邦人など1万802人がスタジアムに集まった。現地はこの日、最高気温18〜19度まで上昇。試合中もまぶしい太陽がピッチを照りつけた。

日本は負傷を抱える高原直泰(ハンブルガーSV)と柳沢敦(鹿島)の2トップが欠場。ここまで控えに甘んじていた玉田圭司(名古屋)と大黒将志(グルノーブル)が先発出場の機会を得た。基本布陣は3−5−2で、ベースとなるメンバーはドイツ戦と同じだ。一方のマルタは4−5−1。人口30万人しかいない小さな島国のマルタだが、欧州予選ではクロアチアと引き分けている。それだけに侮れない相手だと見られた。

しかし開始時から両者の実力差は歴然としていた。個人技術も戦術も明らかに日本の方が上。その差が開始2分にいきなり結果となって現れる。三都主アレサンドロ(浦和)からのパスをペナルティエリアに走りこんで受けた玉田が落ち着いて左足を振りぬいたのだ。シュートは当たり損ねだったが、相手DFの股の間を通過してゴールに吸い込まれた。玉田のゴールは2005年1月のカザフスタン戦(横浜国際)以来。本人も胸のつかえが下りたことだろう。

ここからゴールラッシュが始まるかと思われた日本。中田英を起点に積極的に攻め立てる。だが、1点のリードが気の緩みにつながったのか、徹底的に引いて守る相手を崩せない。「今日は前から行こうという話はしていた。相手に奪われたがすぐ追いかけてボールを取るということはやっていた」と中村俊輔(セルティック)は前向きに話したが、相手ゴールをこじ開けることはできなかった。

ビッグチャンスを立て続けに外したのも痛かった。前半26分に大黒のシュートがポストを叩いたのが発端だった。44分にも再び大黒がGKとの1対1のシュートを正面に蹴ってしまう。「いいチャンスはあったのにGKに取られた。あれを入れればよかったのに」と本人も悔やむばかり。こうした拙攻が続くと、自然とリズムは相手に傾く。前半終了間際にはマルタに3度続けて決定的シュートを打たれてしまう始末。「相手がこっちのペースに慣れて、逆にペースを握られた」と福西崇史(磐田)も認めるしかなかった。

前半は1−0のまま終了。追加点のほしいジーコ監督は坪井慶介(浦和)に代えて小野伸二(浦和)を抜擢。4−4−2に布陣変更して攻めに出た。小野にとっては5月13日のスコットランド戦(埼玉)以来の公式戦。だが試合間隔が空きすぎており、やはり勘が鈍ったのだろう。ミスパスが多く、ボールを持ちすぎる傾向も強かった。

指揮官はさらに膠着状態を打開しようと稲本潤一(ウエストブロミッチ)や小笠原満男(鹿島)や巻誠一郎(千葉)を次々と投入。システムを4−5−1に変えてゴールを狙った。「伸二や満男が入って1人1人の距離が短くなり、前で出る回数も増えた」と中村はポジティブに評したが、タレント豊富な中盤もゴールを生み出せない。結局、日本はドイツ戦で克服したと思われた「決定力不足」をまたも露呈。1−0で勝利したが、自分たちらしいサッカーとは程遠い出来だった。

この要因として考えられるのが「過信」と「油断」だろう。ドイツといい戦いをしたことで「自分たちはやれる」と楽観的なムードが蔓延してしまった。が、世界はそんなに甘くない。実際、初戦の相手・オーストラリアは同日、オランダ相手に真っ向勝負でドローに持ち込んでいるのだ。日本代表がこんな気持ちの入らない試合を続けていたら、、本番で1次リーグ突破など夢のまた夢だ。

複数の布陣と選手を試し。結果として玉田が久しぶりに1点を奪ったことは好材料といえるが、それだけで喜んでいたら大間違い。ここで気持ちを引き締めなおすしかない。

ジーコジャパンにとって幸いなのは、本番まではまだ8日ある。悪い流れを断ち切るには十分な時間だろう。選手たちはまず休養をしっかり取り、マルタ戦で突きつけられたメンタル、フィジカル、戦術の全ての面を再検証しなければならない。最悪だった大会前のラストマッチを教訓にすることしか、成功への道はない。

以上

2006.06.05 Reported by 元川 悦子
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