東京では猛暑日連続記録を更新するなど、各地で暑い日が続いている。夏の暑さがピッチ上のプレーに影響するとは良く言われることだが、実際のところ試合にどのような影響をもたらしているのだろうか。
■プレー数と走行距離
図表1には、12年から15年までの平均プレー数(※1)を載せた。これは、各チームが1試合でプレーを何回したかを月ごとに示したものである。これを見ると、7月から9月の間でボールに触りプレーする回数が減少していることが分かる。
では、走行距離を見てみるとどうか。今季開幕からのチームの総走行距離とスプリント回数の、各節における平均値を示したのが図表2だ。これを見ると7月に行われた2ndステージ第2節以降では、チームによっては総走行距離が100kmを下回ることもあるなど、両項目が顕著に低下していることが分かる。気候がその原因のすべてではないとはいえ、パフォーマンスに少なからず影響していると考えられるだろう。
(※1)プレー数=シュートやパスなどボールに関わるアクション数
■夏の成績
次に、図表3に載せたのは12年から14年までの期間別の成績である。3月から6月まで上位であっても、夏に入って調子を落とすチームは少なくない。13年の大宮などはその最たる例といえるだろう。一方、7月から9月の間で最も勝ち点を稼いだのは12年と13年は広島、14年はG大阪であった。このチームに共通していることは、年間王者になったということだ。特に、昨季の大逆転劇は記憶に新しいのではないだろうか。夏をいかにして乗り切るかが、今後を占う重要なポイントといえるだろう。
■夏を制するには?
夏を制するためのカギを握るのは、パワーを使うタイミング、と考える。例えば、2ndステージ第2節の広島vs松本戦で広島のスプリント距離は1,250mであったが、そのうちの78.5%はマイボール時のスプリントであった。マイボールの時間が長ければ割合が高くなるのは確かだが、この試合における彼らのボールポゼッションは49.7%。それを考えれば、守備ではなくいかに攻撃の時にスプリントをしていたかが分かる。ちなみに、2ndステージに入ってマイボール時のスプリントの割合が60%を超えた試合があったチームは22。試合結果は14勝6分2敗であった。戦い方や試合展開にも左右されるとはいえ、暑い時期に無駄に体力を使うことなく攻撃にパワーを使うことは、大事な要素といえる。果たして、今年の「夏」を制するのはどこのチームとなるのだろうか。