「ようやく」と言うべきだろうか。第8節までを消化した明治安田生命J1リーグ 2ndステージにおいて、ガンバ大阪が復調してきている。5勝2分1敗で、勝ち点17の3位。決して突出した戦績ではないのだが、1stステージの勝ち点が17試合で24だったことを思えば、夏到来と共に本来の力強さが戻って来ていることは明らかだ。
8月13日に行われたジュビロ磐田との第8節はそうした潮目の変化を象徴するような試合となった。この試合を最後にオランダへ渡る磐田MF小林 祐希のお別れマッチとなったことで普段と異なるムードもあったが、「一戦一戦をトーナメントのつもりでやっている」(GK東口 順昭)、「俺たちは2ndステージの優勝しか狙っていない」(DF丹羽 大輝)と背水の陣を敷くG大阪イレブンに乱れはなかった。
「良い流れでないときも、我慢することができていた」と東口が胸を張ったように、前半の磐田ペースになっていた時間をうまくやり過ごすと、57分にFWアデミウソンが鮮やかなゴールを奪って先制点。さらに83分には交代出場の18歳MF堂安 律の初めてのアシストからFW長沢 駿がゴールネットを揺らし、勝負を決めてみせた。
「今日は大きなポイントになる試合だった」と長谷川 健太監督も振り返る会心のゲーム。ディフェンスリーダーの丹羽も「今週は本当に練習から良かった。やっぱり練習はウソをつかない。トレーニングでピリッとした雰囲気が作れているし、紅白戦をやればどちらが勝ってもおかしくないような内容になる」と、単なる1勝にとどまらない手ごたえを感じた様子で語っていたのが何とも印象的だった。
とはいえ、G大阪が夏に浮上してくるというのは、もはや恒例行事の印象もある。昨季もG大阪は夏に勝ち点を大きく伸ばしてきていた。その理由について長谷川監督は「大阪の夏が暑いからですかね?」と笑ったが、「この時期の日本はどこでも暑い」(東口)というのが実態ではある。ただ、外野だけでなく「僕らとしても夏に強いという感覚はある」(東口)とも言う。その理由について明確な根拠を語ってくれたのは丹羽だった。
「間違いなくG大阪は夏に強いです。その理由はG大阪だからというより、ボールを動かせるチームが夏に強いということ」
どうしても日本の夏は消耗戦となる。その中で「ボールは疲れないので、ボールを走らせて相手を走らせるチームが有利になる」(丹羽)のは必然でもある。「(1位の)川崎Fや(2位の)浦和も夏に強いと思いますが、彼らもボールを動かせるチーム」だからで、「今日もそうだったし、(前節の)鳥栖戦でアディショナルタイムのゴールが生まれたのも(暑さとボールを動かせるチームであることが)無関係じゃない」と喝破してみせた。逆に言うと、ボールを動かせないチームは、いかにして消耗しない守り方をやり切れるかということにもなってくるのが「夏の戦い」と言える。
質の高い練習に、季節の追い風。関西の雄が夏に浮上してきたのは必然と言えるが、丹羽はここが勝負どころだとも言う。「3連勝くらいで満足してはいけないけれど、人間だからきっとゆるみが出てくる。ふざけた雰囲気が練習で出るようなら、すぐに引き締めたい。それが僕の役目だと思っている」と、強い言葉を紡いだ。
首位・浦和との勝ち点差は5と開いているが、「じわりじわりとプレッシャーを掛けていきたい。上の2チームが結果を確認するたびに『G大阪、また勝ってるわ』となるように(勝利を)積み重ねていく」と語った丹羽は「僕らに失うものは何もない。追うほうより追われるほうがしんどくなっていくんですよ」と言って、ニヤリと笑った。