10月1日（土）J2 第34節 鳥栖 vs 仙台（14:00KICK OFF/佐賀）
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　今季のJ1昇格レースのボーダーラインは、引き分けのゲームが多いために例年より下がるものと予想される。残り試合が11試合を残すのみとなったJ2。あと上積みできる勝ち点は最大で33点しかない。数字上の可能性を探ってみると、今節の対戦カードの鳥栖と仙台両チームとも、自動昇格が許される2位以内に入る可能性は残っている。
　鳥栖の場合、首位京都が全敗し鳥栖が驚異的な得点ラッシュで全勝しなければ首位に並ぶことは難しい。鳥栖・松本監督は「第4クールだけでリーグトップの成績を残す」と現実的な目標を口にする。仙台は、2位狙いの可能性が十分に残る位置につけている。このお互いの置かれた立場が、今節の残り試合の戦いにどのように見せてくれるのか、大変楽しみである。

　前節の第3クール最終戦、鳥栖は3バックで水戸に臨んだ。攻撃力をアップするための変更でもなければ、弱点を補うためでもない。今季最悪の状態で試合に臨まざるを得なかった中で、最高のパフォーマンスを出すために考えられた布陣が3-5-2と言うことだった。怪我人に加え体調不良の選手まで出てしまい、『手負いの軍団』の感が漂った鳥栖だったが、攻める気持ちを忘れず最後までよく攻めた。ただ、終了間際にセットプレーがらみで失点してしまう『鳥栖らしさ』で、今季12試合目の最少失点差で破れてしまった。

　対する仙台は、両サイドを高めの位置に配し、積極的な攻撃姿勢で湘南を追い込んだ。前半は財前が仕掛けて得たPKで先制。後半にはシルビーニョ、シュウェンクの技ありゴールで突き放しての快勝だった。試合の流れを変えるシステム変更や選手の交代など、『仙台らしさ』を要所で見せてくれた。

　両チームとも『らしさ』を出した内容だったが、今節はその『らしさ』が少し異なってくると思われる。鳥栖は、前節から司令塔として濱田がC大阪から加わり、今節からは左サイドDFに立石が福岡から加わって、怪我人や移籍で抜けた穴を補強と言う形で確実に補ってきた。加入しての時間が少ないが、練習を見る限りでは選手間で話し合う場面が多く見られ、連携には問題は無いように見える。連携さえ取れれば、『鳥栖らしさ』であるサイド攻撃が復活してくるであろう。

　鳥栖のサイド攻撃が機能すれば、仙台の前節に見せたサイド攻撃は思うように機能しなくなる。鳥栖の左サイドに位置する立石と高橋の若手コンビは、スピードとテクニックを駆使して、対峙する仙台右サイドの中田と大柴に襲い掛かることだろう。新司令塔の濱田とテクニックを持ったシルビーニョの中盤の覇権争いも見逃せない。『鳥栖らしさ』の象徴でもあるFW新居の運動量は、仙台両サイドDF中田と村上の攻撃参加の機会を減らすことになる。仙台自慢のFWバロンとシュウェンクには、1対１では負けることの無いフィジカルを持つ、ビジュと飯尾の二人で押さえ込むことになり、試合序盤から積極的に攻めてくる鳥栖に対して、前節とは違って仙台は手を焼くことが予想される。

　しかし、取りこぼしが許されない仙台は、選手層の厚さで流れを変えることが可能である。財前と千葉の交代でシルビーニョを攻撃的に配置することができるし、梁の投入で一気に畳み込んでしまうことも可能だ。終盤での得点力はリーグの中でも上位につける。万全でない鳥栖は、受身になるともろさを見せてしまう。終盤の失点の多さは如実に物語っている。
ここにも両チームの『らしさ』が顔を覗かせる。

　新しい『鳥栖らしさ』に対して、前節同様の『仙台らしさ』をどこまで出せるのか・・・好ゲームが期待できる。今節は、使い慣れた鳥栖スタジアムではなく、佐賀県総合運動場陸上競技場で行われる。違う環境で『らしさ』を早く出した方が優位に戦えることは言うまでも無い。

以上

2005.09.30 Reported by　サカクラ ゲン