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コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2015/7/22 13:53

武漢決戦。Jリーグの精鋭たちは新時代への夢を見せられるか(♯17)

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7月23日に「EAFF東アジアカップ2015」に臨む日本代表メンバー23名が発表される。すでに暫定登録の50名が発表になっているが、そのうち49名はJリーガー(Jリーグ所属日本代表予備登録メンバー一覧)。実質的には“Jリーグ選抜”のような陣容になりそうだ。
東アジアカップは、東アジアサッカー連盟(EAFF)に所属する国と地域によるタイトルマッチ。8月2日から8日にかけて、日本、中国、韓国、そして予選を勝ち抜いてきた朝鮮民主主義人民共和国による4か国が総当たり方式で対戦する。中2日のタイトスケジュールであり、加えて開催地の中国武漢市は「中華三大ボイラー」の異名で知られる酷暑の地。登録メンバー全員による総力戦となることは確実だ。

本田ら欧州組が不在の東アジアカップは“Jリーグ選抜”のような陣容に。
本田ら欧州組が不在の東アジアカップは“Jリーグ選抜”のような陣容に。

8月上旬というこのタイミング、本田 圭佑や香川 真司といった欧州組の選手たちはそれぞれのリーグの開幕を控え、国際Aマッチデー(FIFAが事前に定めてある国際試合開催日で、その期間はクラブより代表チームに選手起用の優先権がある)でもないため、代表に招集できない。“Jリーグ選抜”のような陣容になるのはこのためで、Jリーグの選手たちにとってはビッグチャンスとなる。

2年前の前回大会も、日本は23名全員がJリーグの選手という編成で臨んだ。柿谷 曜一朗が大ブレイクする契機となり、山口 蛍や青山 敏弘、森重 真人といった選手たちも国際舞台で戦える可能性を示し、翌年のFIFAワールドカップメンバーに名を連ねることとなった。そういう意味では、欧州組不在の状況はJリーグの選手たちにとってビッグチャンスと言えるだろう。

前回大会で初優勝。柿谷が大ブレイクし、青山、森重らも翌年のW杯メンバーに選出された。
前回大会で初優勝。柿谷が大ブレイクし、青山、森重らも翌年のW杯メンバーに選出された。

Jリーグ自体にとっても重要な機会だ。日本代表が欧州組主体となっている以上、その人気がリーグに還元されることは少ないが、この東アジアカップは別。2年前の大会でも新たなファン獲得につながっただけに、同様のことを期待している関係者も少なくないだろう。ただ、2年前の大会が盛り上がったのはあくまで「日本が勝ったから」というのも忘れてはいけない。第5回大会にして初めてのタイトルを、Jリーグに所属する選手だけで勝ち獲った。しかもアウェイで韓国を破って優勝したのだから、確かなカタルシスがあった。

今回の開催地は中国で、またしても強烈なアウェイのプレッシャーが掛かるのは想像に難くない。国内リーグの活況は必ず代表チームの強化にも結び付いていくものなので、近年の中国リーグの盛り上がりを思えばその戦力も侮れない。8月2日に朝鮮民主主義人民共和国、5日に韓国、そして8日に中国とぶつかる流れだが、いずれも確実にハードなバトルとなるだろう。

個々の選手が普段のJリーグで見せているものを出し切れば、連覇は実現できるはず。
個々の選手が普段のJリーグで見せているものを出し切れば、連覇は実現できるはず。

各国ともに欧州組の選手を招集できない中での対戦は、それぞれの国内リーグに残った選手のレベルを競う舞台とも言える。日本の選手たちには自らが所属するリーグの力を示してもらいたいし、タフな戦いが連続する中で個人としての財産も得てもらいたい。連覇という結末は、個々の選手が普段のJリーグで見せているものを出し切ってくれれば、自ずと実現できるものだとも思っている。来たる東アジアカップが、この国のリーグのポテンシャルと新時代への可能性を示す場となることを、強く期待したい。