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2015/09/28(月)21:00

指揮官不在の一戦も総力戦で乗り越える【プレビュー:準決勝 第1戦】

広州恒大のキーマンであるパウリーニョ(左)。G大阪は宇佐美の得点力に期待がかかる
広州恒大のキーマンであるパウリーニョ(左)。G大阪は宇佐美の得点力に期待がかかる

ガンバ大阪にとって7年ぶり2度目となる、AFCチャンピオンズリーグ準決勝の戦いが目前に迫っている。Jクラブから唯一、この戦いに駒を進めたG大阪は9月30日、アウェイの地で中国の強豪、広州恒大との第1戦を戦う。

その第1戦は、準々決勝第2戦で退席処分となった長谷川 健太監督がベンチに入れないため、スタンドから試合を観戦することに。また日本代表DF丹羽 大輝も警告累積で出場停止となるが「シーズン終盤に出場停止になる選手や怪我人が出るのは、最初から想定して戦っている。ここまで全員のチーム力で勝ち上がってきたように、次の試合も総力戦で全員で乗り越えたい」とキャプテンMF遠藤 保仁は力強く語っている。

長谷川監督も代行で指揮を執る片野坂 知宏コーチや選手たちに全幅の信頼を寄せる。

「スタンドで見るのと、ピッチサイドで感じることは違いますからね。上からだと全体は見渡せますが、選手の温度は伝わってこない。片野坂コーチには、ピッチサイドで感じたことを大事に采配してもらえればいいと思っています。またピッチにも遠藤をはじめ、自分たちでしっかりと判断できる選手がいるので、心配はしていません。逆に僕がベンチにいなくて、すごくいい勝ち方をしたら『今後はスタンドで見ておけ!』と言われないかが心配ですが(笑)」

チームの雰囲気は良好だ。直近の明治安田生命J1リーグ 2ndステージ 第12節の柏レイソル戦は、G大阪らしい攻撃力を発揮して3-1と快勝。柏といえば、ACL準々決勝で広州恒大と対戦し敗れているが、その柏にしっかりと勝利できたことは少なからず広州恒大戦に向けての弾みとなるはずだ。

なかでもリーグ戦ではゴールから遠ざかっていた阿部 浩之やエース宇佐美 貴史にゴールが生まれたことはチームにとっても追い風だ。余談ながらこの柏戦で「宇佐美が決めれば負けない」神話は代表戦を含めて40試合連続となり、またしても記録を伸ばしている。そうして自身がゴールを獲ることがチームに与える効果は、宇佐美自身も感じ取っている。だからこそ、広州恒大戦でも果敢にゴールを狙いにいくことだろう。

「今回の準決勝を戦えるのは、僕が出場停止だった全北現代との準々決勝第2戦を仲間が勝ち取ってくれたから。その恩を返すためにも結果を残したいし、決勝の舞台にチームを連れていけるようなプレーを示したい。相手は攻撃的なチームだし、ホーム戦だと考えても、前に出てくるはず。そこで上手く耐え抜きながら、1、2発決めて、第2戦に向けたアドバンテージにしたい。個人的には柏戦も含め、チャンスを仕留めるための“質”は上がって来ている。広州戦でもその質はもちろん、少ないチャンスをしっかりとチームのゴールに変えていくプレーや、チャンスを作り出すプレーを見せたい」(宇佐美)

心配なのは、その柏戦を怪我で欠場したDF藤春 廣輝と試合終盤に腰を打撲したDF岩下 敬輔の状況だ。これについて長谷川監督は「明日、明後日の様子を見て最終メンバーを決めたい」と語っている。28日に中国に旅立った遠征メンバーには含まれており、本人たちも出場に前向きだが、後に続く連戦を考えても慎重な判断が下されることになるだろう。

 

対する広州恒大は国内リーグ戦を4連覇中の中国きっての強豪チーム。13年にはACLを制覇するなど、国内のみならず、アジアを牽引するビッグクラブの一つだ。その広州を率いるのは、過去にブラジル代表を世界一に導いた名将・ルイス・フェリペ・スコラーリ監督。前監督の解任を受け今年6月に就任したばかりだが、国内リーグ戦やACLの戦いぶりを見ても順調にチームは引き継がれたと考えていいだろう。

チームの軸となるのは、FWリカルド・グラル、MFパウリーニョ、MFエウケソンのブラジル人トリオ(注:もうひとりのブラジル代表FWロビーニョはACL登録メンバー外)。直近のリーグ戦でも彼ら3人が攻撃の軸となり存在感を示していることからも十分な警戒が必要だ。ただ「そのブラジル人3人だけに気を取られてはいけない。柏戦では中国人選手がきちっと結果を出していましたからね。ブラジル人のみならずチーム全体として非常に力があるチーム」と長谷川監督が警戒を強めるように、中国人選手も代表クラスの選手がほとんどだけにターゲットを絞れる相手ではない。

G大阪としては圧倒的な個の強さを誇る広州恒大に対して、まずはその『個』で負けないことはもちろん、相手の攻撃力の裏に生まれるであろう守備の『穴』を効果的に突き、ゴールを陥れたい。

文:高村 美砂