3月25日（土）J2 第5節 山形 vs 東京Ｖ（14:00KICK OFF/山形県）
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「点と点を線で結ぶ」

　Ｊ2リーグのしたたかさを肌で感じながら、東京Vはそんな課題に直面している。特に攻撃面で、前線の2人と周囲との関係構築は重点項目だ。3試合で
放ったシュートはわずかに24本。4−1とスコア上では大勝の開幕・徳島戦でも、シュート数は7対8と相手を下回っている。また、その徳島戦と第3節・愛媛戦は、勝ったとは言え、連携の拙さを立ち上がりから突かれ苦戦している。

　勝ち点3という結果とともに東京Vが欲しいものは、90分間を思いどおりに戦えるしっかりした手応えだろう。大量に選手が入れ替わり、新しい監督を迎え、新しい戦術を志向する。高いレベルでチームをつくり上げる際に、個々の能力の高さが邪魔になるケースは多々あること。当初、23日に予定されていたACLがなくなり、第4節が休みとなったアドバンテージで問題点をどこまで修正できているか。前節、途中で萩村、バジーリオが退いたが、先発メンバーの構成と併せて注目したい。

　ホームの山形は前節、前半のうちにDF内山が2度のファウルを受け退場、そのプレーで与えたPKを決められた。その後は人数の少なさを補う組織力と不屈の精神力で最後まで戦ったが、結局は1点を追いつけずに敗戦となった。

　山形は3試合で勝ち点1。しかも、奪った得点が開幕戦のオウンゴールの1点と、早くも『決定力不足』のレッテルを貼られかけている。ただ、攻撃が完全に封じられているかと言えば、そうではない。むしろ、戦術は試合を重ねるごとに深まりを見せ、GKと1対1になる狙いどおりの決定機も増えてきている。

どの選手からも「あとはきっかけだけ」「1点取れれば状況は変わる」という声が聞かれる。守備では単発的に危ない場面はあっても、圧倒的に襲われる時間帯がなく安定しているだけに、山形はその１点を先制という形で、欲を言えば早い時間帯に挙げたい。反転攻勢ののろしにしたい。

　両チームの対決では、兄・秀樹、弟・篤志の『永井兄弟対決』を楽しみにしている人も多いだろう。東京Vの前節（第3節）で決勝点を挙げ、兄・秀樹はいい形で山形まで乗り込んで来るようだが、一方の弟・篤志は前節で負傷退場したのが気がかり。背番号8同士がぶつかり合うことは、果たしてあるのか？

　また当日、会場で試合を楽しむ人は、「ベンチでどちらの監督が熱いか？」に注目できるのも、ひとつの特典かもしれない。東京Ｖ・ラモス監督の熱さは全国区だが、山形・樋口監督も前節の敗戦直後は悔しさを体全体で表し、負けていない。両ベンチ前は激しいアクションと大きな声の応酬になるだろうが、ともに新監督、S級受講も同期というこの2人に負けない熱いプレーを、ピッチ上の選手たちには期待したい。

以上

2006.03.24 Reported by 佐藤　円