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【徹底解析 J2】定番となった夏場の失速。そこから見えてくる昇格の行方とは!?全6回シリーズコラムの第4弾(05.08.25)

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第4回:定番となった夏場の失速


京都
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今期は京都が首位を独走しているが、だからといって京都のサッカーが他チームを圧倒していたというわけではない。これまでの戦いを振り返ると、内容的にはきわどい試合が多く薄氷を踏む思いで勝ち点をのばしてきたというのが実情だ。ただ、そうした難しい試合で確実に勝ちを拾える勝負強さがあったことが、今の順位につながっているとも言える。ちなみにここで言う勝負強さというのは、失点を抑える固いディフェンスに得点力をプラスした総合力だ。京都は26節終了時点で総得点46と首位の数字を残しており、リーグ3位の守備とのバランスは取れているといえる。

 前半戦で首位を独走してきた京都だが、ここにきて勝ち点獲得のペースが落ちてきた。26節終了時で2位福岡とは勝ち点で16の差があるが、18節から20節にかけて2位の甲府との間に20の勝ち点差があった事を考えれば差は詰まっている。7月以降の8試合(26節終了時)で4勝3敗1分けという数字は、開幕から6月末までの18試合で1敗しかしなかったハイペースの試合展開を考えれば失速とととらえて間違いはない。もちろんまだ危機感が出るほどには勝ち点差は接近していないが、それでもサポーターにしてみれば心配なところだろう。

 京都サポーターにとって夏場の失速が気になるところだが、過去を振り返るとJ2での失速は珍しいことではない。たとえば「積み重なる、J2激闘の歴史」でも紹介したFC東京は、ナビスコカップでの勝ち上がりなどが重なり、大分の猛追を受けた。また2000年の浦和に代表されるようにJ1からの降格組はリーグ戦序盤には順調に勝ち星を積み上げていくのだが、試合数の多さやJ2他チームが降格チームの戦いに慣れる、といった現象が重なり、毎年失速とも言えるペースダウンを見せている。大宮が失速した2001年の例は他のケースとは異質で、得点ランキングを独走していたデリー・バルデスをケガで失った事が最大の原因だった。24節終了時点で2位京都パープルサンガとは8点の勝ち点差があったが、得点源を失ったことで急減速し2位グループに飲み込まれてしまった。大黒柱の損失はもちろん大きいが、一人の選手がいなくなることでチームの勢いに陰りが出てしまうほどに選手層が薄いということは、つまりはJ2の特徴でもあると言えるだろう。

川崎
コピーライト
失速の実例はそのほかにも存在しており、2002年には大分が。2003年には広島が失速し、サポーターをハラハラさせている。例外的に昨年の川崎はJ2を全速力で駆け抜け、といっても昇格に王手をかけてからのホームゲームで2連敗を喫してしまったが、それでもJ2では史上最速でのJ1昇格を決めている。また2位で通過した大宮も終盤にスパートをかけてシーズンを乗り切った。ちなみに広島が失速した2003年は冷夏だったが、川崎、大宮が昇格を決めた2004年は猛暑の夏だった。つまり失速という現象は気温の高さは直接的な原因ではなさそうだ、ということである。では何が上位チームの失速をもたらしているのかというと、同一チームと同一シーズン中に4度対戦するというJ2特有のシステムではないかと考えられる。つまり上位チームに対する研究が進むことにより、十分な対策を練られてしまうということが考えられるのである。

 そう考えると、今期の京都は2度の対戦を終えた現在、他チームから徹底的な研究にさらされているのは間違いない。そうした中で、今までの戦い方をどこまでレベルアップできるのかが失速を最小限にとどめるポイントと言える。もちろん他チームにしてみれば、このまま京都に悠々と昇格を許すのはプライドが許さないはず。また各チームの選手にしてみれば、注目を集める首位のチームとの対戦で活躍することで、J2の上位チームや、J1への移籍が現実味を帯びてくるのである。そもそも今期は2位以下のチームが大混戦を続けている。最下位のザスパ草津に限っては今期の昇格はかなり厳しい状況になっているが、その草津を除けば11位の横浜FCまで3位以内の可能性を持っている。そしてそれはJ2リーグ全体が底上げされた結果として、全体の力の差が縮まっている事を示していると言える。
 後半戦にさしかかった現在でも混戦が続いており、勝ち点3で順位が大きく入れ替わるという状況に変わりはない。つまり下位チームまで高いモチベーションを維持した状態だということが言える。勝ち点差を付けているとはいえ、京都にしてみれば油断できない状況は続いている。

2005.08.25 Reported by 江藤高志

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