今年の天皇杯決勝は、ガンバ大阪と柏レイソルの一戦だった。満員の国立競技場のスタンドは、ホーム側のガンバ大阪のホームカラー青と、柏レイソルの黄にきれいに染まった。これに対し、入場してきた両チーム選手のユニフォームのカラーコントラストは、スタンドとは異なり、青と白。 Jリーグの運営担当者によると、アウェイチームが使用する色は、ホームのフィールドプレーヤー、ゴールキーパー及び審判と調整して決められる。特に、副審の目は選手の足元を追うため、黒色のストッキングが重複するこの試合には、柏レイソルが第2の組み合わせ(ユニフォーム白―パンツ紺―ストッキング白)を選択したという。 ホームカラー赤へのこだわりがとりわけ強い浦和レッズについて調べてみると、おもしろいことがわかった。浦和の第1ユニフォームは赤―白―黒、第2は白―黒―白だが、アウェイの5試合(対山形・柏・川崎・G大阪・大分)を赤―白―白で戦っている。本来なら、ストッキングが濃い色同士のため第1が使用できない対戦相手ばかり。
因みに、チームのユニフォームには、ホーム用とアウェイ用の区別があるわけではなく、第1の赤のユニフォームを着るために、ストッキングを黒から白に変更したのである。浦和レッズは、Jリーグ開幕当初から長い間ホームカラーにこだわり続けてきた。 今シーズン、第1ユニフォームの組み合わせで、白のストッキングを使うクラブはない。ユニフォームカラーが重複しない場合は、ストッキングを白にすることにより、アウェイでホームカラーを着用できる試合が増えるだろう。柏なら、さらに最大9試合可能となる。 青系のユニフォームが10クラブと多いJ2の中で、栃木SCのホームカラーは黄。第1の青のストッキングの場合、アウェイで黄を着る機会はわずか1試合だけ。ストッキングを白にすれば、敵地で最大14回も黄で戦える。赤をホームカラーとするロアッソ熊本の場合、ストッキングを赤から白にすることで、現状の4試合から最大13試合赤を着てアウェイのピッチに立つことができる。 遠くまで出かけ応援するサポーターは、12番目の選手として、いつもホームカラーのシャツやマフラーを身につけ、旗を振る。ホームカラーで戦う選手たちの力強い“バックアップ”であることをよろこび、勝利を願っている。
柄ものよりも無地で単一色を基調とする単純なデザインが欧州で好まれてきたのは、世界中どこで試合をしても、一試合でも多く愛着あるホームカラーを身につけてプレーしたいとこだわる気持ちが前面に押し出されている証しであり、やがては伝統の色となった。