●FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン2005
12月14日（水）19：20/国立
アルイテハド（サウジアラビア）2−3 サンパウロFC（ブラジル）
【得点】16'　アモローゾ（サンパウロFC）、33'　ノール（アルイテハド）、47' アモローゾ（サンパウロFC）、57'　セニ（サンパウロFC）、68'　モンタシャリ（アルイテハド）

◆チケット情報は http://t.pia.co.jp/fcwc/01_main.html
----------------------------

14日に国立競技場で行われたFIFAクラブワールドチャンピオンシップ準決勝、アルイテハド対サンパウロFCの対決は2-3で南米王者に軍配が上がった。これにより、サンパウロがデポルティボ・サプリサ対リバプールの勝者と決勝の舞台で競うことになった。

勝敗を分けたいちばんのポイントは、サンパウロがサッカーというものを熟知していたことだろう。前半、南米王者はジョスエから右サイドのシシーニョ、あるいは左のジュニオールに展開する攻撃で主導権を握り、アモローゾのゴールで先制した。だが、その後は「特に前半のマークは強かった」とアウトゥオリ監督が語ったようにアジア王者に勢いを止められて同点弾を浴び、さらには勝ち越しさえ許しそうなほど劣勢を強いられた。開始前、あれほど盛り上がっていたサンパウロ・サポーターが前半半ばを過ぎたあたりからすっかり沈黙してしまったことが、その苦しい様子を雄弁に語っていた。
しかし後半、サンパウロは強さを見せる。開始わずか2分、スローインからダニーロ、アロイジオを経て、最後はシシーニョのクロスをアモローゾが押し込んだ。この1点は、集中が切れやすいと言われる開始直後を狙ったその見事な試合巧者ぶりと、目論見を結果に昇華させることのできる高い個人技が可能にした得点だった。
さらに南米王者は、相手が浮き足立っていることを察知すると追加点を奪いに行く。57分、ジョスエが中盤のスペースが空いた一瞬の隙を突いてスルーパスを出すと、アロイジオがエリア内で倒されPKを獲得。これを名物GKロジェリオ・セニが決め、勝負も決めた。「うちの中盤は空いていた」とアルイテハドのヨルダネスク監督が述懐していたが、まさにその点を突いたことから生まれた得点で、ここでもサンパウロのうまさが光っていた。

ただ、アルイテハドも敗れはしたが、ほぼプラン通りにゲームを作れていた。立ち上がりはサンパウロの攻勢に手を焼き、16分には不十分なクリアからアモローゾにシュートを打たれ、DFに当たりコースが変わって先制弾を許すという不運もあったが、その後はしっかり立て直した。相手の迫力に気押されせず、果敢にプレスをかけるアグレッシブな守備でサンパウロのパス回しを止め、ハイボールにはほぼ全て競り勝った。攻めはカウンター一辺倒だったが、チェコにボールを集めて素早く前線に供給。攻撃重視で両サイドにスペースができるサンパウロの弱点を突いた見事な作戦だった。
その策は33分に奏功し、スペースを突いた狙い通りのカウンターからカロンがゴールを狙い、GKが弾いたところにノールが詰めて同点に追い付く。40分にもカウンターからカロンがビッグチャンスをつかみ、こちらはGKのファインセーブで惜しくも勝ち越し点とはいかなかったが、プラン通りの展開で前半を制した。
後半はサンパウロに出端をくじかれ、一気に苦しくなったが、それでも出来る限りの対抗策で反撃を試みた。シシーニョ、ジュニオールのサンパウロ自慢の両サイドが再び活性化していることを察知したヨルダネスク監督はハイダルを投入して右サイドに張らせ、ワイドな展開で決定機を作り出すとともにジュニオールの上がりを封じていた。
68分にはCKからアル・モンタシャリが反撃のヘッドを決めて1点差に迫り、サンパウロにプレッシャーをかける。しかし、あと一歩及ばず、夢の決勝に進むことはできなかった。

テクニックと試合巧者ぶりを遺憾なく発揮したサンパウロ。チームとしての機能美を披露したアルイテハド。個人技対組織の勝負は前者に軍配が上がったが、どちらが勝ってもおかしくない好試合だった。特にアルイテハドの健闘は、同じアジアの日本に、とても大切なことを教えてくれたのではないだろうか。


以上

2005.12.15 Reported by インターナショナルスポーツ＆マーケティング（ISM）