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コラム

Jリーグチェアマン 村井満の“アディショナルタイム”

2014/7/20 10:00

北欧からの嬉しいニュース(♯11)

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ゴシアカップ2014より
ゴシアカップ2014より

 北欧から嬉しいニュースが飛び込んできた。

トロフィーを手に。優勝したJリーグU-14選抜メンバー
トロフィーを手に。優勝したJリーグU-14選抜メンバー

 U-14 Jリーグ選抜チームがPK戦の末TSV Havelse(ドイツ)を破り見事優勝したのだ。
7月14日から19日の間に、スウェーデンのイェーテボリで「Gothia Cup(ゴシアカップ)」が開催されていた。この大会は40年の歴史を持ち、世界のトップレベルの選手を数多く輩出している世界最大規模の国際ユース大会だ。イェーテボリの街には世界73か国から1660ものチームが集まる。参加する世代は男子はU-11からU-18まで、女子はU-12からU-19だ。選手数は3万8200人に及び、カテゴリー別試合が110ものピッチで延べ4795試合も繰り広げられる。まさに町全体がフットボール一色になる一大イベントだ。

宿舎となる学校の教室で
宿舎となる学校の教室で

 U-15のカテゴリーでは208のチームが集まり、Jリーグ選抜チームは1歳年下のU-14世代にもかかわらず、先のワールドカップブラジル大会の強豪国を相手に勝ち進み、準々決勝ではアルゼンチンのクラブを2-1で制し、準決勝では開催国スウェーデンのクラブに圧勝。そして、決勝ではドイツのクラブを相手に前半2-0で先行されながら、後半で追いつきPK戦の末見事に勝利したのだ。時差におけるコンディション調整の難しさや、チーム全体での練習時間が少なかったにもかかわらず、外国の選手に対するコンプレックスや食事・寝る場所へのストレスをものともせずに結果を出したのだ。昨年のJリーグアウォーズにおいて最優秀育成クラブ賞を受賞したセレッソ大阪もU-16クラスに参加し、見事ベスト16に勝ち進んだ。

 本当に素晴らしいことだ。

 現地に帯同しているJリーグスタッフに電話で現地の様子を聞いてみた。何よりも私の心を掴んで離さないのは、この大会の運営方式だ。子供たちは夏休み中の学校の教室を宿にして寝泊まりするのだ。23名のJリーグ選抜選手に加え、コーチ・引率スタッフが一緒に公立中学校の教室にマットを引きざこ寝をする。マットと毛布、枕は貸し出してくれるそうで、隣の教室にはアメリカ、韓国、クロアチア…といった具合でまさにインターナショナルな空間だ。そのうえ、奇数階は女子、偶数階は男子といった具合なのだそうだ。想像するだけでワクワクしてしまう。オフの時間はバスケットのコートで様々な国の仲間が遊んでいるし、食事は学校の食堂でサンドイッチやサラダ、タコスにグラタンを食べながら他国の子供たちと触れ合う機会はふんだんにあるようだ。

 この大会は、自治体が発案してプロのクラブチームに町おこしのイベントとして提案したのが発端だそうだ。半径30㎞の範囲内に数多くの芝生のグランドが出来て、大きな大会に育っている。こんな大会が日本でも開催できたらどんなに素敵だろう。ワールドカップ日韓大会でカメルーンを村民総出で迎え入れた大分県中津江村を例にあげるまでもなく、日本なら、きっとすばらしいホスピタリティを発揮するだろう。世界中の子供たちが、日本での記憶を大切にしてくれていれば、スーパースターになっても将来Jリーグを身近に感じてくれるかもしれない。そして、日本の子供たちもサッカーに限らず世界で活躍することを夢に見るかもしれない。
 いつの日か日本がワールドカップで優勝を争う国になるためには、若い頃から国際的な体験を積み、同じ世代の世界中の仲間と堂々とコミュニケートする人間力を養うことが不可欠だと思っている。総力をあげてこうした支援をもっともっと増やしていけたらと思う。

 この嬉しいニュースは、今日J2コンサドーレ札幌対大分トリニータ戦を視察していた北海道で聞いた。優勝メンバーたちは明日関西国際空港に帰って来るという。明日は羽田に帰る予定だったけれど、急きょ予定を変更して関空で子供たちを出迎えてしまおうか。