リーグ戦12試合を終え、現在3勝5分4敗で14位。この成績は、チームにとって予想外だったに違いない。天皇杯優勝という輝かしいスタートを切った2005年、ゼロックススーパーカップでも強豪・横浜FMを撃破し意気揚々とシーズンをスタートさせたものの、開幕戦を白星で飾った後は4試合勝ち星に恵まれず、ずるずると順位は後退。ようやく6節・大宮戦では競り勝ったが、再び勝ち点3を手に入れたのは中断期間前の12節・柏戦となった。ここまでを振り返り、アルディレス監督は当然「満足していない」とコメント。低迷の要因を「怪我人が多く、ベストのメンバーがなかなか組めず、東京Vの流れるようなサッカーができなかった」としている。
確かに、米山・戸川・小林慶行・相馬・山田・小林大悟・柳沢…。開幕以降、主力選手が次々と怪我で戦線を離脱。誰かが戻れば誰かが離れる、という状況が繰り返され、その度にアルディレス監督はメンバー構成に頭を悩ませてきた。
しかし、その中でも得点力に大きなダウンがなかったのはプラス材料。試合内容でリードしていても勝ちきれないという若さを感じさせる部分もあったが、その分、波に乗れば破竹の勢いを見せてくれるはずだ。
チームの課題は、やはり大量失点が幾度となくあった守備面か。ここまで失点20はリーグワースト4位タイ。アルディレス監督も「修正すべき課題」として挙げており、中断中は失点シーン等をビデオミーティングで確認し「連動した守備の構築」に着手している。
守備を意識するあまり攻撃に翳りが見えた時期もあるだけに、時間をかけることができた中断期間にどれだけ改善されたかに注目だ。
◆再開後の展望・見どころ
これからのチームのテーマは「巻き返し」。
現在14位(勝ち点14)ではあるが、2位の広島とは勝ち点差6と、そう大きくリードされているわけではない。特に6位浦和から15位新潟までは勝ち点差3以内にひしめいており、ひとつの勝利で一気に上位に浮上する可能性がある。
となると、まずは7月の連戦でどれだけ勝ち点を重ね、上位争いに食い込むことができるかが注目ポイントだ。
「いいタイミングで中断期間がとれた」とアルディレス監督の話す通り、疲れの見えていた選手も1週間のオフでリフレッシュ。怪我人もほぼ戻ってくることになりそうで、リーグ再開後の連戦にはいい状態で臨める。
首位・鹿島との勝ち点差は15。少なくとも7月中には射程圏内に位置したいが、万が一ここで更に後退するようなことがあると、優勝への望みは消えることになる。15日間に5試合の厳しい日程で行われる13節〜17節が、東京Vにとっては正念場となるだろう。
DF上村は「選手は誰も優勝の可能性を諦めてはいない」と話し、「ただ、今の順位じゃ大きなことは言えない。まず目の前の試合をひとつひとつ勝っていかないと…」と気持ちを引き締めていた。
◆HOT6の注目選手
再開後も、東京Vのキーマンとなるのは文句なしにFWワシントン。
ここまで12試合で9得点を叩き出し、チームを牽引。得点ランキングでも2位に位置している。
来日以来、周囲の期待にきっちりと応え結果を出してきた。その能力は今さら説明するまでもないが、黙々とシュート練習を続ける真面目な姿勢にチームの人望も厚い。Jでも有数の優良助っ人といえるだろう。今後もチームの浮沈を左右する存在だ。
懸念材料はナビスコカップ・川崎F戦で痛めた右ひざ。その治療のために現在ブラジルに帰国中だが、再来日は予定より遅れてリーグ再開直前の6月27日以降になりそう。膝やフィジカルの状態は、今のところ未知数。合流してすぐのゲームとなるだけに、気になるところだ。
加えて、ワールドユース選手権でひと回り大きく成長したFW森本、DF李康珍の2人にも注目したい。森本はU-20日本代表で最年少ながら、決勝トーナメントまで4試合に途中出場。出発前には「日本を代表して世界と戦うことで責任感を身に付けることができると思う」と話していたが、実際には何を得て帰って来てくれたのか、Jのピッチで存分に見せてほしい。一方の李康珍は、U-20韓国代表としてグループリーグ3試合にフル出場。DFに特に必要な「経験値」が加わったプレーに期待だ。
◆再開後のフォーメーション予想
以上
Reported by 高木聖佳