11月30日からスタートした「第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会」も、いよいよ、J1クラブが参戦する3回戦へと駒を進めた。1回戦から1つずつ勝ち上がることでテンションを上げてきた各クラブと、リーグが終わり契約更改の時期に突入したことでモチベーションを保ちにくい状況にあるJ1クラブが、どういった戦いを繰り広げるのか。毎年、様々な驚きのある3回戦だけに見どころは十分。もちろん「ガンバ大阪対コンサドーレ札幌」のJ1対J2対決も例にもれず、だ。
そのG大阪は今季のリーグ戦を1stステージ12位、2ndステージ9位、年間総合10位という成績で締めくくった。この数字をどう評価するのか。首位争いを繰り広げた昨年の戦いを踏まえ、そのメンバーを殆ど変えずに迎えたシーズンだったということを考えれば、当然、納得がいくものではないはず。特に1stステージでは、ゲーム終了間際の失点という“悪い癖”が何度も顔をだしたことで、自ら白星を取りこぼしたような試合が続き、チームが自信を喪失。下降線の一途を辿ったことは周知の通り。2ndステージこそ何とか巻き返しを図ったが、それでも、上位チームとの “ここぞ”という試合での“勝負弱さ”。また仙台戦などの取りこぼしが後に響き、目標と掲げた「タイトル」には及ばず。それだけに「今年最後のタイトル獲りのチャンス(西野監
督)」となった天皇杯に向け、志気は高まっている様子。となれば、もちろん、昨年の4回戦での失態、つまり格下とされた川崎フロンターレ(J2)戦における敗戦の二の舞いだけは絶対に許されない。
東アジア選手権での疲れが残るDF宮本、MF遠藤ら日本代表組の出場は微妙だが、個々の能力の高さを考えれば、例え彼らが抜けたところで組織力に翳りはないはず。また、J1のプライドに懸けても白星奪取は当然の使命だろう。
対する札幌は、今季のJ2リーグを9位で終了。「1年でのJ1復帰」の夢とは、あまりにもかけ離れた成績で今季を締めくくった。開幕前には、ジョアン・カルロス監督の招聘なども拍車をかけ、昇格候補と騒がれもしたが、蓋を開けてみれば開幕の横浜FC戦における1-3 、第3節水戸戦での2-4など、守備面での連携不足に悩まされた滑り出し。加えて、暴行事件によるウィルの退団、主力のケガなど、悪い要素も重なって勝ち切れない状況が続き、首位争いから後退。FWアンドラジーニャを迎えた17節以降は、その効果もあって連勝するなど、巻き返しが期待されたが、結果的には上位チームとの対戦での敗戦が響き、昇格争いから引き離されて今季を終了した。だが、メンバーを見れば、DF佐藤やMF森下らベテラン勢の安定したパフォーマンスに加え、GK藤ケ谷やMF和波ら若い戦力の台頭などチームを勢いづける要素も多々秘めており、J1チームと比べても大きな見劣りは感じられない。もちろん、個々の能力での差は否めないが、組織としての戦いを徹底すれば勝機はあるはず。ちなみに、今大会でのここまでの戦いを簡単に振り返ると、1回戦の尽誠学園高校戦は、プロとアマチュアの差を見せつけて相手を圧倒。8-0と快勝したが、迎えた2回戦では静岡産業大学に苦戦。先制点を許したこと、また、倍以上のシュートを打ちながらも決定力不足に泣かされたこともあり、最後まで点の取り合いに。結果的には、終了間際のロスタイムにおける攻防を制して3-2と、何とかプロの面目を保って勝利を手にし、3回戦を迎えた。
その両者による対決。まずもっての見どころは、トーナメントという一発勝負の戦いに、両者が何を徹底してくるのか。一般的には、格下とされる札幌が守勢にまわり、G大阪が攻勢に出ると思われがちだが、J1リーグでの戦いにおけるG大阪が、4バックの相手に再三にわたってウラをとられ、ゴールに詰め寄られたということを考えれば、その反省から、4バックの札幌を相手に無闇にラインを上げて攻め立てるとは考えにくい。逆に札幌は『勝てばいい』トーナメント方式を利用し、『先制し、守り切る』という戦いを仕掛ける可能性もある。となれば、両者の立ち上がりの“仕掛け”が明暗をわけるということか。また、札幌には元G大阪のMF森下、アンドラジーニャが、G大阪には元札幌のFW吉原、大黒(期限付き移籍)がいる。互いに古巣を熟知している彼らがどういったパフォーマンスを見せるのかも見どころの1つとなるだろう。ちなみに、札幌がJ1リーグに在籍していた2001年シーズンの両者の対戦結果を見てみると、2試合を戦って、0-1札幌、0-0ドロー。G大阪に悪いイメージが残っていなければいいが…。
2003.12.13 reported by 高村美砂
以上
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