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コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2015/3/5 20:26

3勝1分1敗が優勝ペース。1stステージはスタートが命(♯1)

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サッカーライターの川端暁彦と申します。今年から毎週Jリーグに関するコラムを執筆させていただくことになりました。Jリーグを大好きな皆さんと、これから大好きになってもらいたい皆さんに、少しでも喜んでいただけるように微力を尽くします。よろしくお願いします。

2ステージ+チャンピオンシップ制での戦いとなる、明治安田生命J1リーグ
2ステージ+チャンピオンシップ制での戦いとなる、明治安田生命J1リーグ


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この戦いに、時間はない。

3月7日に開幕する明治安田生命J1リーグは、今年から2ステージ+チャンピオンシップ制を採用することになった。各ステージは全18クラブによる総当たり戦。すなわち、全17試合で覇権を争うことになる。1stステージ最終節は6月27日。「17試合」と言うと先の話にも思えるが、実際は4カ月に満たない短期決戦である。

Jリーグは勝てば『3』、引き分けで『1』、負けなら『0』という形で「勝点」と呼ばれるポイントを設定し、その総合ポイントで順位を決めている。かつての1シーズン制では、おおよそ「2回勝って、1回引き分けて、1回負ける」くらいのペースで勝点を積んでいくと、優勝争いに絡むことができた。34節で計算すると、勝点は59.5ポイント。昨季優勝のガンバ大阪は63ポイントなので、もう一頑張りで優勝できる感じである。

昨年王者のガンバ大阪
昨年王者のガンバ大阪

(ちなみに、引き分けの発生率はシーズンによってバラ付きはあるが、大体25%くらい。3分の1の確率よりも少し低いのだ。これは、もしも貴方がtotoを買おうとしているなら、覚えておいて損はないデータである)

この勝点は欧州のトップリーグなどに比べると、かなりのスローペースだ。たとえば、2013-14シーズンのスペインリーグに当てはめてみると、スペインは全38節でJリーグより試合数が多いので、勝点は『66.5』で5位となる戦績。これは1位のアトレティコ・マドリードとは勝点『23.5』、3位のレアル・マドリードとも勝点『20.5』の大差がついてしまう数字で、優勝争いには少しも絡んでない戦績と言える。

もちろんJリーグでも独走優勝が出た年などはまた違う形になるのだが、欧州のトップリーグに比べると財政規模の差が小さく、戦力的に拮抗しているJリーグでは、独走するクラブが現れるシーズンのほうがレアだった。このため、連敗してしまったり、未勝利が続いても挽回可能なリーグという側面があった。

ただ、2ステージ制だと、そうも言っていられない。昨季を例に出すと、17節終了時点で1位だった浦和レッズの勝点は『36』(11勝3分3敗)。1シーズン制で優勝争い可能な2勝1分1敗ペースだと勝点は『29.75』なので、17試合しかない中で2勝以上の差がついてしまうことになる。これでは、優勝争いにすら届いていない。戦力拮抗のJリーグにおいては、年間を通じてハイペースで勝点を積み上げられるチームはまず出てこないが、半期に絞ればそういったチームが出てくるのだ。

よって、1stステージはスピードの勝負になる。スタートダッシュからアクセルを踏み込んで勝点を積み上げたチームが覇権を握る可能性は高い。おおよそで、3敗か4敗がデッドラインになるのではないだろうか。すなわち、「3勝1分1敗ペース」。これだと勝点は『34』なので、優勝争いに届くことになる。昨季に当てはめれば、2位サガン鳥栖と同じ数値で、首位とは勝点『2』の差である。

一昨季の前半戦に快進撃を見せた大宮アルディージャ
一昨季の前半戦に快進撃を見せた大宮アルディージャ

2ステージ制はハイペースでの短期決戦なので、1シーズンを同じレベルで戦い切る体力を持たない中堅クラブにも「ワンチャンス」がある。そんな言い方もできるだろう。たとえば、一昨季の大宮アルディージャは最終順位こそ勝点『45』の14位だったが、17節終了時点では勝点『36』で2位だった。1stステージは前年度の上位クラブがAFC チャンピオンズリーグのグループステージをこなしながらの戦いとなることもあり、「ワンチャンス」が起こりやすい面もある。

そしてスタートからアクセルを踏み込めたチームが勝つ短期決戦であるならば、肝心なのは開幕戦。3月7・8日に行われる、この「最初の戦い」はちょっと重みが違っている。