クォン スンテをはじめ、今季も各国の代表経験者が明治安田生命Jリーグへとやってきた。外国籍選手の保有枠が増加し、戦略的な意義が一段と強くなると同時に、ポジションや出場枠をめぐっての競争ももたらされる。初めてJリーグにやってきて活躍できる「助っ人」はどれほどいるのだろうか。
今季初めてJリーガーとして登録されたJ1の外国籍の選手は24名。昨季の同時期と比べると7人多い。ポジション別の内訳は表のようになっており、DFとFWの占める割合が高くなっている。
24名のうち、すでに出場を果たした選手は以下の10人。横浜F・マリノスに新加入した3人は全員が出場機会を得ており、ダビド バブンスキーとウーゴ ヴィエイラにおいては早速目に見える結果も残した。
上記の選手をはじめ、一体どれだけのプレーヤーが主力として定着できるのか、1つの見どころとしてはいかがだろうか。参考までに昨季J1の通年でのポジション別人数と出場時間が2040分以上(全試合フル出場の2/3)の選手を下記にリストアップした。
ポジション別の人数とは反比例し、GKは4人中3人と多く、FWは13人中2人のみという結果に。初年度で爆発的な結果を残せるストライカーは希少ということか。対照的にGKは守護神としての地位を確立しやすいといえそうだ。
最後に上記7人に関する特徴的なスタッツを提示したいと思う。
まずはGKの3名に関してだが、16年のJ1で2040分以上出場した選手を失点が少ない順に並べてみた。
・明確な結果を残したのはチョン ソンリョンとキム スンギュ
3人の中では川崎フロンターレのチャンピオンシップ出場に尽力したチョン ソンリョンが、最も失点が少ない。神戸のキム スンギュはセーブ数・セーブ率でともに3位を記録し、クロス対応の数はトップ。2nd第9節ガンバ大阪戦では遠藤 保仁のPKをストップし、「阪神ダービー」の勝利の立役者に。アビスパ福岡のイ ボムヨンは失点数やセーブ率が芳しくなく、チームも降格の道をたどってしまった。
MF登録の2人はチームのスタイルにもよるが、それぞれ異なる特徴が表れている。
・中盤のボールハンター
球際で戦う姿勢を見せたのは名古屋グランパスのイ スンヒ。タックル数はリーグでも上位に。激しさの裏返しとして、警告を重ねてしまったのが玉に瑕か(7枚で6位タイ)。また、パス数1188本はチームトップ。攻守において存在感を発揮した。
・川崎Fの水を運ぶ人
パスサッカーを指向した川崎Fにあって、中村 憲剛、大島 僚太とともに中盤を支えたエドゥアルド ネット。ほかの2人に比べてアタッキングサードへのパス比率が低いという特徴が見られたものの、バランスを取りながら、潤滑油としてチームの歯車を回し続けていた。
FWの2人も全くタイプが異なる。
・利き足は?
得点ランキング9位タイの12ゴールを挙げた柏レイソルのディエゴ オリヴェイラは、A3rdでの被ファウル数が1位。相手にとっての脅威となり、PK奪取も3度ある。また、右利きにも関わらず、放ったシュートは左足の方が多く、右足でのゴールは0という珍しい数値が。7月の月間ベストゴールに選ばれたシーンをはじめ、左足で印象に残るゴールを多く決めた彼には、一度本当に右利きなのかを尋ねてみたい。
・明確なターゲットマン
11ゴールをマークした名古屋のシモビッチは、誰の目にも明らかなターゲットとして相手のゴール前で存在感を放った。敵陣ペナルティエリア内でのセットプレー受け数は1位。全エリアでの空中戦数は3位に甘んじたが、飛ばずとも競り勝てるがゆえなのかもしれない。
(文章/データ提供:データスタジアム株式会社)