2023年の明治安田生命J1リーグも開幕から1ヶ月が経過し、18チーム全てが5試合を戦い終えた。今季序盤戦の様相もある程度見えてきたこの段階で、スタッツから見た今季の注目選手を紹介する。
※第5節終了時点(2023年3月19日)のデータを使用
小川 航基(横浜FC)
昨季の明治安田生命J2リーグで26得点の大活躍を見せ、昇格の原動力となった横浜FCのエースは、今季も勢いそのままにJ1の舞台で躍動している。ここまで記録したシュート数はリーグトップの15本。積極的にゴールを狙う姿勢で相手に脅威を与え、奪った4ゴールは得点ランキング単独トップの数字だ。特に味方のパスにピンポイントで合わせる能力の高さが目立ち、第5節の京都サンガF.C.戦では左からのクロスに対して見事なヘディングゴールを披露した。
キャスパー ユンカー(名古屋グランパス)
今季から期限付き移籍で名古屋グランパスに加入したデンマーク出身のストライカーは、すでに2ゴールを記録しており、新天地でもその実力を遺憾なく発揮。特にシュート精度に関するスタッツが目立ち、枠内シュート数はリーグトップの9本、シュート枠内率は81.8%でこちらもリーグ1位の数字となっている。また、第4節のアウェイ柏レイソル戦では高い技術力を持つ左足を生かして1ゴール1アシストと、チームの勝利に大きく貢献した。
伊藤 涼太郎(アルビレックス新潟)
華麗なパスサッカーで昇格組ながらもJ1の強豪を翻弄し、ここまで2勝2分け1敗と好スタートを切っているアルビレックス新潟。そのコンダクターとして攻撃のタクトを振るファンタジスタだ。ここまでのスルーパス成功数はリーグトップの12本と、相手の裏を取るチャンスメイク力で会場を沸かせるだけでなく、2ゴール2アシストと得点に直接絡むプレーが多いことも注目すべき点だ。
三戸 舜介(アルビレックス新潟)
伊藤 涼太郎の同僚としてともに活躍する、左サイドが主戦場の若きドリブラー。ドリブル数はリーグ2位となる20回で、自身初挑戦となるJ1の舞台でも臆することなく持ち味を発揮。単にドリブルを仕掛けるだけでなく、より危険な位置へ持ち上がれるプレースタイルもスタッツに表れており、ペナルティーエリア進入回数はリーグトップの22回。「パリ世代」期待のアタッカーとして更なる活躍に期待がかかる。
小柏 剛(北海道コンサドーレ札幌)
一瞬の抜け出しとスピードを特徴とするタイプのFWで、味方のスルーパスを受けた回数はリーグ1位の15回を記録。裏抜け数(*1)も1試合平均でリーグ1位の16.3回となっており、相手最終ラインを下げさせるオフザボールの動きは必見だ。ここまで2ゴールを奪い、好調な滑り出しを見せている。
俵積田 晃太(FC東京)
FC東京のアカデミーで育った2004年生まれの逸材ドリブラーだ。サイドでボールを持てば「何か起こしてくれる」と感じさせるドリブルを仕掛け続け、観客を魅了する。先発の機会は限られているものの、90分換算でのドリブル数はリーグトップの10.4回、ドリブルによるペナルティーエリア進入回数は2.2回でいずれもリーグトップの数字。
川﨑 颯太(京都サンガF.C.)
若くしてすでに豊富なJリーグ経験を持つパリ世代期待のアンカー。今季は「背番号7」を背負ってチームの中心となっており、ここまで記録したタックル数は24回でリーグ1位。1試合平均走行距離も11.722kmでチーム1位と、汗をかくことをいとわない献身性も光る。守備面のみならず機を見た攻撃参加でも高い実力を発揮し、第3節のホームFC東京戦では味方のクロスにヘディングで合わせて見事なゴールを奪っている。
佐野 海舟(鹿島アントラーズ)
FC町田ゼルビアから今季加入した、高いボール回収能力が特徴のアンカータイプのMF。退場や出場停止があった影響で出場時間は少ないものの、インターセプト数はリーグ2位の5回を記録。ボール奪取数(*2)は90分換算でチーム1位の9.8回と堂々たるスタッツ。自身初挑戦のJ1を席巻する活躍ぶりでサポーターの心をつかんでいる。
マリウス ホイブラーテン(浦和レッズ)
今季加入したノルウェー出身の左利きセンターバック。185㎝の高さと身体能力を生かしたヘディングが魅力で、自陣での空中戦勝率は79.2%とリーグトップの数字を記録している。また、正確な左足は攻撃の起点ともなり、前方ロングパス数はリーグ3位タイの38本だ。第4節のヴィッセル神戸戦では自身の見事なロングフィードから決勝点が生まれている。
ランゲラック(名古屋グランパス)
2018年より在籍しているオーストラリア出身の守護神は、6シーズン目の今季も高い実力を発揮している。ここまで記録したセーブ数は15回、セーブ率は93.8%でどちらもリーグトップの数値。5試合を終えてわずかに1失点と、リーグ最少失点を誇る堅守の中心として大活躍を見せている。第3節のサガン鳥栖戦では相手のミドルシュートに驚異的な反応を見せ、左手1本でチームをピンチから救った。
(注釈)
*1 裏抜け:味方からパスを受けてないケースも含めた相手最終ラインの背後を狙うランニング
*2 ボール奪取:インプレーにおいて、相手チームの攻撃から自チームの攻撃に切り替わった最初のプレー
文章/データ提供:データスタジアム株式会社