3月25日（土）J2 第5節 徳島 vs 神戸（14:00KICK OFF/鳴門）
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自然の織りなす豪快な芸術“渦潮”で有名な鳴門海峡と、万葉集いにしえにも詠われるほどの早い潮流を誇る明石海峡。いずれも激しい潮の流れを特徴とする日本有数の海峡だ。

そして今節、これらの海峡を望む街をそれぞれホームタウンとするチーム同士が激突する。徳島vs神戸。『海峡ダービー』と呼ばれる一戦は、激しい潮流のぶつかり合いを思わせる熱い戦いとなることが予想される。

ホーム徳島は、前節、草津とのライバル対決とも言える一戦に競り勝ち今季初勝利を飾った。開幕から苦しんだ末ようやく手にしたその勝利の大きさは、単なる1勝では片付けられないものであったと言えよう。試合終了後に選手たちが浮かべた安堵の表情が何よりそれを物語っていた。また、田中監督の「結果を出してくれた選手たちによくやってくれたと言いたい。」という言葉も、この今季初勝利がチームにとっていかに重要なものであったかをつくづく感じさせた。

しかし、勝ったとは言えその試合、草津攻撃陣を完封し立ち直りを見せた守備に対して、攻撃面では今節に向けて見過ごせない課題を露呈してしまった。それは「チャンスでの決定力」である。早い時間帯に見事な連携から2点こそ奪ったものの、その後迎えた決定的チャンスはことごとく逃し続けた。もしあと幾つか決めるべき場面で決めておけば、開幕直後の2戦で重ねてしまった失点を取り戻すこともできたのだが…。いずれにしても、徳島がフィニッシュの精度をはじめ「チャンスでの決定力」に問題を抱えているのは事実である。そして、その克服なくして今節の一戦での勝利はないように思われる。

というのも、今節対する相手が、J1復帰を目指し今季J2優勝の本命とも言われる神戸だからだ。神戸は高い総合力を持った紛れもない強豪。開幕戦でこそ草津に足元をすくわれたが、その後は3連勝と自力の違いを見せつけている。しかも前節には怒濤の4ゴールで今季開幕から好調の水戸を一蹴。

チームは、主将であり攻守の大黒柱でもあるMF三浦を中心に、いよいよアクセル全開となってきた感がある。それでもバクスター監督に言わせれば「（水戸戦の4ゴールでの快勝も）ベストパフォーマンスではなかった。」とのこと。そのコメントからは、チームの目指すサッカーがいかにハイレベルであるかが伝わってきた。

その神戸が相手だけに、徳島は攻守両面においてかなり厳しい戦いを強いられるであろう。必然的に得られる得点チャンスも少なくなるに違いない。そこで、前記の課題「チャンスでの決定力」を克服できるかどうかが徳島にとっては非常に重要なポイントとなる。数少ないチャンスを確実に得点へと結び付けなければ勝利への道も開かれないと言えるだろう。決して簡単なことではないが、選手たちにはこれまで以上の高い決定力が要求される。

徳島はもしこの一戦に勝利できれば、得るものは勝ち点3だけではない。計りしれない自信と浮上のためのさらなる勢いもきっと掴めるはずだ。それだけに何としても勝利が欲しい。そしてもちろん神戸も、今の勢いを止めないために勝利は譲れない。J1復帰という大きな目標をシーズン最後に達成するには一試合たりとも息を抜くことは許されないのだ。

この両チームが繰り広げる今節の『海峡ダービー』。勝利を巡る熾烈な争いに注目が集まる。

以上

2005.3.24　Reported by 松下英樹