6月27日、東京都内で『TAG Heuer YOUNG GUNS AWARD(タグ・ホイヤー ヤングガン アワード)』の創設を記念したキックオフイベントが行われた。これはすでにJリーグのオフィシャルタイムキーパーとなっている時計メーカーのタグ・ホイヤーが日本サッカーの未来を担う選手たちに日の目を当て、彼らの育成に一役買って出る形で導入されるもの。明治安田生命J1~J3の各リーグに所属する23歳以下(1994年4月2日以降に生まれた選手たち)から11名を選んで年末に開催されるイベントで表彰するというものである。
候補選手30名を選び、そこからSNSなどを使った一般投票を募って選ぶという流れとなるので、Jリーグのファン・サポーターは「俺のヤングガン・イレブン」をそれぞれ練ってもらう楽しみができたことになる。そこで今回は一足早く、「6月までのJから勝手に選ぶヤングガンイレブン」を選んでみたいと思う。いずれも、ここまでのJリーグ前半戦で「俺を観ろ!」と言わんばかりのプレーを“魅せて”くれた選手たちだ。
まずGKは正直に言って迷う必要がない。日本代表にも選ばれた中村 航輔(柏)で決まりだろう。GKに関しては出場機会を得ている若手選手自体が少なく、夏以降から中村に迫るようなプレーを見せる若手GKに出てきてもらいたいところだ。このままでは彼が早くも“当確”である。
センターバックは候補者の多いポジションで悩むところで、年末の選考ではリオ五輪代表のセンターバックコンビである植田 直通(鹿島)や岩波 拓也(神戸)の名前も出て来そうだが、今季のプレーぶりという意味で考えて三浦 弦太(G大阪)と中谷 進之介(柏)の二人を推したい。三浦はA代表にも入って一気に名を上げつつあるが、努力家の中谷が積み上げてきた成長も目覚ましいものがある。今季の柏躍進を語る上で欠かせない名前だろう。
右サイドバックもまた難しいポジションだ。真っ先に浮かんだのは小池 龍太(柏)と室屋 成(FC東京)だったが、ここには原 輝綺(新潟)を入れておきたい。ボランチで開幕スタメンを飾り、左サイドバックとしてもプレーしている(そしてセンターバックでもプレーできる)真のマルチロール。賢さとタフネスを兼ね備える好選手だ。
左はU-20日本代表の高卒ルーキー・杉岡 大暉(湘南)、抜群の身体能力に加えてDFとしてのスキルも向上してきた松原 后(清水)、左足のキックで魅せてくれる大卒ルーキーの永戸 勝也(仙台)と多士済々。もちろん、緑の怪物レフティー、安在 和樹(東京V)の名前も挙がるだろう。正直に言って決めがたいのだが、直近のインパクトが強すぎて外せなくなってしまったので、ここは安在を推しておきたい。明確な武器のあるタレントなので、スタジアムで観てもらえれば一発で名前を覚えることになる選手である。
中盤の下がり目の選手としては井手口 陽介(G大阪)の名前がまず出てくる。正直、当確だろう。パスメーカーである手塚 康平(柏)、タフに戦える橋本 拳人(FC東京)が好印象だが、前の二人は少し出場時間が短いので今回は選外に。気合いの守りとノリの攻めを見せる小泉 慶(新潟)は入れたかった、またセンターバックで選べなかった冨安 健洋(福岡)はこちらの候補でもある。さらに蹴れて動ける原川 力(鳥栖)も迷ったが、ここはセンス抜群の川辺 駿(磐田)を井手口の相方として置いておくこととしたい。
サイドハーフは岩崎 悠人(京都)を入れたい気持ちはあるが、やはりこのポジションでは関根 貴大(浦和)が外せないだろう。もう一枚の候補が実に多彩な選手がいることを認めつつ、独断のチョイスで堂安 律(G大阪)を入れておきたい。この夏からオランダに旅立つこととなり、年末のベストイレブンに彼の名前がある可能性はないが、Jリーグが育てた才能の飛躍も期待して今回は彼をチョイスしておきたい。
トップ下は杉本 太郎(徳島)も考えた、また高卒ルーキーながら堅実に貢献してきた髙橋 壱晟(千葉)もいいと思うが、やはり鎌田 大地(鳥栖)を入れるべきだろう。ドイツ・フランクフルトに移籍することとなったが、鳥栖が発掘して育てた逸材は「6月までのヤングガンイレブン」から外せる選手ではあるまい。
最後にFWだが、J1の得点ランキングに顔を出している選手がいないのは少々寂しいところ。ここは期待値込みで鹿島の未来を背負う鈴木 優磨(鹿島)かとも思ったが、J2から今季ブレイク途上、ランクトップ10に迫っているスピードモンスターの前田 大然(水戸)を選んで、前線を託すこととしたい。
当然ながら、「○○を忘れてるぞ!」「ウチの選手のほうが上だろう!」といった異論・反論もあるはず。そういう気持ちは是非、年末に向けて予定されている一般投票にぶつけてもらえればと思うし、そういう楽しみが新たにできたのは単純に面白い。できれば、年齢制限のないベストイレブンにも、23歳以下の選手が多数絡んできてくれるようなシーズンになってくれればと思うのだが、それは夏以降に彼らがリーグで見せるパフォーマンス次第である。