コラム・レポート
2016/02/10(水)12:30
第2次「城福トーキョー」の幕開けはゴールラッシュとともに――。【レポート:プレーオフ】
13日の始動からわずか4週間で迎えた今季最初の公式戦。城福 浩新監督が就任したばかりのFC東京にとって簡単なゲームではなかったが、終わってみれば、限りなく理想的な試合内容でチョンブリFCに9-0と圧勝した。
この日のスタメンには5人の新戦力が名を連ねたが、それぞれが“名刺代わり”とばかりに持ち味を発揮し、大いにアピールした。2トップのひとりを務めた阿部 拓馬がその技術を存分に生かして1ゴールをマークすれば、水沼 宏太はゴール前に何度も飛び出して決定的なシュートを放ち、同じく1ゴールを記録。駒野 友一も左サイドハーフの東 慶悟と早くも良好な関係を築き、右足のクロスから米本 拓司のゴールをアシスト。ボランチとアンカーを務めたハ デソンは、彼こそが今季のチームの軸になることを印象づけるパスワークを見せた。
唯一見せ場がなかったのはGKの秋元 陽太だけ。むろん、それは被決定機がゼロだったためで、チョンブリに反撃の機会を与えることは一度もなかった。
スコアラーも得点パターンも多彩だった。阿部、水沼、前田 遼一、東、河野 広貴と攻撃陣全員にゴールが生まれ、スルーパスやドリブルで中央から崩したかと思えば、サイドチェンジで大きく揺さぶったり、コンビネーションでサイドを切り崩したりして攻略。チョンブリとの力の差を差し引いたとしても、チームにとって自信になるものだろう。
そして何より大きかったのは、城福監督が掲げる「アクションフットボール」の一端を示せたことだ。前田が、水沼が、米本が敵陣でボールを奪い取り、ショートカウンターを繰り出した。1列目はもちろん、2列目の選手も次々とペナルティエリア内に侵入していく。試合後、城福監督は「クオリティはまだまだ」と前置きしたうえで、「目指すところはどこなのかをお伝えする試合になったと思う」と語った。
この勝利によってACLへの出場を決めたFC東京は、11日から宮崎に入って2次キャンプをスタートさせ、全北現代との23日のACL初戦、大宮アルディージャとの27日の明治安田生命J1リーグ開幕戦に向けて、最後の仕上げに入る。
[ 文:飯尾 篤史 ]