ブラジルのサンパウロからダラス、成田、シンガポールと飛行機を乗り継いでミャンマーのヤンゴンにたどり着いた。訪問の目的の1つはJリーグのアジア貢献活動にある。Jリーグではファン・サポーターの皆様からJクラブのユニフォームを寄付してもらい、それをアジアの子供たちにプレゼントしているのだ。これまで、カンボジアや東ティモールにユニフォームを届けている。
今回、ミャンマーに届けるユニフォームの募集目標を200枚と設定したのだが、実に746枚ものユニフォームがファン・サポーターの皆様から寄せられた。今回は、ミャンマーやカンボジアを中心に医療・保健活動や教育活動など幅広く活動している特定非営利活動法人 ジャパンハート様や世界中で公益・福祉事業や国際協力事業などを行っている公益財団法人 日本財団様のサポートを得て、農村の子供たちにJクラブのユニフォームを届けることができた。アジアのあちこちでカラフルな笑顔が輝き始めている。まさにファン・サポーターの皆さんとともに行う国際貢献活動となりました。ご協力本当にありがとうございました。
今回のミャンマー訪問のもう一つの目的は、日本とミャンマーの外交関係樹立60周年を記念して行われたチャリティーマッチ 「ヤンマーカップ ミャンマー代表対セレッソ大阪」の視察だった。セレッソ大阪は今回のミャンマーだけでなく、タイでもタイプレミアリーグのバンコク・グラスとパートナーシップ契約を交わしたり、農村地区でのサッカークリニックを開催したりして積極的な国際交流を図っている。試合は豪雨の中、セレッソが1-0で勝利した。
試合の翌日、ミャンマーの女子代表監督の熊田喜則さんとミャンマーのプロリーグで活躍する4人の日本人選手が私の宿を訪ねてくれた。熊田さんは2012年のASEANサッカー女子最優秀監督賞を受賞している。ミャンマー代表チームにサッカーの技術だけでなく、戦う姿勢や生活習慣まで指導しているという。池田雄大さんは、大学在学中にブラジルに留学し、その後ボリビア、ルーマニア、フランス、モンゴルでプレーをしてきた、まさしく世界を股にかけるフットボーラーである。櫻田真平さんはミャンマーらしい苦労話をしてくれた。現在所属するミャンマーのクラブには筋力トレーニングのジムがないという。ある日、ビルの地下室にあるトレッドミルを借りてスピードに乗って走っていたところ、突然の停電。窓もない部屋が突然真っ暗闇になり、ベルトも急停止。とっさのバランスでどうにか体を止めることができて難を逃れたという。皆、この地でさまざまな苦労をしているのだ。松本憲さんと高松健太郎さんはミャンマーだけでなくタイでも活躍しているアジア通だ。
地球の反対側に位置するブラジルでは、連日各国のスター選手たちが世界中を魅了するサッカーを繰り広げている。一方こちら側のアジアでは、多くの若者がワールドカップに出場する選手に負けないくらい精一杯にサッカーと向き合っている。生活環境は厳しくても、練習環境が整っていなくても、大好きなサッカーで生きている彼らの表情は笑顔で輝いている。ブラジルの帰りにミャンマーに行ってよかった。Jクラブのユニフォームに歓声を上げる子供たちと、ミャンマーの地でひたむきにサッカーと向き合う者たちの二つの笑顔に元気をもらったからだ。