リーグ戦の順位を決める方法には、二通りある。 一つは、勝率によるもの。大リーグ(MBL)、プロバスケット(NBA)、アメリカンフットボール(NFL)など米国のプロスポーツに代表される。MBLやNBAでは、とことん勝負が決するまで試合を続け、引き分けにしない。いかにも、エンタテインメント性を大事にする国らしい。NFLの場合、同点に対しては0.5勝・0.5敗で換算する。
もうひとつは、勝ち点によるもの。勝率と勝ち点の違いは、引き分けの価値にある。サッカーやラグビーなど欧州生まれのスポーツに多い。1889年、イングランドのプロサッカーリーグで、勝ち点の合計により順位を決定する制度が初めて導入された。勝利には2点、引分には双方に1点ずつ、負けには0点が与えられた。 自動車レースの最高峰フォーミュラーワン(F1)も勝ち点制である。2013年は、世界19カ国で開催される公式レースの合計ポイントで争う。ドライバーズ部門では、各レースの順位ごとにポイントを付与、年間獲得ポイントの最上位者が世界チャンピオンに輝く。 入賞範囲や獲得ポイント数は、1950年以降に何度か変更されている。直近では2010年に7度目の改定が行われた。入賞枠を8位から10位に拡げ、1位のポイントが10点から25点に大幅に引き上げられた。最終レースまで、逆転の可能性が残るように工夫している。
ツール・ド・フランスにも勝ち点スタイルがある。フランス国内を中心に繰り広げられ、毎年7月に23日間のステージ制で行われる自転車のプロロードレース。今年で百年を迎える伝統をもつ。各ステージ終了時点で所要時間の最短の選手が、黄色のジャージ「マイヨ・ジョーヌ」を着用、総合優勝に最も近い選手の視える化が最終時点まで図られている。 時間とは別に、勝ち点で競う部門がある。コース難易度(4段階)に応じたスプリント・ポイントや上り坂の勾配と長さに応じた山岳ポイント(6段階)をそれぞれ設け、順位ごとに付与される。各ステージ終了時の累計ポイント1位の選手には、緑色のジャージ(スプリント賞)、白地に赤い水玉模様のジャージ(山岳賞)がそれぞれに与えられる。2011年、1位のスプリント・ポイントを35点から45点に、山岳ポイントは2倍にアップするなど、最後まで熾烈な競い合いを楽しめるように見直された。 1981年、百年もの間長らく変わることのなかったサッカーの勝ち点にも変化が訪れた。より攻撃力を重視して勝利へのインセンティブを高めるために、勝利に対する勝ち点が2点から3点になった。かつてブンデスリーガ観戦の帰り道に、地元のサポーターがいつも口にしていた言葉がある。「Drei Punkt ist wichtig」(大切なことは、勝ち点3をとること)。Jリーグこの20年は、一日一日の地道な積み重ねであった。一戦一戦の勝ち点の積み上げもまた、どれも似た文化の香りがする。