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【国際親善試合 U-23日本代表 vs U-23チュニジア代表 レポート】悔しさ、後悔の念、そして選ばれることへの希望。様々な思いを胸に最終選考を待つ(04.07.15)

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7月14日(水) 国際親善試合
U-23日本代表 0 - 1 U-23チュニジア代表(19:20キックオフ/豊田ス)
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今日の豊田はいつもと違った。駅前には臨時の切符売り場が設置され、いつもはタクシー乗り場に乗客待ちをしているタクシーがなかなかつかまらない。試合開始4時間前にも関わらず、既に豊田スタジアムを蒼い列が取り巻いていた。

アテネ本大会開幕まで1ヶ月をきり、同時刻には野球の日本代表がキューバと親善試合をするなど全国的にオリンピックムードが高まりを見せる中、選考への最後のアピールとなる試合が始まった。

試合開始は19時20分。既に日は落ちているのに、スタジアムには熱気まじりの重たい空気が漂う。無風な上に湿度が高く、合宿明けの疲れが溜まった選手には、かなり厳しいコンディションとなった。

最終メンバーに残るための大事な一戦というプレッシャーに加え、暑さ、疲労が足かせとなり、選手を苦しめる。そんな中、山本監督はあえて選手に「オリンピックのメンバーに入るか入らないかは大きい」とプレッシャーをかけた。合宿中は選手がアピールを意識しすぎて頑張りすぎることのないように気を配り続けた監督だが、今日は「サッカー人生にとって大きな試合」とこの一戦の意味の大きさをあえて選手に植え付けピッチに送り出した。

そのプレッシャーが選手を堅くしたのか、試合開始早々、日本は早くもピンチを迎える。チュニジア17番セリティがいきなり日本ゴールを脅かす。その後も連続でCKとなり、はらはらするシーンが続いた。「気持ちが先走りすぎた感もある」と森崎選手も振り返るように、パスミスが続き、なかなかチャンスを作り出すことが出来ない。

しかし、チュニジアのフィジカルの強さに何度となく倒されながらも、泥臭くボールを追い続ける姿は今日の試合にかける気持ちの強さを表していた。プレー一つ一つに気持ちがこもり、ミスをすれば大きく天を仰ぐ。「みんな口には出さないけれど、試合にかける気持ちは相当強かった」(菊地選手)ピッチ外の控え選手もその思いは同じ。アップをしながらもその視線は絶えずピッチ内に注がれていた。

そんな思いが立ち込める中、両チーム無得点のまま前半ロスタイムを迎える。そこで思わぬ失点が生まれた。OA枠で選出された曽ヶ端選手が、キャッチミスしたボールを、チュニジア11番ルタイフ選手が落ち着いてゴールに押し込んだ。「OAということではなく、GKとして単純なミスをしてしまった」と曽ヶ端選手。ハーフタイムを迎え、選手は硬い表情でロッカールームに帰っていった。

そして後半大きくメンバーの入れ替えが行なわれる。闘莉王・森崎・高松・曽ヶ端選手に代わり、阿部・石川・平山・川島選手がピッチに姿を現した。豊田スタジアムは地元名古屋グランパスエイトに所属する川島選手の登場に、大きな川島コールで彼を迎える。「移籍してからああいう感じで迎えられたのは初めて、素直に嬉しかった」と全身でその声援を受け止めた。メンバーに選出されながらも、なかなか出場の機会に恵まれなかった川島選手。また石垣島キャンプではGK5人という異例の多さ。それに加えOA枠の曽ヶ端選手の参加と、選考へのプレッシャーは相当なものだっただろう。しかし、地元名古屋、また最終選考前の試合という最高の舞台が彼には用意されていた。

前半終盤から日本は4バックに変更していたが、後半はその形がしっくりいくようになる。「後半は4バックがキレイにはまったと思う」と駒野選手も振り返るように、相手の2列目の動きを警戒しながらも徐々にチャンスを作り出すようになる。そんな中、前田選手に代わり田中選手が投入された。「田中、坂田、平山の3トップで、高い位置からプレスを掛けようとした」と山本監督も一気に点取りモードにシフトチェンジを行なった。

そして大きな動きが後半35分に起こる。平山選手がポストになり左サイドの田中選手にボールがわたる。そこからあがったクロスにゴール前の山瀬選手が右足を振りぬいたが、GKがクリア。そのボールに石川選手が反応するも、ボールは枠外に外れてしまった。立て続けのビックチャンスにスタジアムは何度も大きく沸き、最後は悲鳴にも似た落胆の声が響いた。

決定的なチャンスを逃してしまった日本だが、その直後大きく手をたたき選手を鼓舞する茂庭選手と菊地選手の姿があった。「まだ終わってはいない」その気持ちは控え選手も同じだった。いつ呼ばれてもいいように最後までアップをし続ける選手の姿。誰もが最後まで勝利に対する執念を捨てることはなかった。

しかし無情にも時間は過ぎ去り試合終了のホイッスルが鳴り響く。その瞬間一番落胆の表情を見せたのが松井選手。がっくりと膝に手を押し当てて悔しさを表した。試合後に「自分はいいところが出せなくて情けない」と硬い表情でスタジアムを後にした。

山本監督はよく「絶えず自分の持ち味を100%出せることが大事」と口にする。しかし、試合後の選手のコメントは「もっとこうすべきだった」とアピール不足を口にする選手が多かった。大事な一戦だけにいつも以上に自分への評価は厳しくなる。しかしそんな中、駒野選手は前向きに試合を振り返った。「4バックになったときに相手の右サイドを押さえることが出来た。前半はボールを触る回数が少なかったが後半は前への意識を持ってやれた」といつもと違う左サイドであったが、自分の持ち味は出せたようだった。「ユーティリティ選手は必要になってくるし、どうしても試したいポジションだった。彼の持ち味を出してくれたと思う」と山本監督も彼のプレーに合格点を出した。「自分は遅れて入ってきたので、人よりも何倍もアピールしないと」と約1ヶ月半という短い期間ではあったが試合を重ねるごとにその存在を表していった。そして今日、試合を終えたの彼の表情はやるべきことはやったという晴れ晴れとしたものだった。

悔しさ、後悔の念、そして選ばれることへの希望。様々な思いが選手にはあるだろう。しかし選考をかけた最終戦は終わった。インタビューを締めくくる選手の言葉は「あとはなるようにしかない」と皆同じ。最終選考の結果は16日に発表される。

以上

2004.07.14 Reported by 柴田愛子
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