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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

スタジアム法

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もしも、こんな趣旨を掲げた『スタジアム法』があったら・・・ スタジアムは、文化芸術を継承し、創造し、及び発信する場であり、人々が集い、人に感動と希望をもたらし、人々の創造性を育み、人々が共に生きる絆を形成するための地域の文化拠点であること、 個人の年齢若しくは性別又は個人を取り巻く社会的状況等にかかわりなく、全ての国民が、潤いと誇りを感じることのできる心豊かな生活を実現するための場であり、常に活力ある社会を構築するための大きな役割を担っていること、 現代社会においては、スタジアムは、人々の共感と参加を得ることにより「新しい広場」として、地域コミュニティの創造と再生を通じて、地域の発展を支える機能も期待されること、 スタジアムは、国際化が進む中では、国際文化交流の円滑化を図り、国際社会の発展に寄与する「世界への窓」にもなることが望まれること。 これは、いわゆる『劇場法』(劇場・音楽堂等の活性化に関する法律)の前文(1)のままである。

実際は、「スタジアム」のところに「劇場、音楽堂等」の言葉が入る。昨年6月、超党派の議員立法により施行された。これで、図書館や博物館と肩を並べる心強い根拠法(法的な裏付け)が劇場やコンサートホールにもできた。前文は、さらに次の内容が続き、単なるハコモノ(建物)ではなく、地域活性化のシステム(仕組み)ととらえている。 (2)実演芸術は無形の文化遺産として、それを守り伝えることが現世代の責務である (3)施設整備の先行だけでなく、活動自体を担う人材養成が必要である (4)大都市に集中した拠点を、地方都市にもひろげていくことが必要である (5)個人を含む社会全体が文化芸術の担い手であることを認識して、関係団体、公的セクター、教育機関が連携協力することが必要である (6)その特質から短期的な経済効率性を一律に求めず、長期性や継続性に配慮する 劇場法の前文すべてが、Jリーグの理念や理想のスタジアム像に合致している。

専用のスタジアムも、“劇場空間”を創出する文化拠点の同じ仲間だが、対象には含まれていない。スタジアムは、もはや単なる競技の場ではない。市場原理を超えて、社会全体が関わり合う対象になった。寄付によるG大阪の建設資金調達の行方や、震災復興のシンボルとしてJリーグをめざす福島ユナイテッドのスタジアム整備の実現に、真の文化意識が問われる。 劇場法には、文化庁の存在が大きい。そこに、政府が「スポーツ庁」設置の検討に入るという記事を目にした。“文化”が地域経済の大きな柱になる、新しい時代の夜明けへ。