Jリーグ気候アクション Jリーグ気候アクション

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JリーグとJクラブは気候アクションを、ロードマップに沿って推進してまいります。
“気候変動問題の解決”と“地域活性”の両方に効く という観点で、より多くの皆様に知っていただき、たくさんの地域で広がっていってほしい活動をピックアップしてお伝えしていきます。

水戸ホーリーホックGXプロジェクト 始動

5月15日、水戸ホーリーホックは新規事業「GX(グリーントランスフォーメーション)プロジェクト」を開始し、Jリーグのクラブ初となる「ソーラーシェアリング」に取り組むことを発表しました。

地域に密着して活動を行う水戸ホーリーホックは「夢と感動と一体感の共有に向けて、地域に根差し、地域と歩み、地域に貢献し、地域と共に発展します」と掲げるクラブビジョンのもと、クラブとして地域課題の解決に力を入れて取り組んできました。

そして2021年9月に農業を広め、農業の良さを伝えていくことで地域課題を解決し、クラブの収益事業としていくことを目的に、農事業「GRASS ROOTS FARM」を立ち上げ。ホームタウンである茨城県城里町の約1000平米の畑でのニンニクの栽培から新たな事業をスタートさせました。その他にもSNSでファン・サポーターからアンケートで意見を募り、要望が多かった野菜の栽培にも挑戦してきました。

さらに2022年にはサブスクリプションサービス「GRASS ROOTS FARM BOX」を開始。全国3位の農業県である茨城の農作物や食品を毎月全国の契約者に届けるサービスを展開しています。

また、「ホームタウンのみらいダイアログ」というワークショップを地域に関わる方々と複数回に渡り実施。ワークショップを通じて「世継ぎ問題による農家高齢化」や、それに起因する「耕作放棄地の問題」、そして「地域経済の衰退」を不安視されている現状への理解を深めました。

そのほかにも圃場(ほじょう)を活用したファン・サポーター向けのイベントやホームゲームでの地域特産品の販売など、多岐に渡る活動を実施してきました。

農事業を展開してから3年。水戸ホーリーホックはJリーグが力を入れるJリーグ気候アクションに賛同し、新たな挑戦を決断しました。それは化石燃料をクリーンエネルギーに転換して脱炭素化社会を構築していく取り組みであるGX事業に、「GRASS ROOTS FARM」で培ったノウハウを活かし、Jクラブとして初の「ソーラーシェアリング」を展開すること。今年設立30周年を迎えるクラブの新たな事業として、取り組んでいく指針を示しました。

ソーラーシェアリングとは、農地にソーラーパネルを設置して農業と太陽光発電を両立させるシステムのこと。城里町の約2000平米の耕作放棄地に、藤棚式架台と垂直式架台の両方式の設置方式を導入したハイブリッド型ソーラーシェアリングを構築し、そこで作られた電気を農業用に自家消費するほか、小売事業者を通じて地域へ販売する計画が立てられています。また、その農地では大豆を有機栽培し、それを加工して大豆珈琲をGRASS ROOTS FARMの商品として販売する6次産業化に挑戦します。地産地消の再生可能エネルギーを広げながら、カーボンニュートラルを実現していきます。

ソーラーシェアリングに特化した事業を展開する株式会社TERRAをGXパートナーに迎えてプロジェクトを進め、現在は太陽光パネル販売や施工会社や電力会社、周囲の地権者などとさまざまな契約を進めている段階にあります。環境省やJリーグの支援も受けながら、早くて1年後から本格始動する予定です。

GXプロジェクトで注目のソーラーシェアリングのイメージ図

栽培する品目に大豆が選ばれたきっかけを作ったのは、現在茨城県の私立中学に通う田島修太さんでした。

田島さんは小学6年生だった2022年にニュースでCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)を見たことで環境問題に興味を持ち、Jクラブがどのような環境問題に取り組んでいるか、全クラブにアンケートを実施しました。

その内、13クラブから返答があり、オンラインで2クラブ、対面で2クラブに具体的なヒアリングをして、取りまとめた結果を自由研究として発表しました。水戸ホーリーホックとはそのアンケートを通じて接点が生まれ、田島さんの取り組みに興味を持ったクラブは、選手やパートナー企業のキャリア形成に関する水戸独自の知識習得・人材育成研修プログラム「Make Value Project(MVP)」の講師として登壇することを田島さんにお願いしました。その依頼を承諾した田島さんは当時小学生ながら選手たちに向けて講義を行い、環境問題の解決策の一つとして大豆ミートを紹介し、試食会を実施したのです。

その後、田島さんをプロジェクトリーダーとした気候アクション「新しいフツウを子供たちからプロジェクト~大豆ミートバーガー編~」を実施し、そこで考案された大豆ミートバーガーが2022シーズンのホーム最終戦と2023年5月の熊本戦でスタジアムグルメとして販売され、ホームタウンの社会連携活動を表彰する「2023Jリーグシャレン!アウォーズ」で「明治安田 地元の元気賞」を受賞しました。

今回のGXで取り組む大豆を加工した大豆珈琲は、スポーツ選手にとって特に必要なタンパク質やビタミン成分が多く含まれ、妊娠中や授乳中でも安心なデカフェである上に、女性ホルモンの分泌を促すイソフラボンも豊富でヘルシーなオーガニックドリンクとして注目されています。加工は地元の障がい者施設へ委託を検討しており、誰もが同等に生活ができる社会を目指すノーマライゼーションの実現も同時に取り組んでいきます。また、ふるさと納税の返礼品としての採用を目指し、各自治体に打診していく予定とのことです。

今回発表された新規事業に向けて、水戸ホーリーホック・小島耕社長は「日本スポーツ界を牽引するJリーグに加盟する一クラブとしての責務と、地域が抱える課題を掛け合わせたときに、我々にできることは何かをクラブ内で議論をしました。その中でGXプロジェクトをスタートすることが自分たちの存在意義であると判断しました。今回の取り組みにより、水戸ホーリーホックが地域の皆様と共に社会の課題解決を実現し、魅力ある地域作りに向けての一歩を踏み出せればと考えております」と意気込みを口にしました。

また、新規事業を担当する経営企画室の瀬田元吾さんは「この取り組みが城里町、ホームタウン、全国各地、海外へと広がり、一つの地域創生のモデルとなれば素晴らしく思います」と今後への展望を語りました。

Jリーグ気候アクションの意義と必要性をより多くの方々に知っていただくとともに、Jクラブがハブとなって地域資源(人・文化・自然)を活かしながら、再エネが広がり、自然環境保全・再生が進んでいる状態を目指していきます。

水戸ホーリーホック新規事業「GXプロジェクト」始動のご案内はこちら

Jリーグ気候アクションのロードマップ

意識が変わる

“気候変動とサッカーには深い関係があり、サッカーファミリーはその解決の力になれる。”

温室効果ガス

「Scope1,2」排出量と削減量を可視化

目指す状態

クラブがハブとなって地域資源(人・文化・自然)を活かしながら、再エネが広がり、自然環境保全・再生が進みはじめている(10クラブ程度)

サッカーファミリーとともに

サッカーファミリーが学ぶ場の深化・拡大

行動が変わる

“地球とサッカーを守るため、カーボンニュートラルを意識した選択と行動がサッカーファミリーのスタンダードになる。”

温室効果ガス

「Scope1,2,3」排出量と削減量を可視化

目指す状態

クラブがハブとなって地域資源(人・文化・自然)を活かしながら、再エネが広がり、自然環境保全・再生が進みはじめている(30クラブ程度)

サッカーファミリーとともに

サッカーファミリー、地域のステークホルダーが連携を深め、行動・実践が加速する

社会が変わる

“ホームタウン全てで、カーボンニュートラルと地域活性化を両立するための社会システム実現が進む。”

温室効果ガス

CO2排出量初年度対比50%削減

目指す状態

クラブがハブとなって地域資源(人・文化・自然)を活かしながら、再エネが広がり、自然環境保全・再生が進みはじめている(60クラブ程度)

サッカーファミリーとともに

様々なステークホルダーとともに、便利で環境に優しい仕組みづくりに向けて前進する

※Scope1:燃焼によって直接的に排出される温室効果ガスの量
 Scope2:供給される電気の使用に伴って排出される温室効果ガスの量
 Scope3:Scope1、Scope2以外に間接的に排出される温室効果ガスの量