■51.5%
今季の得点数とシュート数は、1試合平均で両チーム合わせて2.66点と21.7本。それぞれ2.53点と20.7本で、93年のJリーグ開幕以降で最少であった14年に比べると増加した。選手別に見るとシュート数が最多であったのは、得点ランキングトップに立つG大阪の宇佐美 貴史だ。58本はチームの総数に対して29.0%(図表1)を占め、リーグで最も高い値を記録している。
また、その比率は彼とパトリックで51.5%にも上り、18チーム中で唯一50%を超えるコンビとなる。マイボール時のスプリント距離は宇佐美が3.2km、パトリックはリーグで2番目に多い5.7kmで、シュートへつながったパスでは宇佐美からパトリックが16本、逆の関係が8本でそれぞれチーム内においてトップ2であるなど、「わかっていても止められない」リーグを代表するコンビだといえるだろう。
■16.4%
39点と得点数が最多だったのは1stステージを制した浦和だ。図表2に示したように、平均のボールポゼッションは56.9%とリーグで3番目に高く、総走行距離は1925.9kmで同6位。巧みにボールを保持し運動量を増やすことで多彩な攻撃を披露した。また、ペナルティエリアの外から9点を奪ったことは特筆すべき点といえる(昨季の最多は年間でG大阪の12点)。加えて、今季のリーグ戦で得点を挙げた選手は18チーム中で最多の12人。図表1は浦和とG大阪のチーム内でのシュート数の割合だが、1人に依存せずどこからでもゴールを奪えることで、相手の守備に的を絞らせなかったといえるだろう。
一方、守備に目を向けると失点は3番目に少ない17で、被シュート数は最少の143本であった。その要因の1つは、ボールを奪われた後のプレーにあったのではないだろうか。ボールロスト後5秒未満で奪い返した回数は198回で、これはボールロスト総数の16.4%。リーグで最も高いのだ。ボールポゼッションが高いこともあり相手ボール時のスプリント距離は18.9kmと5番目に少ないが、走行距離に占める割合は3.0%でリーグでも中位であるなど、ボールロスト後に素早く寄せて奪い返しに行く姿勢が数字に表れていた。
■40.8秒
その浦和を支えていた1人は主将の阿部 勇樹だろう。17試合1530分フル出場で1513回プレー。単純計算でおよそ1分に1度ボールに触ってプレーをしていたことになる。1stステージにおいて半分の765分以上ピッチに立った選手の中で、プレーの間隔が1分を切った選手はわずか5人しかいなかった。最も短かったのは川崎Fの中村 憲剛だ。その時間はわずか40.8秒。また、総走行距離は145.9kmで、そのうちスプリントをした回数は86回で距離にして1.4km。彼がいかに素早く的確なポジショニングを取り続けてボールを引き出し、チャンスを作っていたかが読み取れるだろう。
ちなみに、間隔が最も長かった選手は誰だろうか。それは広島の佐藤 寿人で3分20秒に1回であった。
2ndステージの開幕は7月11日。過酷な夏のスタートとともにリーグが始まる。暑い時期の戦い方はどうなるのか、運動量は落ちるのか、数字ではどう表れているか。そういったことを追い掛けながらサッカーを見るのも面白いのではないだろうか。
(文章/データ分析:データスタジアム株式会社)