リーグ戦が佳境を迎えている。J1リーグ戦は土曜日(22日)に開催される次節(第32節)浦和レッズ対ガンバ大阪戦の結果いかんによっては浦和レッズの8シーズンぶりの優勝が決まるのだが、ガンバ大阪にとっても3冠獲得に向けては絶対に落とせない一戦となる。まさに終盤の醍醐味である。
残留争いも熾烈を極めている。12月6日の最終節には大宮アルディージャ対セレッソ大阪、清水エスパルス対ヴァンフォーレ甲府といった直接対決が控えている。
現在、J1昇格プレーオフ出場権獲得の6位以内を目指して激戦を重ねているJ2リーグ戦も今週末(23日)の最終節までもつれ込んでいる。ジュビロ磐田(3位)、ジェフユナイテッド千葉(4位)、モンテディオ山形(6位)、大分トリニータ(7位)の4チームは直接対決ではなく、すべて別会場となる。スタジアムに陣取る多くのファン・サポーターはスタジアムの動向と合わせてスマホに表示される速報画面からも目が離せないことだろう。
毎年、シーズン最終盤まで結果から目が話せないのは、実力が伯仲するJリーグの特徴でもあるが、試合日程や対戦カードの妙という側面も見逃せない。
例えば昨シーズンでいえば、J1最終節の横浜F・マリノス(1位)vs川崎フロンターレ(5位)、鹿島アントラーズ(3位)vsサンフレッチェ広島(2位)、浦和レッズ(4位)vsセレッソ大阪(6位)。奇しくもリーグ戦優勝とACL出場を争う上位6チームの直接対決となった。鹿嶋の地でサンフレッチェが逆転優勝で歓喜にあふれているその時、等々力ではマリノス悲願のJ1優勝を阻止したフロンターレが逆転でACL出場圏内の3位に浮上。涙に暮れる中村俊輔の映像は今でも頭から離れない光景だ。
このドラマチックな日程を演出しているのは「Jリーグ・マッチスケジューラー」、通称「日程くん」と呼ばれる専用コンピューターソフトである。2003年までは何と手作業によって日程が組まれていたのだが、より公平性を期すため2004年から導入された。「日程くん」は2013年シーズンよりリニューアルされ、それまでよりさらに迅速にスケジュールを出すことを可能にした。
ここで、少しばかり日程の組み方について説明したい。元々設定されている条件や入場者のための配慮には、主に以下のようなものがある。
・リーグ戦においてホームもアウェイも3回以上連続して行わない
・開幕から5節までに必ず2試合以上ホームゲームを行う
・GWや平日のホームゲーム数に差が出ないようにする
・試合間隔が中2日となる日数に差が出ないようにする
・スタジアム使用可否など全クラブから要望出してもらい配慮する
これらをベースに、ACL出場クラブの直接対決の設定や、各クラブの個別事情(陸上大会など別スポーツイベントの開催等)を何件か考慮に入れて、最終的な対戦カードが出される。
最終節を覗いてみれば、前出のJ1残留争いの直接対決2試合やJ1昇格プレーオフ争い4試合(実際は北九州の試合を入れて5試合が対象となる)など、今シーズンも「日程くん」は筋書きのないドラマを演出していることが分かる。
一見、無機質なPCソフトが条件設定を通じて出された日程スケジュールではあるのだが、実はそのPCソフトが、あたかも著名な脚本家のごとくエンドロールまで目を離せない「Jリーグ」という作品を書き上げているとしたら、偶然とはいえ、彼(あえてそう呼びたい)の功績を称えずにはいられない。