8月29日に行われた横浜FMvs浦和において、横浜FMの中村 俊輔が豪快なFKで大勝の口火を切ったことは記憶に新しい。彼はこのゴールで自身の持つ直接FKによる通算ゴール数を19に更新。その精度の高さを改めて見せ付けた。「セットプレー」が貴重な得点源であることはよく言われることだが、現在のJリーグにおいてはどうなのであろうか。
■直接FK
図表1には12年以降の直接FKによるシュート数とゴール数を載せた。ともに年々減少してきている中で、15年は現時点で16点。一方で、FKによる決定率は上昇していることが分かるだろう。ちなみに、今季ここまでで直接FKから最も多く得点を奪った上げたのは、前述の中村と同じ日に古巣相手に直接FKを決めたFC東京の太田 宏介だ。奪ったゴールは3点である。
■セットプレーによるアシスト
次に、CKとFKがアシストになったものを見てみる。ここまででCKがアシストになったものは35点、FKによるものは26点であった(昨季はCKが47点、FKが30点)。個人別で見ると図表2に示す通り、鳥栖の藤田 直之が8回のアシストを記録。キッカーだけではなくゴール前の受け手にも依存するとはいえ、これは特筆すべき値だろう。彼は「ロングスロー」という武器もあるなど、セットプレーのスペシャリストと言っても過言ではないはずだ。
■セットプレーに絡むゴール
最後にセットプレーに絡むゴールが、全体でどの程度あるのか見てみよう。図表3にはリーグ全体でのセットプレーに絡むゴール数(直接決まったものを含む)と総ゴール数に占める割合、さらにその割合が高い5チームを載せた。これを見ると全得点の36%がセットプレーに絡む得点であることが分かる。まさに、「現代サッカーの3割はセットプレーから生まれる」との言葉が示すように、貴重な得点源であるといえるだろう。また、チーム別で見ると正確なキッカーがいるチームや競り合いに強い選手がいるチームが名を連ねる。特に、松本は7割近くがセットプレーに絡む得点であった。彼らのバリエーション豊富なセットプレーを何度も目にしてきたはずだ。
セットプレーは誰にも邪魔されずボールを扱える数少ない機会だ。ピッチ上ではリスタートまでの短い間で様々な駆け引きが行われている。そこで何が行われているか、そんな視点で試合を見るのも面白いかもしれない。ゴールの36%はセットプレーから生まれているのだから。